粗大ゴミの向こう側に上部を伐られた大木が見える。
この風景は、今年1月に伐採後移植された菊名池公園の大イチョウと公園に隣接した土地の様子です。
大イチョウは元々、この土地には入らないスレスレの公園内に生えていました。
落ち葉が邪魔だということで近隣住民の方から苦情があり、それに対応する形で管理行政が伐採移植することを決定したのでした。
イチョウの移植後、この土地に建てられていた古い木造家屋は取り壊され、しばらくの間さら地となっていましたが、その後この写真のように粗大ゴミの集積所となりました。
きっと民間の粗大ゴミ回収処理業者に貸し出されたのでしょう。
しかしこのゴミ集積所には、誰かが勝手に粗大ゴミなどを置き去って行くそうです。
粗大ゴミ業者が回収したものでないのですから、不法投棄ということになります。
「公園内に生えていたのだから、ギリギリセーフのはず。」
「なのに、こんな立派なイチョウの木を伐採し移植するなんて、ひどい。」
「しかも、イチョウの生えていたすぐそばの土地が、粗大ゴミの集積所になるなんて!」
「粗大ゴミ集積所にするために菊名池の埋め立て前から生えているイチョウの木を伐採し移植したのか!」
「イチョウの木が生えていた方がずっと良かったじゃないか!」
こんなことを思う人も少なからず、いらっしゃるのではないでしょうか。
私の場合、色々な思いが頭の中を交差する中で、このような思いも駆け巡ります。
それは次のような状況もあるからです。
粗大ゴミの集積所も必要であることは、置かれているたくさんの粗大ゴミが何よりの証拠です。
不法投棄によるものもあるのでしょうが、多くの方たちが、この粗大ゴミ回収業者を利用していたようです。
つまり、この業者さんも、回収のための集積所も地域の人の役に立っていたはずなのです。
しかし、この粗大ゴミ集積所も苦情があり年内になくなるそうです。
イチョウの木は、落ち葉が邪魔だとの苦情が理由で伐採移植。
その後できた粗大ゴミ集積所も苦情があり、撤退することになった。
これはそんな様子の写真です。
さて…、
この写真を見、ここまでの説明を聞いて、みなさんはどんなことを感じられるでしょうか…。
それがこの風景が物語るものです。
いろいろな思いが交差する中、私の中で結論として導き出されるのは、人間の身勝手さです。
緑や生物多様性の保全も、ゴミ問題も、どちらも重要な環境問題です。
邪魔なものはなくしてしまえばよいという安易な考えには、非常に疑問を持ちます。
色々な考えを持った人が冷静に話し合い、物事を多角的に考え良い結論を導き出すというような、
本当に良い社会づくりができないものなのでしょうか。
誰が掃除するかしないか
それだけで
イチョウを移動しました