超空洞からの贈り物

様々なニュースや日常のレビューをメインに暗黒物質並に見つけ難い事を観測する、知識・興味・ムダ提供型共用ネタ帳です。

緑茶の癌(がん)予防効果の確証得られず?

2009年08月10日 01時29分36秒 | 健康・病気
 過去20年にわたる51件の研究を対象としたレビューの結果、緑茶の癌(がん)予防効果については、未だ明確な答えが出ていないことが示され、医学誌「The Cochrane Database of Systematic Reviews(コクランシステマティックレビュー・データベース)」7月8日付オンライン版に掲載された。

 今回のレビューでは、肝癌、乳癌および前立腺癌については緑茶による予防効果がある程度認められたものの、膀胱癌リスクは逆に増大する可能性が示された。食道癌、大腸(結腸直腸)癌、膵癌など消化管の癌では一致する結果が得られず、著者らは肺癌、膵癌、大腸癌の予防効果については限定された証拠しか認められなかったと記している。「これほど多数の研究について検討しても、緑茶の癌予防効果については明確にできない」と、筆頭著者であるドイツの癌研究グループ(Oncology Study Group)の一員、Katja Boehm氏は述べている。

 今回の研究では、緑茶を日常的に飲んでいるアジア人計160万人を対象とする研究をレビューした。Boehm氏によると、緑茶の摂取量やさまざまな癌の成長(増殖)の仕方が一定でないために、緑茶の癌予防について決定的な関連性を見出すのは困難であるという。「1つ確かなことは、緑茶の摂取だけでは癌予防にならないということである」と同氏は述べている。

 緑茶には強力な抗酸化物質であるカテキンをはじめ、ポリフェノールが豊富に含まれている。ポリフェノールは同じ植物(チャ)を原料とする紅茶やウーロン茶にも含まれるが、緑茶のポリフェノールには特有の癌予防効果があると主張する研究者もいる。米Moffitt癌センター(フロリダ州)のNagi Kumar氏は「緑茶に含まれる物質には確かに有望性がある。この分野の研究は現在、緑茶成分に似た薬剤を用いて有効性と安全性を試験し、癌予防効果の有無を検討する段階まで進んでいる。時間が経てば答えが出るはずだ」と述べている。

 Boehm氏とGumar氏はともに、この件についてはさらに徹底的な研究が必要であると述べるとともに、仮に利益がなくても適量の緑茶を飲むことは安全であるとの見解を示している。Boehm氏によると、1日の摂取量は1,200ml(カップ5杯強)を超えないほうがよいとのこと。

幹細胞を利用した“生物学的ペースメーカー”

2009年08月10日 01時04分04秒 | 健康・病気
 ヒト脂肪組織由来の幹細胞によって、現在ペースメーカーを用いて治療されている心臓の伝導障害を改善できる可能性のあることが日本の研究チームにより示され、米ネバダ州レイクラスベガスで開催された米国心臓協会(AHA)基礎心血管科学(BCVS)年次集会で報告された。

 今回の研究では、マウスの褐色脂肪組織由来の幹細胞から、心臓の伝導組織に似た特性をもつ“拍動beating”細胞を培養。その細胞を、房室(AV)ブロックと呼ばれる伝導障害によって心拍数の減少したマウスに注入した。1週間後、半数のマウスにAVブロックの完全な回復または部分的な回復が認められたが、対照群のマウスには全く変化がみられなかったという。この拍動細胞は識別しやすいよう緑色に着色されており、心臓の電気伝導系をつかさどる部位の近くに付着しているのが認められた。

 「電子ペースメーカーは、伝導障害のみられる患者の姑息的治療(有用だが治癒にはつながらない治療)によく用いられるが、誤作動の問題や、電池と電極を何度も交換する必要があるなどの短所がある。細胞治療によってこのような問題を克服できる可能性がある」と、筆頭著者である千葉大学大学院医学研究院の高橋聖尚(としなお)博士は述べている。

 褐色脂肪組織から得られる間葉系幹細胞(MSC)は、骨、ニューロン、筋、肝および脂肪細胞などのさまざまな細胞に成長できることがわかっている。今回の研究では、この細胞を単離した後、自発的に拍動する細胞群を培養することに成功。心臓の筋線維に似た管状の細胞群が認められると同時に、どの細胞にも蛋白(たんぱく)などで心臓ペースメーカー様細胞との類似性がみられた。「この知見から、褐色脂肪由来の間葉系幹細胞から抗不整脈治療に有用な細胞が得られる可能性が示される」と高橋氏は述べている。

