
火星や金星と違い、地球の大気は磁場によって保護されているため、宇宙へ流出することはない。これまではそう考えられていたが、実際には地球の大気は、太陽によってゆっくりと剥ぎ取られているという研究成果が発表された。さらに驚くべきことに、太陽からの放出物を防ぐ主要な盾として機能しているはずの地球の磁気圏が実は“二重スパイ”であり、太陽による大気の“強奪”をほう助している可能性があるという。
初期の火星も地球のように厚い大気で覆われていた可能性があるが、保護する磁場がなかったため、太陽風(太陽から放出される荷電粒子の流れ)の侵食を受けてしまった。金星も磁気圏がないため大気が減少し続けており、現在そのペースは火星より速いという。
地球を破壊的な太陽のパワーから保護しているのは磁気圏だというのが一般的な認識だが、実際には良い面ばかりではないらしい。新しい研究によると、太陽の荷電粒子が地球の大気をわずかに奪い去る際に、磁気圏もその行為を手助けしているという。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の宇宙物理学の教授であるクリス・ラッセル氏は次のように話す。「現在、地球の酸素や水素は金星よりも速いペースで失われている。地球に暮らす生物は幸運の星のもとに生まれたんだって、仲間内でよく言っているよ。盾のような磁気圏が私たちを守ってくれているからね。しかし磁気圏は、大気まで保護してくれるわけではないようだな」。
現在、金星と火星の大気は欧州宇宙機関(ESA)の火星探査衛星マーズ・エクスプレス、地球の大気はNASAの小型衛星SMEXによって追跡調査されている。SMEXには、地球の磁気活動を測定する機器も搭載されている。
「地球の磁気圏には、太陽からの放出物と相互作用してエネルギーを蓄積する役割があり、太陽風からエネルギーを抽出することができる」とラッセル氏は説明する。
太陽エネルギーは磁場によって上層大気に送り込まれ、それにより大気が暖められる。しかし大気の一部は、エネルギーが送り込まれる際とまったく同じ磁場経路をたどって外に漏れ出してしまうのである。
「物理的にどのような現象が起こっているのか正確なところはまだ解明されていないが、それでも心配する必要はない。現在の減少率なら、地球が存在している間は大気が消失することはない。実際にはそれより先に太陽が膨張して赤色巨星に変化し、地球をのみ込んでしまうだろう。そうなれば大気の損失など意味のないことだ」と同氏は解説した。
初期の火星も地球のように厚い大気で覆われていた可能性があるが、保護する磁場がなかったため、太陽風(太陽から放出される荷電粒子の流れ)の侵食を受けてしまった。金星も磁気圏がないため大気が減少し続けており、現在そのペースは火星より速いという。
地球を破壊的な太陽のパワーから保護しているのは磁気圏だというのが一般的な認識だが、実際には良い面ばかりではないらしい。新しい研究によると、太陽の荷電粒子が地球の大気をわずかに奪い去る際に、磁気圏もその行為を手助けしているという。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の宇宙物理学の教授であるクリス・ラッセル氏は次のように話す。「現在、地球の酸素や水素は金星よりも速いペースで失われている。地球に暮らす生物は幸運の星のもとに生まれたんだって、仲間内でよく言っているよ。盾のような磁気圏が私たちを守ってくれているからね。しかし磁気圏は、大気まで保護してくれるわけではないようだな」。
現在、金星と火星の大気は欧州宇宙機関(ESA)の火星探査衛星マーズ・エクスプレス、地球の大気はNASAの小型衛星SMEXによって追跡調査されている。SMEXには、地球の磁気活動を測定する機器も搭載されている。
「地球の磁気圏には、太陽からの放出物と相互作用してエネルギーを蓄積する役割があり、太陽風からエネルギーを抽出することができる」とラッセル氏は説明する。
太陽エネルギーは磁場によって上層大気に送り込まれ、それにより大気が暖められる。しかし大気の一部は、エネルギーが送り込まれる際とまったく同じ磁場経路をたどって外に漏れ出してしまうのである。
「物理的にどのような現象が起こっているのか正確なところはまだ解明されていないが、それでも心配する必要はない。現在の減少率なら、地球が存在している間は大気が消失することはない。実際にはそれより先に太陽が膨張して赤色巨星に変化し、地球をのみ込んでしまうだろう。そうなれば大気の損失など意味のないことだ」と同氏は解説した。