大阪駅を9時ちょうどに出た新三田駅行き普通電車。川西池田で快速に、さらに特急こうのとりに線路を譲るこのローカルぶりがとてもいい。朝から明るい日差しがあり、少し雲が多くなってきたとはいうものの、気分も軽い出発です。
例によって、ほとんど準備というものをしていません。廃線敷マップというA42枚の地図をDL、プリントして持ってきたことと、水筒のほかには、地図の指示により懐中電灯を持ってきたくらいです。
武田尾駅は秘境駅だと思っていました。トンネルを出たらすぐに武庫川を渡って、またトンネルに入ってそこが駅。スノーシェルターの中にホームが作ってあるとか、新幹線の非主要駅(何と表現すればいいのだろう。通過列車の多い新幹線駅)のような近代的な雰囲気の立派なホームです。ホームには数人の客がいて、これから廃線跡を歩くらしい人たち、列車の写真を撮る人たち。ホームの大阪側は武庫川にかかる橋の上にあります。ホームを乗っける武庫川。考えてみると、阪神電鉄の武庫川駅もホームは武庫川の上にあります。
改札口まで下りてみると、橋げたの下が改札口になっています。ホームの長さに比べてゲートはしょぼい。が、ICOCA対応の自動改札機が二機。その横に小ぢんまりと券売機がおいてあります。その横のベンチではこれから廃線跡を歩くであろう人がおにぎりを食べています。改札口横のトイレに入ると、鏡にカゲロウの仲間が二匹、いや鏡に写っているので実際は一匹。モンカゲロウでしょうか、水辺であることを思わせます。
秘境駅だもんなと道路まで出ると、また驚き。自転車預かり所があります。係のおじさんもちゃんといらっしゃる。この秘境駅に誰が自転車でやってくるんだろうと思っていたら、阪急バスもこの駅までやってくるということが分かりました。さらにさらに、パークアンドライドでこの駅まで自家用車でやってきて出勤する人もそれなりにいるようで、周辺の景色に似合わないくらいの台数分の駐車場が作られています。帰宅してgoogleマップを見て気づいたのですが、新名神高速道の開通で注目を浴びた宝塚北SAと武田尾駅は直線距離で1kmくらいしか離れていません。新名神高速道方面からクルマでやってくれば宝塚や大阪まで短時間で行ける駅がこの武田尾駅だったということに気づきました。福知山線が新線になって複線化、高速化し、三田市に大きな住宅地ができて列車本数が増えたことで、この地区の人たちは町までの所要時間が短くなって便利になったということでしょう。へぇ、知らなかった。でも、四方を山に囲まれて武庫川が流れているだけのこの場所からは、高速道路の雰囲気はまったくありません。野生のフジがちょうどいい頃です。躑躅も崖に咲いています。ヤマブキもいい頃。が、ちょっと違和感のある看板が。「痴漢注意」。とっぷり暗くなってから電車を下りて、帰宅しようとしたら「出る」というわけですね。福知山線利用者はそれなりにある駅であっても、駅周辺には人が集まるところがないので、痴漢にとっては活動?しやすいところなんでしょう。みなさん、気をつけましょう。
18歳の時、旧線時代の武田尾で下車したことがあります。川辺で遊んだことは記憶にあるのですが、今回訪れてみて旧武田尾駅の駅舎がどこにあったのかは想像がつきません。温泉橋で対岸に渡って振り返ってみますが、まったく思い出せません。廃線跡の地図と比べてみると、駅からここまで歩いてきた道路がほぼ線路跡のはずなのですが、駅舎と川面はもっと近かったように思います。今、橋のこちら側から見て、川面と線路跡は10mくらいの高低差があるように思えます。40年以上前のことですからまったく忘れているのですね。しかし、温泉橋という割に見回しても温泉旅館は見えません。移転したのでしょうか、それとも昔から武田尾駅の近くには武田尾温泉はなかったのでしょうか。それに、福知山線旧線の印象は私の中で、山陰線の保津川辺りとどうも重なってしまいます。
(つづく)
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