超空洞からの贈り物

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センザンコウ、漢方薬に、食用に

2009年07月15日 18時10分35秒 | サイエンス
アルマジロのようなウロコ状の鎧(よろい)をまとったセンザンコウは、自然の中ではその身をうまく守っているように見える。しかし、そのウロコと肉を求める中国人の前にあっては、進化がもたらした装甲も不十分だったようだ。

 密猟で捕獲されたセンザンコウは、ボイル後に冷凍して密輸されるという。昨年にはインドネシアで、中国向け貨物の中から38トンの冷凍センザンコウが発見され押収されている。

 法律上は、中国、カンボジア、ベトナム、ミャンマー(ビルマ)、およびラオスの各国で捕獲が禁じられているが、2009年7月14日に世界自然保護基金(WWF)が自然保護団体「トラフィック」および国際自然保護連合(IUCN)と共に発表した報告によれば、センザンコウは種の存続が危惧されるほど密猟でその数を減らしているという。

 センザンコウは、インド亜大陸、アジア、アフリカに生息するが、WWFによると特に中国で需要が高く、国内で乱獲が進んでいるという。報告では、中国内での供給が減ったことが、カンボジア、ベトナム、インドネシアなど東南アジア諸国での密猟の増加につながっているとしている。

 一部の漢方医は、センザンコウのウロコはアレルギー治療に有効だと考えている(写真は2008年にマレーシアのクアラルンプールで撮影)。2009年7月14日に世界自然保護基金(WWF)が自然保護団体「トラフィック」および国際自然保護連合(IUCN)と共に発表した報告では、アジアのセンザンコウは密猟のために絶滅が危ぶまれる状態だという。

 中国では、ウロコは時に媚薬としても用いられるほか、血は高血圧の緩和のために、肉は高級食材として珍重されてきた。妊娠した母体から取り出した胎児は、男性の精力を増進させるとして丸のままスープの具材となることもある(写真)。

 センザンコウはアリやシロアリなどを食べるため、“ペストコントロール”(有害生物の繁殖を抑制すること)において数百万ドルに相当する働きをしているとされ、その急減は恐ろしい副作用も予想させる。

「シロアリとアリの自然のコントローラーとしてのセンザンコウの生態学的な役割を見過ごしてはならない」と、国際自然保護連合(IUCN)の「種の保存委員会」委員長サイモン・スチュアート氏は声明で述べている。


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