有望視される新しいアルツハイマー病の治療法

2009年08月10日 00時29分36秒 | 健康・病気
 アルツハイマー病の発症および進行にかかわる2つの異なる脳異常について新しい治療法が有望であることが示され、ウィーンで開催されたアルツハイマー協会2009国際アルツハイマー病学会(ICAD)で発表された。

 第一の研究では、dimebolin(Dimebon)と呼ばれる薬剤(※ロシアで臨床応用されている抗ヒスタミン薬)がヒトおよびマウスの認知機能を改善する可能性が示されると同時に、この薬剤がアルツハイマー病の顕著な特徴であるプラーク(老人斑)の主要な構成要素である脳内のアミロイドβ(ベータ)のレベルを増大させることが判明した。世界中の製薬会社が脳内のアミロイドβを減少させる物質を突き止めようとしのぎを削る中、今回の知見は「極めて驚くべきものであり、予想外であった」と、研究著者の米マウントサイナイMount Sinai医科大学(ニューヨーク)アルツハイマー病研究センターのSamuel Gandy博士は述べている。

 この知見から、これまでのアルツハイマー病治療薬やアミロイドに関する考え方が変わってくる可能性があるとGandy氏はいう。dimebolinが脳の過剰なアミロイドを中和して排出させる可能性もあれば、アミロイドがニューロンの中ではなく外側にあることが何らかの利益をもたらしている可能性もある。さらに、「アミロイドβがアルツハイマー病の“主犯格”ではないことも大いに考えられる」と専門家は述べている。

 アルツハイマー病協会のRalph Nixon博士によると、複数の製薬会社がこの薬剤の米国食品医薬品局(FDA)承認に向けて取り組んでいるという。「第3相試験でこの薬剤の効果が裏付けられれば、アルツハイマー病の根本的な原因や発症をもたらす因子について手掛かりを突き止めるための強力なツールとなると思われる」とNixon氏は述べている。

 2番目の研究では、アルツハイマー病にみられる脳の神経原線維のもつれ(tangle)を引き起こす「タウ(tau)蛋白(たんぱく)」を標的とするワクチンが、少なくともマウスで有効であることが明らかにされた。イスラエルの研究グループが、遺伝的に神経原線維のもつれを発症するよう操作したマウスを用いて、3種類のリン酸化タウペプチドまたは短縮型タウ蛋白の併用による免疫処置を実施した結果、神経原線維のもつれに40%の減少が認められ、脳炎症は認められなかった。

 このほか、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)による関連研究では、ビタミンD3をクルクミンと呼ばれるスパイスに含まれる物質と併用することにより、脳のアミロイドβを除去する免疫システムが促進される可能性があることが示され、米医学誌「Journal of Alzheimer’s Disease(アルツハイマー病)」7月号に掲載された。

地球にとてもよく似た、衛星タイタン

2009年08月09日 23時26分46秒 | 宇宙
タイタンの表面は、地球にそっくり



現在タイタンに見られる複雑で多様な地形は、地球もこれまでに経験してきたような風や雨、火山、そのほか地質学的なプロセスを経て形成されたようだ。タイタンの表面はクレーターが少なく年代が若く、連なる山や砂丘、湖も存在することが明らかとなっている。一方、大きく違うのは、それらの地形が、地球の南極より100度以上も低い温度下で形成された点である。

NASAのジェット推進研究所の惑星地質学者Rosaly Lopes氏は、「タイタンの表面が地球にここまで似ていることはほんとうに驚きです。太陽系内の天体の中ではもっとも地球に似ています」とコメントしている。

タイタンの北極地方には多くの湖が存在し、南極にも散在している。湖を満たしているのは、メタンやエタンなど液体の炭化水素と考えられている。タイタンではメタンが地球における水の代わりとなっていて、蒸発と降雨という循環を繰り返し、気体、液体、固体と変化しているという。メタンの雨は川となり、湖を満たし、浸食を起こすため、ほかの天体では当たり前のように見られるクレーターを消し去ってしまう。

原始の地球に似た組成



NASAの土星探査機カッシーニの可視光・赤外マッピング分光器(VIMS)による観測から、タイタンに火山が存在する証拠が見つかった。VIMSは、タイタンの表面で反射した太陽光を調べて、地表付近の大気などを調べることができる。

