京都国立近代美術館のあとは、バスに乗って大徳寺へ行きました。大徳寺は初体験ですが、北大路からしょうざんまで歩いたとき、東側の塀に沿って今宮神社まで行った記憶があります。
それにしても今日の観光客の多いこと。京都駅に9時前に着きましたが、観光客はお定まりのようにバスの1日乗車券を買い、列を作ってバスを待っています。外国人観光客も多い。紅葉の季節にはまだひと月ほど早いと思われますが、今でもこんな状態ですから、ひと月後はどうなるのかと余計な心配をしてしまいます。私も同じように1日乗車券(500円)を買いました。損得の問題よりも、私のようにバス乗車コンプレックスのある者には、乗っても降りても1日これ1枚!のほうが気分的に楽です。
さて、大徳寺。塔頭がいくつもあるお寺です。大徳寺の中には庭園を公開している塔頭が三院、さらにこの時期に特別公開をしているところが三院あるようです。よくわからないまま高桐院という塔頭に入ってみました。
山門から参道の雰囲気がきりっとしていて、歩いている間に気持ちが変化していくのがわかります。
拝観の時間外に訪れてしまったのかなと思うほど、京都の町中の混雑とはまったく無縁な静かなお寺でした。いやいや、たまたま空いている時間なのでしょう。客殿(本堂)の廊下に毛氈が敷いてあって腰を下ろせる。紅葉には少し早いですが、それでも少し色づいた葉もあって、それはそれで風情があります。西に傾いたお日様の光が木々の間を抜けて苔の上に光を落としています。シーズンを少し外しているゆえ、とても静かです。気に入りました。
ふと気づくと、観光タクシーの運転手が関東から来た客に説明をしています。運転手氏のメガネでは、ここはベスト5に入るお薦めのポイントらしい。みんな静かにしているのに、彼の声だけが客殿じゅうに響きます。さらに、客殿の「鳳来」と呼ばれる茶室では、開け閉めするなと注意書きのある窓の障子を開けたり閉めたりして解説、また掛け軸の説明をして警報を鳴らしてしまうなど、なかなかユニークな運転手氏でした。
やがて静かになった茶室の障子には、木々の影が映りこんでいい感じになりました。
私と同世代くらいのご夫婦。奥様がご主人に茶室について解説をしています。にじり口がどうだとか、蹲踞がどうだとか、水屋がどうこうとか。ここでは松向軒と呼ばれる茶室が見ておく値打があるのだそうです。炉が切ってあるけれども、炉は冬の間しか使わないとか…奥様は茶道の心得があるようですが、ご主人は私同様にさっぱりらしい。庭に降りて細川ガラシャの墓所を見て、再び、客殿廊下の毛氈に腰を下ろすと、隣はまた先ほどのご夫婦。聞くともなしに聞いていると、奥様は洋服でしたが、本当は今日着物で来るはずだったようです。他人事ながら、この風景の中でなら着物で来られたらよかったのにと思いました。
木漏れ日は来た時よりもさらに長くなって、庭から毛氈の上に移動しています。そのご夫婦も帰ってしまいました。静かでいいぞと思っていたら、係の方が毛氈を片付け始めました。拝観は16時半まで。私も、高桐院を後にしたのでした。
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