2024.09.16
クルスク州でウクライナ軍が敵拠点を包囲か、東部戦線ではロシア軍が前進
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-forces-besiege-enemy-base-in-kursk-oblast-as-russian-forces-advance-on-eastern-front/
この記事に活発に戦闘が行われている地域が挙げられてます。
ウクライナ軍が、どの程度の戦力をクルスク戦線に投入しているかは軍事機密扱いで不明です。
唯一それらしき記事を書いているのは、ForbesのライターのDavid Axe 氏です。
https://forbesjapan.com/articles/detail/73109
しかし、ウクライナ軍の占領した範囲の広さ。
また、今回ウクライナ軍が占領地のさらに西で進撃作戦を開始したことを合わせて考えると、ウクライナ軍がクルスク作戦のために用意した兵力は、もっと多いと思います。
どれだけ用意したのかは、終わってみないと分かりません。
ウクライナ軍は、クルスク作戦に全部賭けをしています。
その総数不明の投入兵力のほとんどを東部戦線から引き抜いています。
完全に東部戦線(特にポクロウシクPokrovsk戦線、トレツクТорецьк~ニューヨルクNiu-York方面、南部のヴフレダルVuhledar方面)は、軽視するか戦場によっては放棄する予定なのだろうと思います。
その結果、ウクライナ軍がクルスク戦線の準備を始めたころから、中部ドネツクでは戦況が悪化して、今では敗勢に近いと言えます。
ポクロウシクPokrovsk戦線、トレツクТорецьк~ニューヨルクNiu-York方面は、風前の灯と言った印象です。
ポクロウシクPokrovsk戦線では急激にロシア軍の占領地域が拡大しました。今は、特にポクロウシクPokrovsk南部方面の占領に注力しています。
ポクロウシクPokrovsk手前にいるロシア軍が、突出部になっているからです。
ロシア軍の行動パターンとして激しく攻撃を行う時期と補充や休養に充てる時期がはっきり分かれています。
占領地の整備や補給路の整備もあります。
あるいは新たに獲得した領土の防御施設の建設も必要です。
今、ロシア軍はその時期に入っていて攻撃部隊は、ちょっとお休みと言ったところではないか・と思います。
略図の6枚目がポクロウシクPokrovsk戦線です。
戦況図を見ると、ヴォブチャ川Vovcha RiverのルートE-50の南の川沿いからクラスノホリフカKostyantynivkaの北の空白のエリアの制圧を優先しているのではないか・と思います。
ここを制圧すると占領地が面的になりポクロウシクPokrovsk方面のロシア軍が、安定するからです。
ポクロウシクPokrovskの手前まで進出してしまえば、もうロシア軍としては、急ぐ必要はありません。
次は、現在の占領地の南方面を制圧するのが優先だろうと思います。
ポクロウシクPokrovskを南からも大きく包囲して、それからでしょうね。こうするとポクロウシクPokrovsk戦線のウクライナ軍は、面的に州境の西に押し込まれます。
南部では、難攻不落の要塞のウーレダーVuhledarをやや距離を置いて、ゆっくりと包囲する動きが続いています。
このような事情があり、東部戦線は比較的静かです。
ロシア軍の準備が整えば、また激しい戦闘が始まると思います。
ややこれまでと違う動きを示しているのが、バフムト戦線です。西のチャシブ・ヤルChasiv Yarから攻めるのではなく、南西方面から運河を渡ったロシア軍部隊がいるようです。
トレツクТорецьк~ニューヨルクNiu-York方面のウクライナ軍が、他に派兵することが出来なくなりました。
そのため無理にチャシブ・ヤルChasiv Yarを攻める必要がなくなり、幹線道路T-0504のずっと南から西に進撃するつもりなのかもしれません。
ここからでもコンスタンチノフカКостянтинівкаへ進撃することは出来ます。
結局、膠着した長い前線のどこかが崩れると、このように隣接する隣のエリアに更に弱い部分が出来て、そこを攻撃されます。
そして、それが更に他に弱い部分を作り出してしまう悪循環です。
この悪循環がバフムトやコンスタンチノフカКостянтинівкаの南の広いエリアで全体的に起きています。
こうなってしまえばウクライナ軍としては最終的に中部ドネツクと南部ドネツクの全域から撤退するしかないと思います。拠点ごとに戦っても各個撃破されるだけです。
果たして、それほど上手くいっていないように見えるクルスク侵攻作戦とドネツク州の南半分を交換したような事になっていますが、それで引き合うのかどうか❓
年が変わる頃には、これがよりはっきりと分かると思います。
しかもそれだけではありません。
ドネツク州の南半分を制圧したロシア軍は、ドネツク州北部にも向かうでしょう。
ザポリージャ州やドニプロペトロウシク州にも向かうと思います。
ドニプロペトロウシク州は平らで単純な地形の土地ですから防御はしにくいそうです。おまけに拠点になりそうな集落や都市はドニプロ川の近くまで行かないとありません。
どうするのでしょうね❓
ドニプロ側の西岸に撤退して防衛する心算なら問題はありませんが❓
相当、広い領土を失うことになります。
※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑥
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27