超空洞からの贈り物

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シャンプーから発癌性物質が生成される?

2010年05月04日 06時21分32秒 | 健康・病気
 安全なはずのシャンプーが、発癌(がん)性物質の生成につながる恐れがあることが新たな研究で明らかになった。

 アメリカの下水処理場で調査したところ、シャンプーをはじめとする家庭用製品が浄水処理過程で使用される消毒剤と反応して、ニトロソアミンという発癌性物質を生成することがわかった。ニトロソアミンはほとんど研究が進んでおらず、この物質が回り回って水道水に混入することもあり得るという。

 今回の研究でイェール大学チームは、ニトロソアミン類のN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)に注目した。アメリカ環境保護庁(EPA)はNDMAを“ヒトに対しておそらく発癌性がある(Probable human Carcinogen)”化学物質に分類している。

 アメリカの下水処理場で一般的に使用されている消毒剤クロラミン(塩素とアンモニアの化合物)と、家庭用洗剤の化学物質が反応した際に、少量のニトロソアミンが生じる。クロラミンは、最近、アメリカの水道水に用いられるようになった物質である。従来の塩素消毒で生成されるトリハロメタンなどの有害物質が問題になり、EPAが基準を定めて以来、下水処理にも利用されている。

 まだ結論は出ていないが、「新たな問題が浮上したことは確かだ。それも深刻化している。クロラミンによるものだ」と、マサチューセッツ大学アマースト校の環境工学者デイビッド・レックハウ氏は今回の研究を聞いて指摘する。

 ニトロソアミンの発生源は加工肉製品やたばこの煙など多岐にわたるが、水道水に含まれるニトロソアミン誘引物質については長年謎だった。

 しかし、これまでの化粧品の研究から、第四級アミンという物質がニトロソアミン生成の一因である可能性が示唆されていた。家庭用洗剤にも含まれている化合物である。

 ニトロソアミンのさらなる発生源を探すため、研究チームはコネチカット州の下水処理場3カ所で、処理水に含まれる第四級アミンとニトロソアミンを測定し、クロラミンによる処理前後の相対量を解析した。

 また、家庭用製品から無作為に4製品(シャンプー2種類、食器用洗剤、洗濯用洗剤)を選び、ニトロソアミン生成を誘引する化学物質を含んでいるかを調べた。調査対象製品は、米ユニリーバ社製のシャンプー“Suave”(スアーブ)とP&G社製のシャンプー“Pantene”(パンテーン)、同社製の食器用洗剤“DAWN”(ドーン)、洗濯用洗剤“Cheer”(チアー)である。

 調査の結果、ニトロソアミン類の一種NDMAを生成する第四級アミンは、さまざまな製品に大量に使われているため、処理過程で完全に除去されるわけではないことがわかった。

 例えば、下水処理場の1施設あたり80%の住民が調査対象のシャンプー“Suave”を毎日一定量使用すると、処理水に最大3%のニトロソアミンが含まれることになるという。食器用洗剤“DAWN”の場合は“Suave”の約36倍のNDMAを生成する。「Environmental Science & Technology」誌1月19日号に掲載されている。

 洗濯用洗剤“Cheer”やシャンプー“Pantene”など一部の製品では確認されなかった。この結果は暫定的なもので、ニトロソアミンを生成する家庭用製品を特定するものではない。

 今回の研究に携わったイェール大学の化学工学者ウィリアム・ミッチ氏は、第四級アミンは処理課程で除去される場合と、生物学的変化を生じて第三級アミンになるものがあると指摘する。第三級アミンはニトロソアミンをさらに多く発生させる物質である。

「問題はこれらの誘引物質の多くが高分子の有機化合物(ポリマー)であることだ。現在の分析方法ではポリマー濃度の測定には限界があるため、確かなことがわからない」と同氏は言う。ポリマーは基本となる単純な構成単位が繰り返し結合してできた鎖状の分子である。

「だからこの点でも今回の結果は忠告にすぎない。ポリマーの第四級アミンを測定して関連性を示すことはできないからね」。

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