超空洞からの贈り物

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馬の家畜化と搾乳は5500年前から

2009年03月09日 21時55分13秒 | Weblog
乗馬とウマの搾乳の先駆者は、いまはカザフスタンの国土となっている広大な草原に暮らしていた人々だった。少なくとも5500年前、この地域の人々がウマを家畜として飼い慣らしていたという新しい証拠が見つかった。

「ウマを食用としただけでなく、その乳も利用していた。この地域では、非常に早い段階から乗馬と搾乳の両方が行われていた」と、今回の研究を指揮したイギリス、エクセター大学の考古学者アラン・ウートラム氏は話す。この発見により、ウマの家畜化の開始時期は1000年早まることになる。

ウマがいつ頃から家畜化されていたかについては長年の研究対象だった。なぜなら、荷物の運搬を動物に頼ることで人間社会が一変したからである。物資の輸送がスピードアップし、遠隔地交易が実現され、新しいスタイルの武力衝突が始まったのだ。

 以前の研究では、3600~3100年前にカザフスタン北部に生きていたボタイ人の間で、ウマが家畜化されていたことを示す状況証拠が見つかっていた。馬具の作製に使用したと考えられる革細工道具が発見されていたのである。

 今回の研究では、過去数年間にボタイ遺跡で出土した骨や陶器の調査が行われた。「ボタイでウマが家畜化されていたことを示す、まったく異なる3つの証拠を入手できた。どれも強力な証拠だ」とウートラム氏は言う。同氏の研究成果は、3月5日発行の「Science」誌で発表された。

 1つ目の証拠は、歯の摩耗(まもう)である。出土したウマの骨を調べたところ、数頭のウマの歯にはハミ(馬銜、銜)という馬具を噛んでいたと考えられる摩耗があった。研究チームは、すり切れた歯の1つは紀元前3500年頃のものと推定している。2つ目は野生種と比べて細い脚の骨で、これは家畜化されているウマの特徴である。3つ目の証拠は、陶器のつぼの縁辺りに相当する破片から検出されたウマの脂肪と馬乳の脂肪分だ。

 ニューヨークにあるハートウィック大学の考古学者デイビッド・アンソニー氏に専門家の意見を聞いたところ、「土器に付着した脂肪で、ウマの脂肪組織だけでなく、馬乳の脂肪も特定できたことは非常に重要なことだ。野生のウマから搾乳はしない」と述べている。

 以上の証拠から、人類はウマを家畜化してまもなくその乳の利用を思い付いたらしい。この伝統は現在のカザフスタンでも引き継がれている。しかし、搾乳という発想が生まれたきっかけは明確になっていない。ウートラム氏は、「人類は思っていたよりはるかに独創的なのかもしれない」と語っている。

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