「草が化けて“花”・・」
僕の父親の、その葬儀の帰り路、
叔父が僕の横でぽつりと呟いた言葉・・
その意味がよくわからず、叔父にその意味を問うと、
「“花”とういう字を思い浮かべてみろ。草冠に化けると書いて“花”・・だろ?」と、
そう答えてくれた。
叔父があの時、何を思ってそんな言葉を呟いたのか、
そのとき訊かなかったけれども、もしかするとそれは、
波乱万丈の末、花ともなれず、名も無き草としてその命を終えた、
僕の父の無念を思っての事だったのかも知れない・・
そして、その叔父も、この夏闘病の果てに天へと召された・・。
僕の父に負けない程の波乱万丈の人生を送ってきた人。
結局は叔父も、花とはなれず生涯を終えた・・。
葬儀の日、出棺前に棺の中にたくさんの人の手で花が手向けられた・・。
それを見て、僕はなんだか、空の上から叔父が苦笑いしているような気がしてならなかった・・。
畑の片隅に風にゆれるコスモスの花。
「上手く化けたものだ。」と思い眺めていると、
生前の叔父の元気な姿と、送ってくれた優しい言葉が思い出されて来た・・。
叔父は・・天に召されて花と咲いた。
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