町を歩いていると、ときどき看板や張り紙の前で立ち止まってしまうことがあります。それらがとても魅力的である場合もあるし、言葉の使い方が変だと思う時もあります。
この間から、そんな看板を何枚か見つけましたので写真を撮っておきました。
春夏冬
まずは、お店の屋号。秋だけありません。そこで屋号は「あきない」と読むのだそうです。昔、「春夏冬二升五合」と書いて、「商い益々繁盛」と読むのだと、どこかの飲み屋で教わりましたが、その一部を屋号にしたというわけですね。
大阪、JR大正駅の近くで見つけました。
いさ下てし落度速
国道43号線、安治川と六軒家川を跨ぐ安治川大橋の神戸寄り、橋脚の下で神戸方面向きに、こんな意味不明の書き込みが。安治川を歩道で渡って地上に降りたところで見えるようになっています。「さぁ速度を落とせ」という意味かな?でも、こんなの分かる人はどれくらいいるのかなと思ったのですが、実は文字を右から左に読まなければなりません。「速度落して下さい」と読めるでしょう。
いまどき、どうして、横書きで右から左なんだと考えましたが、実は、車両は右から左の一方追行通行になっているのでした。運転者が正面に見える文字を一字ずつ追っていったら読めるという「親切」だったんですね。
○○以外は××できません
二重に打消しをする文章。毎年桜の季節になるとこんな看板が出ます。車両の通行を制限しますよというお触れなのです。
車両通行止(自転車を除く)、と書いたらシンプルでいいのにと毎年、同じことを思い首を傾げるのです。あるいは、歩行者・自転車のみ通行可と書いたらどうでしょう。
これで思い出したことがあります。大阪から青森へ、日本海側を走る国鉄の特急列車のアナウンスがこんなふうだったと、言葉に関する本で読んだことがありました。
「この列車は、○○、○○、○○(と駅名を何十も読み上げたあと、)、以外には停車しません」何しろ大阪・青森間です。特急といえど停車駅は半端でないはず。…に停車するのか、…には停車しないのか、聞き手は長時間の注意を強いられるというのです。
今、ホームでの案内を思い出してみると、「途中の停車駅は○○、○○、○○…」と言っていますね。先に停車する駅と言っているのですから、聞き手にはわかりやすい。私たちは、文章を書いたり、原稿を考えたりするときに、同じ内容ならシンプルなほう、短いほうがよいと心得なければなりませんね。
もとの通行止めの話に戻せば、このテキストを考えた人は、「通行できない」ことを伝えねばという意識が初めにあったのではないか。だから、「通行できません」は厳然と存在し、そこにつなげる言葉は何かという発想であったのでしょう。
看板って楽しい。
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