VIMSの観測結果によれば、Hotei Regioと呼ばれる領域ではアンモニアの霜が見られ、その後消失したか別の物質に覆われた。アンモニアは、長い間地表に留まることはできない。どうやらタイタン内部のアンモニアを表面に運ぶプロセスが存在するようだ。実際、アンモニアが検出された地域の近くでは地球の火山に似た地形が見つかっている。

ジェット推進研究所の上級研究員Robert M. Nelson氏は「これらの画像は、タイタンの氷火山(マグマではなく水などの冷たい物質が噴き出す火山)がアンモニアを地表にためていることのさらなる証拠です。私たちは常に、アンモニアにメタンや窒素を加えたタイタンの大気組成が、生命が誕生したころの地球とよく似ていることを意識してきました。タイタンにおける化学反応が、生命誕生につながるような物質を作り出せるだろうか、と考えてみるのは実にわくわくします」と話している。

ベテルギウスの質量放出の謎にせまる

2009年08月09日 23時24分26秒 | 宇宙
ヨーロッパ南天天文台(ESO)の大型望遠鏡(VLT)による観測で、2つのチームがオリオン座のベテルギウスの詳細な姿をとらえた。表面からガスを激しく噴き出し、太陽系とほぼ同サイズまでガスを広げながら迫りくる最期を待つ赤色超巨星の様子が初めて明らかになった。

全天の中でも極めて巨大な星として知られるオリオン座のベテルギウス。その規模ゆえに寿命が数百万年しかなく、近い将来起こるであろう超新星爆発の時には、昼間の地上からでもはっきり見えると予測されている。

このような超巨星が激しく物質を放出するしくみについて、このたび2つのチームがヨーロッパ南天天文台(ESO)の大型望遠鏡(VLT)を駆使し、その秘密にせまった。

パリ天文台のPierre Kervella氏のチームは、VLTの補償光学装置NACOで、「ラッキー・イメージング」(連写した中からシャープな画像を選び取る撮影法)を行い、37ミリ秒角という超高角分解能でベテルギウスを撮影した。これは、国際宇宙ステーション(ISS)にあるテニスボールを地上から認識できるレベルだ。

1枚目の図のように、ベテルギウスの表面から宇宙空間へとガスが広く流出していることがわかる。これは実に太陽から海王星までにも及ぶ距離だ。



また、上記の2枚目の図では、物質の放出の方向が偏っている様子がうかがえる。自転による極方向からの物質放出か?あるいはベテルギウス内部での激しいガスの噴出によるものだろうか?

その答えをもたらしたのは、ドイツのマックス・プランク電波天文学研究所の大仲圭一氏のチームだ。VLTと1.8m補助望遠鏡を組み合わせ、観測装置AMBERを使って、上述のNACOによるものの4倍(今度はISSのビー玉を認識できるレベル)の高角分解能での撮影に成功した。

「今回AMBERがとらえたベテルギウスは今まででもっとも鮮明なもので、表面の個所ごとにガスの動きの違いがわかるというのは、太陽以外の恒星では初めてのことです」(大仲氏)

これにより、ベテルギウスを取り巻くガスが上下に激しく流動し、星自身に匹敵するサイズの泡を生じている様子が確認された。このガスが、宇宙空間への膨大な噴出を引き起こすものと考えられる。

4つの銀河が衝突する「ステファンの五つ子」

2009年08月09日 23時13分39秒 | 宇宙
4つの銀河が絡んだ玉突き事故が、地球から2億8000万光年先で起こっている。

上の画像中央の青白い光の帯のすぐ右に、縦長に伸びる黄色っぽい渦巻銀河[2つの銀河があるが、このうち左側のNGC 7318B]は、時速約320万キロという勢いで、近接する銀河群の中を突き進んでいる。

画像中央に青白く見えている部分はX線で捉えたガス帯で、これは、この高速移動する渦巻銀河による衝撃波の影響と見られている。この部分の画像は、米航空宇宙局(NASA)のX線観測衛星『チャンドラ(Chandra)』で撮影されたものだ。

ほかにも黄色っぽい銀河が3つ、衝突に巻き込まれているが、これらの画像は、ハワイの休火山マウナ・ケア山頂にある『カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡』が捉えた可視光線による画像を用いて合成している。

5つ目に、画像の左下に青白い銀河[NGC 7320]が確認できるが、これは実際には他の銀河よりずっと手前の、地球から3500万光年ほどの距離に位置しており、衝突とは無関係だ。[NGC 7320は秒速800kmで地球から遠ざかっており、他の銀河は秒速6000kmで遠ざかっている。現在の宇宙膨張モデルに当てはめると、銀河群はNGC 7320よりも8倍も遠い位置にあることになる]

これら5つの銀河は、1877年にこれを発見した天文学者のエドゥアール・ステファンにちなんで、「ステファンの五つ子」の名前で知られている。

[銀河群に属している銀河は、今後数十億年は相互作用を続けていき、最終的には、銀河同士が合体して楕円銀河を形成していくと考えられている]

ロシア軍のUFO遭遇は水中

2009年08月09日 23時07分32秒 | 軍事
『Navy Times』でブログ『Scoop Deck』を書いているPhil Ewing氏が、すごい獲物をキャッチした。ロシア海軍が、冷戦時代のUFO目撃記録を機密解除したのだ。[UFOはもともとは「未確認飛行物体」の意味。潜水しているものは未確認潜水物体(Unidentified Submerged Object; USO)という]

たとえばあるロシア将校は、「UFO遭遇の50%が海がらみだ。15(%)以上は――湖がらみ。つまりUFOは水に強い関連がある」と説明している。

ある潜水艦長は、「計器から推定すると、信じられないスピードで動く物質が観測されている、ということが幾度もあった」と思い出している。「計算結果は、約230ノット(時速約400キロメートル)を示していた。これほどのスピードは水面上でも難しいが、水中の抵抗は段違いに大きくなる。物理学の法則を無視したような物体だった。考えられることは1つしかない。それを作ったのは、発達段階においてわれわれをはるかに凌ぐ生物だというものだ」

「われわれをはるかに凌ぐ生物」というのは米国人ではないか、というのはもちろん冗談だ。[現代の最新鋭の潜水艦の水中速度は機密情報だが、米海軍の『シーウルフ級』で35ノット、ロシア海軍のシエラ級945型で36ノットと推測されている(ともに原子力潜水艦)]

1982年に起きたというある事件では、世界でもっとも深い湖であるバイカル湖にて、訓練を行なっていた海軍のダイバー3名が死亡したと伝えられている。生存者が語るには、「銀色のスーツを身につけた、ヒューマノイド的な生物の一団」と説明するものを[水深50メートルで]追跡していたという。

[前にリンクされている記事によると、バハマ、バミューダ、プエルトリコなどで、ロシア軍かNATO軍の艦隊が集合したときにUSO現象が多く観測されたという。また、バイカル湖では、深い水中から強力な光が見えたり、水面から何かの物体が飛行したりしたという。なお、これらの記録は、ロシア海軍に属する一部の集団がまとめていたもので、同海軍が公的にUFO遭遇を認めたわけではない]

今世紀最大の科学ミステリー? 火星で見つかった「モノリス」

2009年08月09日 23時05分29秒 | 宇宙
先月、アポロ11号月面着陸40周年を記念して行われたTVインタビューのなかでアポロ11号で月面着陸を果たしたバズ・オルドリン宇宙飛行士がNASAの火星探査衛星「マーズ・リコナサンス・オービター(MRO)」が撮影した映像の中に「2001年宇宙の旅」に出てくる「モノリス(石版)」のような人工物が見つかっていたことを暴露し、大きな波紋を呼んでいる。

上がオルドリン宇宙飛行士が指摘した全体画像(PSP_009342_1725/PSP_009342_1725_RED.NOMAP.JP2)となる。この画像は、衛星画像用に利用されているJPEG2000という専用フォーマットを用いた上でしかも、20047x44999ピクセルもの大きさがあるため、この画像から問題の「モノリス」の画像箇所を特定することはほとんど不可能だろう。

画像下が、オルドリン宇宙飛行士が指摘した問題の「モノリス」部分の拡大映像となる。



たしかに墓標のような人工物が立っていることが判る。

誰がこの画像に「モノリス」のような物体が写っていることを最初に見つけたかについては明らかとなっていないが、画像の特殊性から考えて、MRO計画に従事している専門研究者が発見し、オルドリン宇宙飛行士を含むNASAの幹部職員にだけ伝えられていた可能性が高そうだ。

NASAの火星探査衛星「バイキング1号」は1976年に火星のシドニア平原でその後、「火星の顔(face on Mars)」という名称で有名となるヒトの顔を模した人工的な遺跡のような映像を撮影。大きな話題となったこともあるが、その後の観測技術の向上により、「火星の顔」は単なる、光の屈折による悪戯であったことが判明したということもある。

