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「壊れているから修理しよう」

2017-09-09 | 筑紫野市 小児歯科
男児さんにひょんなことから出た言葉があります。

その男児さんは小学校低学年。
診察台に座ることも、座ってからも診療を恐がる「非協力」さんでした。
歯科の診療は、診療する側とされる側が協力し合うことで成立するので、バタバタ危険なほどに診察台で治療を拒否して暴れたり、口さえ開けようとしないお子さんは、歯科ではそういうふうに表現されます。

その男児さんはご機嫌だと会話は成立します。
嫌だと思うことは拒絶。拒絶すればそこの成長を促すことは考えず、拒絶が通ってきたようです。
そのため、歯の虫歯は重症なレベルです。
このまま暴れたりされるならば即刻治療してあげたくても不可能で病院歯科紹介になるのです。

こういう患児さんもたくさん見受けますが、
"高"年齢化を感じる場面です。
非協力さんで治療を優先する許可を親御さんから得られた場合のみ身体抑制具を使用しますが、
もう、身体抑制具で押さえて治療できる年齢を超えています。
しかも当院に来院した時には重症のレベル。


様々なタイプの患児さんがいますが、この男児さんの学校には行けてるわけだし、学校ではどう生活しているのだろう...、どうしたら治療の必要性を理解できるだろうか?、また、必要性は理解できるのか?などと今回も考えていたのですが、
その男児さんが診察室に入る直前まで車のおもちゃで遊んでいたた流れで、診察室へ誘導する時に
ふと
「さあ、修理しよう!」
と口に出たのでした。

「お口の中の歯が壊れてるよ。修理しなきゃご飯が食べられないからね。修理しよう!」
と続けてみました。

すると、いつもは診察台に上がることさえ時間がかかるのに、
フッと腑に落ちたように診察台に自ら上がって来ることが出来たです。
掴んだ...!
と思った瞬間でした。

その言葉が男児さんのどこにヒットしたのかはわかりません。
いつもは
「ムシバイキンをやっつけよう」
とか、
「ご飯が食べられないから、歯を治そう」
とは言っていました。
しかし今まではそれらにはヒットせず、でした。


「修理」という言葉一つで腑に落ちてくれて本当に良かったです。

今回、相手は男児さんでしたが、
「歯が壊れている」
というのは老若男女に言えます。

とても重症な状態で、何本も頭が無くなるほどの歯が存在したままの方々もおられます。
一刻も早く歯を「修理」しなければ、
歯は爪が生えるように元に戻ることは無く、悪化するばかりです。

皮膚や粘膜組織の外科的侵襲は、再生できると言っても良いでしょう。
しかし、歯は再生しません。
歯を治す=悪い部分を削り取る
ということです。
削り取られた場所を銀歯や樹脂できると穴埋めしているだけですので、
歯の疾患は小さいうちに発見され、早く治療することが必要なのです。

たくさん治療の必要な歯があることは、
お口の中がとても「壊れて」いて「修理」が必要なのです。

人は不思議なもので、自分はまだまだ大丈夫、と思いがちです。
あれは、何のフィルターがかかっているんでしょうか...通院は面倒、治療は怖いし、というフィルターでしょうか...。

家電が「壊れて」いて、使い勝手が悪くなったり、動かなくなったらすぐに「修理」しますよね?
買い替えも最近は頻繁に行われてはいますが...。

歯を含め、自分の体はどうでしょう。
「壊れて」いても
「大丈夫、なんとか使えるオッケー」
と「修理」をすぐにしないことありませんか。
「壊れてますよ」と説明したとしても、
治療が怖いとか、通院が面倒だとか、
心が渦巻く部分、出ちゃいますよね。

壊れるとか修理とか、そういう表現を使うのは、
大抵生き物でなく、物に対してですが、
人間も、歯が悪くなったりも含め、体が悪くなることは、すなわち「壊れた」いうことなんです。
すぐに治さないといけないと思うのですが...。


当院では重症な場合や精密な検査が必要な場合、
また、他の疾患をお持ちの方などは病院歯科の紹介も行ないます。
それには、例えば単科の耳鼻咽喉科や内科、小児科、整形外科、病院歯科との連携があります。

さらに高度な診査や検査、安全な治療、迅速な治療が必要だから紹介するのです。
治療が出来ない、と無責任に投げるのではなく、
次の段階へ協力を要請したり引き渡す、つまり単科や病院歯科へ紹介状を書くわけです。

虫歯や歯周病が重症な場合は、長い間歯科から足が遠のいていた、という場合が多いです。
様々な事情があるかも知れませんが、もっと早く診察出来ていれば、通常の通院が可能な場合もあったはずだと考えます...。

かなりの治療も請け負う当院が病院歯科を勧める状況は、かなり重症か、必ず必要な連携を求めているからです。

「自分」は生き物だから、「壊れて」なんかいない、と思いがちですが、
何か不具合がある場合は早めにチェックし対応することをお勧めします。


自分はまだ使えているから大丈夫、
ではなく、自分も「壊れている」かも知れない、
と想像できたほうがいいと感じます。

自分の体は自分で客観的には診れませんから...。

その相手は「自分」だけでなく、子供さんをお持ちの方は「子供」の場合もあります。
子供さんには判断能力はほとんどありません。
症状をうまく伝えることもできません。

「仕事があるから」「おけいこだから」と、残念ながら重症度、「壊れている」状況を見て見ぬふりしてしまう親御さんを感じることが多いです。

子供さんの場合、早めの受診、定期的に症状をチェックされることを強く願います。