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師走です。昨今は不況のせいかお店や会社のカレンダーもあまり見かけませんが、私が子どものころは年末になるとナントカ商店だの、ナントカ電気店だのと大して財力のない我が家にもカレンダーが何種類も届けられたものです。中でも庭園の写真のカレンダーは私のお気に入りだったらしく、写真の隅に小さく書かれていた「しょうざん」とか、「白沙村荘」という名前をこの年になっても覚えています(もちろん風景はまったく記憶がありません)。なんでも検索すればだいたいのことがわかる今と違って、それがどこにあるのかもよくわかりません。大人になってから憧れの「白沙村荘」を訪れたのでした。カレンダーの庭の写真の横には和服の女優さんが載っているカレンダーもあったように思いますから、呉服屋さんのカレンダーもあったかも知れません。
庭の写真に魅力を感じた、今から考えれば少しヘンな少年は、写真の横に添えられた俳句もいくつか覚えています。
若竹や夕日の嵯峨となりにけり 蕪村
静さに耐えずして降る落葉かな 虚子
おじさんになった今、年に何度か訪れる庭があります。奈良県庁にほど近い吉城園という庭園です。紅葉がきれいだろうと見当をつけて先日、カメラを持って出かけてみました。この吉城園の隣は有名な依水園という庭園です。こちらは知名度もあり訪れる人が多いのですが、吉城川という小さな小さな川を隔ててこちらの吉城園は、秋の行楽シーズンでも人がまばらです。その割に外国人観光客が多いのは、外国人なら無料で入れるからなのです。海外の観光客に奈良の魅力を伝えてほしいという県の方針なんでしょうね。もともと個人の所有だった吉城園は奈良県が買い取って、冬の間を除いて公開されています。私が初めて訪れたのは1999年だったでしょうか。あのころは春と秋だけの公開だったように思います。
昨年につづいて、紅葉の見事に時期に訪れることができました。苔と落ち葉がとてもきれいです。
年に何度か訪れるというのは、一番には庭園が見事であること。次に人の少なさ。奈良公園が大混雑するシーズンでも吉城園は人もまばらです。そして、250円という入園料の安さ。吉城川の向こうにある某園は庭も立派で美術館もあるけれど650円ですから年に何度も入れません。ついでにもうひとつ。かや葺きの離れ茶屋は、茶室として借りることができ(いえいえ、私にそんな高尚な趣味はありません)、日によって、お茶会の和服のご婦人の姿が庭で見られることも魅力のひとつです。
「奈良へおいでの際は、ぜひどうぞ」と紹介したい気持ち半分、でもあんまりわんさか来ないでねと思う気持ち半分です。冬の間はご注意くださいね。何年か前、埼玉県から来た友人に自信たっぷりに紹介したら、閉園期間だったという申し訳ないことがありました。
(写真はすべて先日撮影したものです)
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