しかし、この「モノリス」に関しては「火星の顔」に比べると非常に規模が小さいこともあり、今のところ、この物体がほんとうに人工物なのか、それとも単なる光の屈折の悪戯によるものなのかなど、詳細は不明だ。

アポロ11号は実は月面着陸をしていなかったといったアポロ捏造説がある一方で、火星で人工物のような物体があるといったトンデモ説もその手の書籍を賑わしている。しかし、今回のこの「モノリス」に関してはアポロ11号の搭乗員とて人類として初めて月面探査を行った正にその当事者で、現在もNASAの広告塔として活躍をしている有名人による発言となる。

オルドリン宇宙飛行士の発言の真意はどこにあるのか? 文字通りそれが事実だとしたら、それこそこれまでの科学的常識が全て覆されてしまうことになってしまうことになるだろう。

LHC、当初予定の連続重心系衝突エネルギーは得られない見通し

2009年08月09日 23時04分04秒 | サイエンス
欧州原子核研究機構(CERN)がスイスとフランスの国境沿いに建設した世界最大の素粒子物理学実験施設「大型ハドロン衝突型加速器(LHC)」に関して、連続重心系衝突エネルギーは、当初予定されていた7TeVに届かず、4TeVのエネルギーで実験の再開を行う方向で調整が進められていることが4日、明らかとなった。

同日付けのニューヨークタイムズ紙の記事によると、昨年9月に冷却用のヘリウム流出事故を契機に加速器内部の配線などの再点検作業が実施した結果、事故を起こした問題箇所以外にも多数の不具合が見つかり、個々の不具合を全て解消させた場合、運転休止期間が更に延長し、いつまで経っても実験再開の目処にこぎ着けない状態に陥ること、また、今秋の実験再開となった場合、欧州の電力事情の制約から加速器運用に関わる十分な電力を得ることができないことが、実験エネルギーを当初予定値から大幅に引き下げる判断へとつながった模様だ。

LHCの目標は「ヒッグス粒子(Higgs boson)」の発見にあるが、このまま実験停止が継続した場合、実験エネルギー的にははるかに小規模な米フェルミ国立加速器研究所の加速器にヒッグス粒子発見の成果を先取りされ、LHC建造の当初目的が消失してしまうというジレンマを抱えていることもまた、実験エネルギーを実験エネルギーを当初予定値から大幅に引き下げる判断へとつながったのではないかと見られている。

フェルミ国立加速器研究所の加速器の実験エネルギーは2TeVとなっており、仮にLHCが4TeVで実験再開をしたとしても世界最大の加速器というタイトルに関してだけは維持することが可能。しかし、7億ユーロもの巨額の科学予算を投じて建造されたLHCが、設計仕様通りの性能を発揮することができないということは、今後のEUの科学振興予算配分にも少なからず影響を与えそうだ。

まったく不可解な構造、米海軍研究所の実験航空機

2009年08月09日 23時00分03秒 | 軍事
この写真を見ただけでこの奇妙な物体の3次元的形態を認識することができる人は果たしてどれだけいるのだろうか?

この画像は実は6月3日に米海軍研究所(NRL)が初の飛行実験を実施した燃料電池を用いた無人航空機「XFC (eXperimental Fuel Cell) 」のものとなるが、見ての通り、この2次元の映像は「騙し絵」のようなものとなっており、この画像からでは、この航空機がいったいどのような形態をしているのか、まったく理解不能だ。

画像下は、XFCを下側から撮影した映像となる。この映像で初めてこの航空機の特異な形態が理解できるところとなるが、左右の主翼は非対称的でしかも主翼と胴体の接合箇所も、左右の主翼で異なっているのが判る。



わざわざ、こんな奇妙な構造を取る理由がどこにあるのだろうか?

残念ながら、NRLでは、水素燃料電池を用いた実験によりXFCが6時間超に及ぶ長時間の耐久飛行実験に成功したことしか述べておらず、XFCがなぜ、このような奇妙な形態をしているのかについては一切の説明をしてない。

NRLでは、8月10~13日の予定でワシントンDCで開催予定の国際無人航空機協会(Association for Unmanned Vehicle Systems International)の年次会合の席上でこの奇妙な形をしたXFCの公開展示を行うと述べている。

詳しい理由を知りたければ、AUVSIの会合でNRLの研究担当者に直接質問してみた方が早いのかもしれない。