今年の1月にNATO諸国の大型の武器援助が決まりました。その時一番問題になったのが、戦車でした。戦車があれば勝てる・的な雰囲気で戦車の供与が決まりました。
現在、前線ではどうなっているか?
前線で戦っているのは、歩兵部隊です。
戦車は?
歩兵部隊の大分、後方から火力支援をしています。
戦車を先頭に突撃するんじゃなかったのか?
ダメでした。
6月の反撃開始の時に、それをやったらバタバタと戦車や歩兵戦闘車などが、破壊されました。
ロシアは、その時の戦果を超過大宣伝しています。
それによると?西側の供与した戦車や歩兵戦闘車などは全部、破壊されました。
そのまま最初の作戦を継続したら、その通りになったと思います。
ロシア軍が主にザポリージャ州防衛のために準備した防御網はそんなヤワなものではありませんでした。広大で高密度の地雷原と塹壕や防御拠点を何重にも重ね合わせた戦車や歩兵戦闘車の墓場と言うべき強力な分厚い防御網でした。
そのため歩兵主体の超スローペースの反撃作戦に変更されて、現在も戦われています。
そこで主に活躍しているのは、兵員輸送用装甲車であり歩兵戦闘車です。戦車は前線近くに出すとすぐ破壊されます。ロシア軍の強力な防御網は、そのために作られているからです。
そこでウクライナ軍が考え出した戦術が、地雷原に進撃路を作り、装甲車でロシア軍の塹壕に突撃する方式です。西側の装甲車は、ロシア製と違って攻撃されても中の歩兵は無事です。だから装甲車に乗ってロシア軍の塹壕に突撃して奪取して、その列を確保すると次の塹壕の列を攻撃するような方式です。
その近くで歩兵を支援するのは、歩兵戦闘車です。機関砲や機関銃を、バリバリ撃ちまくります。接近戦で役に立つのは、戦車ではなくて歩兵戦闘車でした。
ウクライナの前線では、広大な草原で大戦車戦が繰り広げられるような戦闘にはなりません。歩兵同士が塹壕を奪い合う戦闘です。つまり、アメリカ軍やNATOが想定していたのとは全然、違う戦闘が展開されています。
そのような訳で戦車は歩兵部隊の後方から砲撃して、歩兵の火力支援をしています。あまり戦車としての役には立っていません。
装甲車や歩兵戦闘車は供与されている総数が多いので、少々破壊されても補充が出来ます。戦車の場合はせいぜい200両くらいですから、ほぼ補充が出来ません。そのため戦車を守りながら戦うという、かなり変則の戦いになっています。これは、ウクライナ軍だけでなくロシア軍も同じですから、いいぐらいの戦闘になっています。
ざっと歩兵戦闘車の供与数を見てみると・・
ポーランド製の8輪式KTOロソマク歩兵戦闘車(IFV)200両
これは、今年の4月に供与が決定し順次引き渡されます。
アメリカの200両のM2ブラッドレーIFV。これは結構、数が届いていると思います。
200両のストライカー装輪装甲車。
スウェーデン・数量不明
CV90IFV 50両
ストリッツヴァグン(Strv)122戦車
スウェーデンのCV90歩兵戦闘車、ウクライナに到着 反攻に参加へ
2023.06.17
https://forbesjapan.com/articles/detail/63955
ドイツ
6月までに供給された40両
+
ウクライナに追加のマルダー1A3歩兵戦闘車60両を納入する計画
最終的に120両が供与される可能性がある
2023.04.02
ウクライナが入手した独製戦闘車、防御力は最高峰 反転攻勢の強い味方に
https://forbesjapan.com/articles/detail/62089
と、言うようなわけでウクライナの前線で活用されているのは、兵員輸送用の装甲車であり歩兵戦闘車でした。
この他に155ミリりゅう弾砲が、主な武器です。
従来、予想されていた戦争は机上の空論であり、実際に戦争が始まったら現実は、全然違っていたというわけでした。
短期集中方式の突破作戦は自殺行為であり、地味に塹壕の奪い合いが展開されています。
これは、バフムトの激戦を見ても容易に推測できることです。
であるのに戦争のプロの人たちは、全然間違えていたという、かなり???な話です。
実際に戦うのはウクライナ軍ですから、ウクライナ軍はウクライナの戦場にあった作戦を選択して、地道に暫進方式で戦っています。
一番ナウい戦術が?
ロシア軍の塹壕に、いきなり装甲車で乗り付ける方式です。こんな戦術は戦争の教科書には、全くないと思います。
しかし、現実問題?
歩兵が敵の塹壕に接近するには、これが一番安全な方法です。
ペンタゴンの一部のペーパー参謀には、絶対思いつけない戦術です。この人たちは、ほぼロシア軍と同じですね?
「兵器と兵士を集中して!」
「はい!突撃!」
これをやると、ザポリージャ戦線では簡単に全滅できます。
ウクライナ人道危機救援金 - 日本赤十字社
https://www.jrc.or.jp/contribute/help/ukraine/