三木奎吾の住宅探訪記

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。

【コロナ以後、住宅「間取り」は変化するか?】

2020-06-24 05:33:12 | 日記

先日のブログで住宅デザインの「国風化」はいつ始まるか、みたいなことを
書いたら、知人の方からお知らせをいただいた。
そもそも北海道はそういう問題意識とはどうも少し違うというご意見。以下要旨。
〜「国風化」というと、「外国文化」対「日本文化」のように見えたりもしますが、
実は「西洋の輸入品の仕組を理解し改良・改造しようとする気風が生まれる」ことかと。
とすれば、北海道の住宅史では大正時代なのかも。
改良・改造に関する気風として、北海道特有の注目点は、対外国だけでなく
日本の風習まで「実用本位、合理化、簡素化」を追求するところ。
良く知られている会員制の結婚式。ヴァーチャル門松の門松カードに抵抗がなく、
葬式ではヴァーチャル供花の供花紙を使い市役所で購入できてしまう。
アフターコロナの「新しい生活様式」にもかぶって見えます。〜というご意見。
まぁ北海道では住宅デザイン変化よりも「暮らし方」の「課題の先進性」が強く
もっとも合理的に対応する結果、変化が劇的に早いのではということ。
写真は伝統的な和風の「続き間」ですが、
こういった「格式化」された間取りの日本住宅は厳しい気候風土で
ただちに存立意義を喪失し居間中心・暖房全室一体化の「間取り」に変わった。
高断熱高気密という当然の「いごこち進化」が達成されて、
全館暖房に進化し、間取りは伝統を無造作に捨てたのですね。
むしろ日本人は合理精神の方が伝統よりもはるかに優越しているのではないか。
その合理主義がもっとも激烈に発揮されるのが北海道なのかも知れません。

そういう流れの中で、今回の新型コロナ禍。
圧倒的な感染経路としては「接触と飛沫」ということから、
抱擁握手という欧米的コミュニケーションよりも非接触型お辞儀文化的な
「ソーシャルディスタンス」が行動変容と推奨されている。
それ自体はむしろ世界が日本化に舵を切ってきているともみえる。
「空気感染」はエアロゾル感染が危惧されるけれど、
それは3密条件が揃う空間でスプレッダーが存在する環境で
限定的に発生するとされている。
対応としては「換気」の必要性が指摘されているけれど、
だからといって、家の中に感染者家族がいて共生することを前提にしての
「間取りでの個室化」「換気経路での下手側への隔離」などは、
今後の住宅建築で「一般化」するかどうか、きわめて疑わしい。
まずは「寒さと暑さ」からの防御性能が基本。人間の健康環境では最優先。
コロナ禍の「接触と飛沫」への対応に相当するとも思える。
隈研吾さんの先日のNHKでの発信を意図的に曲解して、
気密を敵視しスカスカの「通風性重視」型住宅のほうがいいなどと
吹聴する傾向には、大いに注意すべきだと思います。
新型コロナ対応で、「接触と飛沫」防止を最優先して、
3密空間では換気に十分に配慮すべきことをアナロジーすれば、
今後の住宅づくりに当たって、高断熱「高気密」は絶対の条件だと思います。
その上で計画的に換気していくことが基本。
人間の健康を守る基本に忠実に、合理的に対応すべきでしょう。

その上で、一方ではテレワークへの住宅側での対応は不可欠でしょう。
テレワーク可能な「個室」は必要性が高まるけれど、
さりとて完全な個室というよりは防音性の高い「書斎」的空間が求められる。
増え続けている夫婦共働きの場合、それが複数必要になる。
さらにその全体間取りの中での空間配置も要検討要素。
メリハリの効いた空間作りが求められるので、
全体の空間規模は大きくなることが予測できると思われる。
さらにそういうテレワーク空間を取り込んだ上で、住宅全体のデザインも
再度、大きく変容していくことが考えられますね。
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