-アラジンストーブ メンテナンスと販売- 暮しの道具とストーヴ『KEM-G』

芯上下式石油ストーブのメンテナンスと在庫ストーブのご紹介などなど
(石油機器技術管理士の資格を取得しています)

#0166 アラジンの原点#IRのフルメンテナンスの巻

2022年11月30日 | 日記
横浜にお住まいのM様から、IRのメンテナンスを承りました。





IRはアラジンの原点となるストーブで、歴史はここから始まっています。

芯の固着や汚れはあるものの、タンク、チムニー、フレームともに状態は良好で

とても70年以上経っているストーブには見えません。





ただし、外観の見た目の良さでは分からない、IRや#15の致命傷があるかどうかが心配。


以前にご紹介した、タンクから垂直に芯を上下させるツマミが出ているタイプの

機構をもう一度ご紹介すると、



コレは壊れた#15から取り出した芯を上下させる部品です。

左上のツマミ部分以外はタンクの中に隠れてしまっているので普段は見えません。

次に挙げるもう一枚と比べてください。



ツマミの下の方に「ネジ」のようなものが出てきているのが分かります。

ツマミ直下の円筒形の部分の中にネジが切ってあり、ツマミを回すことで

ネジが出たり入ったりして、その動きをシーソーの原理を使って芯を

上げ下げさせるのが、このタイプのアラジンの特徴。


先ほど「致命傷」と言ったのは、ネジ山が摩耗していることが原因で

ツマミを回していると、持ち上げてきたネジ棒がストンと落ちてしまう

ことがあるんです。


この部品はタンクの中に隠れており、普段は見ることも手を入れることも

できないので、もしこの症状があった場合は残念ながら直せません。


ただ、新兵器を使って見ることはできるようになりました。



スネークカメラです。

給油口からカメラレンズになっている先端を差し込み、

タンク内のネジ棒部品のある所まで送り込んでいくと見られるんです。

カメラにはメモリーカードが付いているので、写真も撮ったのですが、

撮影した写真をこのブログに載せる方法が分からず、今回は諦め。


このスネークカメラで確認したところ、ネジ山はしっかりとしており、

まだまだ十分に使用できることが確認できました。


さて、一番の心配事が解決できましたので、あとはいつも通りに

磨いていきます。


タンクの裏には、こんなスタンプが。



Made in Englandじゃなくて、「GREAT BRITAIN」

GREAT BRITAINという言い方はいつまでされていたのかを

調べてみたくなりました。




この時代のアラジンは、上部リングという部品までキチンとホーロー処理

されていて丁寧なモノづくりだったことが偲ばれます。


マイカを交換し、燃焼系回しの部品を磨き上げて完成。

窓枠のネジは可能な限りオリジナルのマイナスネジを使うことにこだわります。



また一台、眠っていた往年の名機を復活させることができました。




なんとか年内の仕上げに間に合いました。

Mさん、IRと過ごす暖かい冬をお楽しみください!













#0165 変わり種ストーブ2種の巻

2022年11月03日 | 日記
お馴染みのスタイルのストーブの他に、ちょっと変わった形のストーブが

2台あります。  

今回はそのストーブをご紹介しましょう。


まず最初は、あのアラジンなのですが、形が全く違うアラジン。


四角いんです。高さは68cm。

写真では直方体のように写っていますが、実物はかすかに台型です。

中はこんな感じ。



燃焼系部品の大きさは、いつものアラジンの約半分ぐらいでしようか。



芯の直径も45ミリで、いつものアラジンの74ミリと比べると、

かなり細くて小さい感じです。



タンクのサイズは22cm×17cm×高さ7cm程度なので、

容量は2.5ℓぐらいでしょうか。

芯が細い分、炎も小さいので、直ぐにタンクが空になることは無いでしょうが

それにしても随分とコンパクトなアラジン。

パッと見ただけでは、ストーブとは分かりません。



さて、続いては、こちらもストーブらしからぬデザイン。



イギリスのVALORというメーカーのストーブ。高さは63cm。

このストーブを陳列していると、「コレはなんですか?」とよく聞かれます。

先ほどのアラジンもそうですが、このVALORもおよそストーブらしくない。

中はこんな感じです。




こちらのタンクもコンパクト。



芯も細いタイプのものを使用します。



昭和の時代に「バックシャン」という言葉がありましたが、

このVALORは、私に言わせれば「英国生まれのバックシャン」

上に行くほどすぼんでいく三角錐デザイン。

とてもスッキリしてます。



正面左下には、擦れて塗装が剥げてしまった部分がありますが、

それ以外は大きなダメージはありません。



元々貼ってあったステッカーはすっかり文字が読めなくなってしまっていますが、

それもこのストーブが経てきた年月を思い起こさせます。


底板が入っている梱包段ボールはヨレヨレですが頑張ってます。




芯はこの箱に入っているモノを使います。

手に入りにくくなってきてはいますが、まだなんとか手に入ります。


今回ご紹介した2台のストーブ。

奇抜なデザインで、ストーブらしからぬところが魅力的。


いずれ嫁入りするこれらのストーブ。

いったいどんな空間で活躍するのか、とても楽しみです。


どうにも気になる方、お問い合わせをお待ちしております。