というようなものはもう時代遅れになりましたか。
前にも書きましたが、私は結婚前に行儀見習いと言って、
さるお大家に住み込んでお手伝いさんみたいなことをしたことがありました。
そのとき、その家には自家用車が3台あって、
2台は運転手付きの自家用車でした。
一台は大旦那様ので、もう一台は若旦那様のでした。
運転手付きですから、運転手さんも常時2 人いました、
といって部屋が与えられているわけではなく、
待機しているときは車の掃除をしたり点検したりしていました。
それで旦那様がお出かけになるときにはドアを開けて、
旦那様なり奥様をお乗せしてから自分は運転席に座るわけです。
私が高知からそのお家にご奉仕に行ったときも、
羽田に大奥様がお迎えに来てくださっていて、
その自家用車に乗せていただいてお屋敷まで運ばれました。
お屋敷は目黒区駒場にありました。
大きなお家ばかりの並んだ住宅地の中でも、とりわけ大きなお家でした。
屋敷の大きさにも驚かされましたが、
私には、運転手付きの自家用車のあることが驚きでした。
私には、そんな大層な暮らしをしている親戚はありませんでしたから。
なぜ、そんなことを思い出したかというと、
池袋の高齢者の運転する車の事故をニュースで見たからです。
何でも、この方は通産省のお役人を定年退官されてから、
天下りでクボタの副社長までされておられたと知ったからです。
そんな地位もあって、現在も相応の収入のある人であったなら、
なぜ運転手さんを雇わなかったかと。
運転手を雇うほどの経済力がなかったとしたら、タクシーに乗ればよかったのにと。
私の兄嫁のお父さんは愛媛県から高知県に養子に来られていましたが、
自分の実家に帰るときは高知県から愛媛県の実家までタクシーで帰られていました。
車の運転は兄嫁のお母さんがさせなかったようです。
もし事故を起こしたら、家も何もかも失ってしまうと言って・・・。
それから考えたら、
そんな日本の大企業に勤めていた人なら、
タクシーに乗ることくらい何でもないことだったでしょうに。
とにかく87歳にもなって、
しかも脚を悪くしているのに運転をしたことは大きな間違いでしたね。
私が行儀見習いに入っていたお家の若旦那様は、
当時まだ40歳過ぎの若さでしたが、自分では運転しませんでした。
何かあったときのことを考えてのことだったかもしれません。
若奥様のほうは、
お子さんの学校の送り迎えとか買い物とかに日常的に運転されていましたけれども。
人手不足の昨今は、そんなふうに運転手を常時雇っておくことは難しいのでしょうか。
運転手ではありませんが、
昔はちょっとした家には当たり前みたいにお手伝いさんを置いていましたね。
それほど裕福な家でもなかったのですが、
私の実家(祖父の家)にもいましたし、母の実家にもいました。
母が小さいころは、台所には台所専用のおばちゃんを雇って、
母たち子供たちには、それぞれ子守さんをつけていたと祖母に聞いたことがあります。
昔は田舎の後家さんとか、子だくさんの家の子とかが
安い賃金でお手伝いさんに来てくれていたようです。
今は人件費が高くなったから、
そんなに簡単には人を雇うことができなくなってきたのかもしれませんね。
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イギリスのエリザベス女王の夫殿下であられるフィリップ殿下は97歳で事故を起こして、
やっと運転免許証を返還したとニュースになりましたね。
この87歳の男性も、事故を起こさなかったら97歳まで運転していた?
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☆いつまでも運転できるといふ過信すでに認知の陰りなるべし
☆後悔は先に立たずと諺は高齢者たちに教へてゐるや
☆運転手雇ふは難(かた)き世となれば自動運転しくるる車