子どものころから津山という駅名は知っていた気がします。姫路駅でよく見た駅名です。また、津山には神伝流という日本泳法の一流派があることも、知っていました。ところが、姫新線で津山を訪れたこともなく、中国自動車道を走っても景色を眺めるだけで津山という町を訪れたことがないまま、この年になってしまいました。
今日の泊まりはフェアフィールド。正しくはフェアフィールド・バイ・マリオット・岡山津山といいます。道の駅久米の里のはす向かいにあります。今年4月11日に開業した新しいホテル。フェアフィールド・バイ・マリオットについては、春に和歌山の串本で泊まりました(串本の記事はこちら)まるで規格品と思えるくらいに、フロント回りもワークエリア(フリースペース)も、客室内もほとんど違いを見つけられません(強いて違いを述べるとしたら串本は7階建て、津山は3階建です)。海外から日本のコアな地域を体験したいと思ってやってくるマリオットのゲストたちには、安心して泊まれる宿に映ることでしょう。
ただ、串本でフェアフィールドデビューし、この津山で2度目の宿泊となる私たちには、串本とは少し勝手が違いました。串本ではフェアフィールドから町までが近く、タクシーを呼んでもワンメーターくらいでしたが、こちらでは、津山の町からは少々遠い。津山駅までは10km近くあるでしょうか(グーグルマップで計算させると7.8kmと出ました)。そうなると、晩御飯をどうするかという問題になります。道の駅のレストランは土日でも15:00で閉まってしまいます。クルマで町へ出かけることになりますが、私たちも少しはお酒を飲みたい。となると、ロードサイドのテイクアウトができるお店で買い出しをし、部屋で晩御飯を食べることになる。料理を並べるには部屋の丸テーブルでは少々狭い。贅沢を言って申し訳ありませんが、私たち二人が窓際のソファに座って飲み食いするにはレイアウトが不便。一階のワークスペースはテーブルも広いと思いますが、朝ごはんのお弁当を広げるならともかく、アルコール付きの晩御飯をパブリックスペースで食すのも気がひける。なによりこちらが落ち着かない。開業間もないホテルです。これから周辺に飲食店もできていくでしょうか。
津山のフェアフィールドに関連して面白いものを見つけました。中国自動車道からこのフェアフィールドに行くには院庄インターを降りるのが一番近いのですが、インターから国道181号線に入ったところに(米子市へ向けて走るこの国道の起点がこの院庄交差点です)、「ファミリーロッジ旅籠屋・津山店」とさらにその隣に「HOTEL R9 The Yard 津山」があったことです。前者の旅籠屋は「日本における唯一の本来のモーテルスタイル(ラブホテルではない)のロードサイドホテルチェーン。店舗は、アメリカ合衆国のモーテルを参考にして、観光地や都心部から離れた、幹線道路や高速道路沿いを中心に出店している。」(ウィキペディア)。昔のアメリカ映画に出てくる、モーテル方式のやつですね。後者はコンテナホテルで、黒っぽい外観を抜きにして考えれば…失礼な例えになるかもしれませんが災害時の仮設住宅のよう。一部屋ずつが独立しているので他の宿泊客の影響を受けにくい。災害時には現地に部屋ごと運べるというメリットもあるそうです。どちらもインターチェンジに近く、クルマでやってきて、またここを中継地点にして次の目的地まで移動するという使い方を想定されているのかなと思います。三者とも宿泊特化型なのでしょうが、フェアフィールドとは少しコンセプトが違うホテルが二種、インター近くにありました。
津山でも、暑く眩しい昼間でしたが、買い出しに町中へ出かけている間に夕立が来て、暗くなるころには気温が一気に10℃くらい下がりました。
翌朝、散歩に出かけてみましたが、周りは田んぼばかり。ホテルのすぐ近くを姫新線が走っています。散歩の間、3本の列車を見ることになりました。前夜の雨に濡れた稲穂の中をディーゼルカーが走る。さわやかな夏の風景でした。
道の駅の隣には、久米廃寺跡という説明があって、なんとその廃寺跡の上に中国自動車道が覆いかぶさっています。白鳳時代から平安時代前半くらいまでお寺があったそうです。何も知らない間に何度も何度もこの廃寺跡の上を私は走っていたわけですね。隣の道の駅。昨日到着したときはガンダムのモビルスーツみたいなものが置かれてあったのですが、あれっ?どこへ行ったのだろうと思っていると、営業時間外はシャッターが降ろされているようです。きっと高価なのに違いない。
ホテルに帰って朝ごはん。レストランはないので、朝食ボックスを予約してあります。ワークスペースでいただきます。細かく色とりどりに盛り付けしてあるお弁当。食材の種類が多く鮮やか。外国からのお客さんはきっとこういうのを喜ぶのだろうと思います。私たちからすれば、年も年なので、晩御飯にこれくらいのお弁当があれば、十分楽しめるのになと思うほどです。
津山城に行ってみました。やはり気温と熱風と眩しい日差しの朝です。まずは立派な石段に迎えられて上ります。知識がない者は寂しい。コメントできることがほとんどありませんが、どこかで似た雰囲気を感じたことがある。えーとあれは…で思いついたのは丹波篠山。町の規模も、石垣の高さも津山にはとうてい及びませんが、石垣の上から眺める町の雰囲気が似ている気がします。
下りてきて、次に向かったのが「津山まなびの鉄道館」いっぺん訪れてみたいと思っていたところです。扇形機関車庫と転車台があるのは京都鉄道博物館と同じですが、規模がまったく違います(こちらが小さい)。でもその分、手作り感というか温かさがあるように思いました。
暑い夏の午前中。まだ入場者は多くありませんでしたが、子どもたちがブラシを与えられて、キハ33形気動車の前面を洗う仕事をさせてもらって喜んでいます。キハ52 115は、大糸線の糸魚川-南小谷間を走っていた車両らしい。もしかしたら私も学生時代にこの車両に乗ってたかもしれません。キハ58形・キハ28形気動車は、急行但馬でもよく見かけた車両。もっとも、急行列車なんぞ子どもの私には見上げるだけの優等列車でした。
山陰線に行けば見られたDF50形ディーゼル機関車。錆の浮いた腕木式の信号。使われなくなったタブレット(パソコンでも薬でもないよ)を収める赤い箱。懐かしいのと同時にちょっと寂しさを覚えた鉄道館でした。
(2023年7月訪問)
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