4年前に、富倉というところを見たくて飯山から走ったのが国道292号線。その折に、292号線は志賀高原の横手山を通って群馬県に続いていて、なんと日本の国道で一番高いところを走っているということを知ったのでした。いつか、日本一高いところの国道を見てみたいと思ったのでした。
今回、長野へやってきた目的のふたつめは、横手山を越えてその場所を見てみたいということでした。ウィキペディアによると標高2172mだそうな。そして群馬県に足を踏み入れてみたい。関西人にとって標高2000mというのは思い入れのある高さです。岐阜県と滋賀県の間に線を入れて東日本と西日本とすると、西日本には標高2000mを越える場所はないのです。1982m(石鎚山)が一番。ですから2000mを越えるということは地面に足がついていないような、雲にも乗った気分がするのです。
5時30分。気温8度、寒いはずです。道の駅オアシスおぶせを出発、中野市から国道292号を志賀高原に向けて上ります。ほとんどクルマもなく快走。たいした苦労もなく、志賀高原の中心地、蓮池を通過しました。いくつものスキー場の横をすり抜けて、ジグザグに坂を登れば、もう横手山ドライブイン。小布施から50分です。
気温5度。こんなに朝早くても、すでに到着している人もたくさんいます。宿に泊まった人はまだ活動していないでしょうから、夜通し走ってきた人か、クルマ寝の人なんでしょう。みんな景色を眺めたり、写真を撮ったりしています。ドライブインから右手のほうは、志賀高原の景色、正面には、存在感を示している笠岳と北アルプス方面。高い山はもう白いものを被っています。左手方面は善光寺平の一部が見えるものの山ばかり。山の中に集落のようなものが見えるのは万座温泉でしょうか。
福島ナンバーの大きなモーターホームでやってきたおじさんが、「富士山が見えるよ」と教えてくれました。教わった黒い影を撮影してみした。これが富士山か。おじさんは、「昼間になると見えなくなるからね」とも教えてくれました。早起きは三文の得だなぁ。
それからさらにクルマを走らせると、渋峠。スキーシーズンに横手山の山頂を越えて山の向こう側は渋峠スキー場。そのリフト乗り場に着いたわけです。渋峠ホテルのこのマークに見覚えがあります。20年以上前に一度だけ志賀高原にスキーにやってきたことがありますが、その時に見た覚えがあります。どういうものかあまり滑りやすいスキー場ではなかった記憶が思い出されました。
私は長い間、群馬県には足を踏み入れたことがないものと思い込んでいました。このマークに見覚えがあるということはその時に群馬県にお邪魔していることになります。渋峠を過ぎると、日本国道最高地点の碑です。やってきました。東側は草津方面がシルエットとなって見えます。
ところで、私の高校時代の修学旅行は信州方面でした。鬼押し出しというのを見た記憶があります。前夜の宿泊は志賀高原だったはず。となると、当時の志賀草津道路、つまりこのルートを通って群馬県へ、観光バスで運ばれているわけではないか。当時は有料道路だったはずですから、日本国道最高地点という碑もなかったでしょうが、随分の思い入れをいだいてやってきたルートは、何十年も前に既に経験済みだったというような、ちょっと拍子抜け。
群馬県側をもう少し走ってみようと下っていきました。途中でクルマを置いて、少し歩いてみましたが、霜柱を見つけました。近頃は生活圏では霜柱を見ることもなくなりました。ナナカマドの実が青空に映えてきれいです。クルマに戻って、国道をさらに下ったら、草津方面と万座温泉方面の分岐点がありました。どちらに行くかしばらく考えて、万座温泉に下りました。紅葉がちょうどいい頃。こんな山の中によく温泉を見つけたなというような谷あいのところに、硫黄のにおいがする煙が上がっています。谷を流れる水は少し白濁しています。あっ、そうかと気づいたのは、映画「私をスキーに連れてって」のこと。あの映画のクライマックスでは、夜間に横手山から万座温泉までSALLOT一式を届けるために滑ったことになっていたのを思い出しました。へぇ、自分は今そんなところにいるんだとちょっと感激。当時の言葉でいうところのミーハーですね。こんなところまでやってきた記念に、百円のチップを置いてトイレを使わせてもらいました。
(つづく)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます