欧州に台頭する「右派ポピュリズム」に、なぜか無縁のスペイン人...「スペイン精神の底力」とは?
2023年8月2日(水)12時43分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/08/post-102332_1.php
中道右派の国民党(136議席)も、それに対抗する・・
サンチェスが党首を務める中道左派のスペイン社会労働党と、連立相手となる左派連合スマール(SUMAR)の合計獲得議席は153議席で、こちらも過半数に届かない。
右派の連立相手になる予定の2014年設立の極右政党ボックスが議席を55→33に減らして、どちらも過半数に届かずどうしようか?と言う現状です。
他のヨーロッパ諸国と違い、スペインでは極右政党が大きく議席を減らしました。
そこで記事の「ヨイショ!」タイトルになりました。
でもこれでは、現状を羅列しただけでどうしてそうなのか?は、全然分かりません。
そこには、スペインの特殊な歴史が大きく関係してきてそのどちらかと言うと悲惨な体験の中でスペイン国民が学んだことが大きく影響していると思われます。
以下、ごく簡単なスペインの近代の歴史・・・
1931年のスペイン革命で、スペインは王政から共和制に移行します。
ところがこの共和政は、ソ連の影響を受けた社会労働党や左派共和主義者が主導していました。当然、暴力革命志向があり、その方向にもっていこうとします。結構、ひどいことをしています。
それに反発する右派(ナショナリスト)が軍の一部を率いて反乱を起こします。こうして・・・
スペイン内戦
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3%E5%86%85%E6%88%A6
政府軍にはソ連・メキシコが参戦しています。反乱軍には、ドイツ・イタリア・ポルトガルが参戦しました。
大体、戦争の性質が分かると思います。
結果、反乱軍が勝利し独裁政権が誕生します。
それが・・・
フランコ体制下のスペイン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B3%E4%BD%93%E5%88%B6%E4%B8%8B%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3
1939年 - 1975年まで続きました。
「1975年11月20日、フランコは死去し、2日後に皇太子フアン・カルロスが44年ぶりに国王に即位した。フランコの操り人形と見られていたフアン・カルロス1世は、大方の予想を裏切り、独裁体制を受け継がず、積極的に民主化を推進・・・」
独裁体制に見切りをつけていたフランコ派の政治エリートが国王を表面に出し民主化を進めたと言えます。
何やら日本の明治維新と似ています。ただし、こちらは時代が最近ですから、自然な流れで民主的な政治体制に移行しました。
このような歴史の中でスペインの人々は、共産主義の欺瞞性も体験しましたし、内戦の悲惨さも体験しました。軍事独裁政権の悲惨さも体験しました。
だから完全な多数政党は生まれませんし、「右派ポピュリズム」が支持を増やすことも出来ません。
要は、1975年の民主化以降の精神を思い出して政治をやってほしいと言うのが多くのスペインの人々の希望なのだろうと思います。それが「親欧州主義者」の考え方につながります。
ここまで読むと、なるほどな?と思いませんか?