「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

イスラエル・パレスチナ問題に見るアメリカ外交<2023年10月

2023-10-11 19:41:31 | アフリカと中東

ハマス、イスラエルとサウジの正常化阻止が狙いも=米国務長官
2023年10月9日午後 12:20 GMT+920分前更新
https://jp.reuters.com/world/us/KZLGORBOL5MB7PDCIPIGV2L5LE-2023-10-09/

1993年9月13日にイスラエルのラビン首相とPLO=パレスチナ解放機構のアラファト議長が、アメリカのホワイトハウスで、クリントン大統領立ち合いのもと、「パレスチナ暫定自治合意」に調印しました。その後、どちらかと言うとイスラエル側がそれを不満として合意を壊す方向で動いて、それがハマスなどパレスチナ過激派の反発を呼び再び対立が激化して今に至っています。

最悪の結果を招きました。
クリントン大統領の時代までは、アメリカ外交もまともだったと言えます。中立的な立場から和平への仲介の努力をしていたという意味でです。

その後、アメリカはイスラエルの過激化と歩調を合わせるかのようにイスラエル寄りと言うより支持の立場に立ち位置が変わりました。パレスチナを見捨てたと言えるでしょうね?
それがイスラエルのヨルダン川西岸の入植地拡大を黙認する結果になりました。パレスチナ側にすると自分たちの領土を、どんどん侵食されます。そしてイスラエルのパレスチナ過激派への対応も残酷で無関係なパレスチナ人まで平気で巻き込むような、ほぼ弾圧と迫害と言えるような状況にエスカレートしました。これを放置して黙認したのがアメリカ外交です。

クリントン大統領時代の「中立的な立場から和平への仲介の努力」の姿勢は、消え失せました。

そして今回、イスラエルとサウジの外交関係の樹立と言う政策をとりました。ほぼ、パレスチナを切り捨てたと言えます。

サウジは、中東の強国でありアラブの盟主を自任しています。つまりイスラエルと外交関係を樹立することは、パレスチナの切り捨てにアラブの盟主が賛成することを意味します。

だから実質的にイランがそれに猛反対してハマスに大量のミサイルを供与しました。それを、どう使うのかはハマスの判断です。
答えは、ハマスのイスラエル大規模攻撃でした。

アメリカが、サウジとイスラエルの外交関係の樹立を後押ししなければ、この戦争は起きなかったと思います。イランがハマスに大量のミサイルを供与することは、少なくともなかったと思います。

イスラエルとサウジの外交関係の樹立は、アラブ世界にとってこのような意味があります。それをアメリカは認識していなかったのであろうと思います。そのリアクションに対する配慮は、全然なかったことがアメリカの国務長官のコメントで分かります。更にそれを強引に推し進めるつもりのようです。

戦争の原因が、イスラエルとサウジの外交関係の樹立である以上、戦争の早期終結にはこれを凍結する必要があります。アメリカの考えは、戦争になったところでイスラエルが勝つから問題ないと言うことでしょう。

その結果、悲劇は拡大します。

そもそもサウジが、それを無視してアメリカに同調するかどうか?
同調すれば、サウジはアラブ世界から信用を失いアラブの盟主の立場も失うでしょう。そしてイランとの対立も再燃します。イエメンの収まりかけている内戦も再び激化します。イエメンのフーシ派(反政府勢力)は、サウジに対する直接の攻撃を始めると思います。

今となっては、サウジにとってはアメリカの政策に同調することは、「百害あって一利なし」の状況になりつつあります。

アメリカがイスラエルとサウジの外交関係の樹立を推し進めたところで、この状況の中でサウジが乗るとは思えません。

つまりアメリカ外交の敗北です。
これほどの戦争を引き起こすのであれば、最初からイスラエルとサウジの外交関係の樹立を進めるべきではなかったことになります。

アメリカが、なぜこのような外交を思いついたか?
中国の仲介でサウジとイランが外交関係を復活させました。それに対する対抗意識があったのであろうと思います。サウジを中国寄りにしたくない思惑もあるでしょう。

しかし、このような現実が起きた以上、サウジはアメリカとやや距離を置くと思います。

アメリカ外交は、何を生み出したのか?

クリントン元大統領とは、大違いなのは確かです。クリントン元大統領の時代までは、アメリカは世界のリーダーだったと思います。今は、リーダーで無いことを証明してしまいました。

※中東の地域社会の意見
トルコ大統領、仲介に意欲 イスラエル・パレスチナ衝突で
2023年10月9日午後 12:56 GMT+91時間前更新
https://jp.reuters.com/world/europe/5CO7QG7NFNO5ZOEH65YM3LQMPI-2023-10-09/

トルコのエルドアン大統領の見解が、大体一般的な考えだと思います。どっちがいいとも悪いとも言っていません。

◎紛争の拡大を避けること。
◎「2国家共存」の原則に立ち帰ること。
◎『衝突を激化させる行動をやめるよう双方に呼びかけ、イスラエルとパレスチナの対立が中東のあらゆる問題の根源にあると指摘。「持続的な地域の平和はパレスチナ・イスラエル問題の最終的な解決策を見いだすことによってのみ可能になる」』

つまり、このような事だと思います。
結局、誰が考えようとイスラエル・パレスチナ問題の解決には、これ以外方法がないと言うことです。そうでなければ永久に殺し合わなければ、なりません。

クリントン大統領時代の「パレスチナ暫定自治合意」が双方にとりメリットがあり正しいと言うことです。



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