最近になって、マイナス金利によるメガバンクの店舗閉鎖、それに伴う人員削減が軒並み発表されている。アベノミクスにより、経済は良くなっているのでじゃないのか。株価は過去最高を更新している。しかし、大企業の不祥事、メガバンクのリストラ。一体何がおかしいのか。簡単なことである。株価は海外投資家により上がっているだけで、日本経済がけん引しているわけではない。日銀によるETF買い入れも年々減少している。一方、日銀は大量の国債を買い入れている。一度、通貨安により長期金利が上昇すれば、日銀のバランスシートは悪化し倒産する可能性もある。インフレ率は個人消費の低迷で、低いままで3%の目標は延期された。賃金も経団連などの経済界の反発により上がらない。個人所得は増えない。では、アベノミクスとは何なのか。答えは、単に株価を操作しているだけだ。問題は、政府が負うべき国債を日銀が肩代わりしているに過ぎない。それでも、社会保障費の増加により国債は1000兆円をこえるまでに膨らんでいる。2年後には消費税増税が確実に待っている。これも、プライマリー・バランスには使わずに教育無償化費用に当てるらしい。益々国債の依存度が高まり、日銀の国債買い入れ額は膨らむ。しかも、マイナス金利は止められないから、メガバンクはさらに疲弊する。一度、銀行が倒産すれば、企業の連鎖倒産が起きて禁輸危機が訪れる。海外資金は、引き上げ株価は大暴落する。そんなシナリオを描くこともできる。日本人は、世界有数の貯蓄大国であったが、金利がほとんどつかないために貯蓄率は年々低下している。そのため、家計の可処分所得は減る一方である。ブレーキをかけながら車を前に進めようとしている。車は一向に前に進まず、燃料だけが減っていく。それがアベノミクスだ。出口のない金融政策にいつまで頼っているのだろうか。痛い目に合わないとわからないが、痛い目に合うのは当事者ではなく国民自身である。