□「かながわ水源環境税保全・再生県民シンポジウム」参加報告
日時:平成18年1月20日(金)18:30~21:00
場所:神奈川県横浜 新都市ホール
内容:
◆松沢知事挨拶
◆映像上映「かながわの水源環境を考える~かけがえのない水資源を次世代へ」
◆基調講演:横浜国立大学大学院国際社会科学研究科長 金澤史男氏
◆パネルディスカッション
(有)川又林業代表 川又正人氏、NPO神奈川県自然保護協会理事長 新堀豊彦氏
桂川・相模川流域ネットワーク代表 長谷川朝惠氏、千葉大学理学部教授 佐倉保夫氏
コーディネータ:金澤史男氏
◆松沢知事挨拶
・水源税は県政の最重要課題である
・平成19年度からスタートするが、県民会議方式を採用して、多くの県民参加のもとですすめていく
・背景の説明
昭和13年相模ダム建設し60年にわたり4つのダムをつくり水源開発を進めてきた。
水の需要に対応して、水確保に努めてきた先人の知恵
近年、ダムの水質汚濁、土砂流入が問題となってきている
岡崎知事時代より公的支援による森林整備を神奈川県はすすめてきた
自分たちの水は自分たちで守る
水源地が再生可能なうちに手をうつ必要がある ⇒ そこで「水源環境税導入」
・今後20年間の取り組みが「施策大綱」、5ヵ年計画が「実行五ヵ年計画」
・38億円/年の税収は安定した広く薄い県民税の超過税方式を導入(950円/人)
・基金も設立し、常に中身は見直していく
・正確に効果を把握するのは難しい。状況をみて柔軟に変更していく
・県民会議を設置しそこで議論していく
・若い人からも多くの提言を頂いており、施策に反映させていく
◆ビデオ上映「かながわの水源環境を考える~かけがえのない水資源を次世代へ」
・地球は70%が水に覆われている
・上流の森林(適切に管理されずに荒廃が進んでいる)
・神奈川県の水源林整備事業の紹介
・丹沢大山総合調査⇒鹿害による天然林の表土流失
・相模湖⇒アオコの映像
・清川村の森林ボランティア活動
◆基調講演:横浜国立大学大学院国際社会科学研究科長 金澤史男氏
・38億円/年でも大きな効果を生む税である
・水源税はツボのようなもの。それがきっかけで劇的な変化が起きる
・効果は4つある
①行政の意識改革・・・県民の意志を基盤とした合意形成
②議会の意識改革・・・当初の20事業を12へ減らした。とことん議論の結果(本気で考えた)
③NPO、県民意識の改革・・・これまで提案までするが結果の責任はとらなかった。これからは県民会議で行政、議会とともに一緒に参加、行動していく仕組ができた。
④研究者の意識改革・・・今の知恵、科学を総動員して取り組んでいく
・大気の問題が大きい(アオコの原因も大気中のチッソ、リンが含まれていることも原因)
・山梨県へ税導入がだめとなったのは今後問題になるのではないか
・水源税は全国で9県成立(今後8県が導入予定)
・地方が時代を切り開き国を動かす時代
◆パネルディスカッション
(川又)山北町・指導林家
・神奈川県内では素材生産はほとんどしていない(採算が合わなくできない)
間伐は年間12万本、200HA実施
・神奈川県の人工林は40,000HAある
・売値スギ1万円/m3、搬出1万2千円~1万7千円/m3でやればやるほど赤字
・木材は輸入できるが豊かな自然環境は輸入できない
・林業は自然に若干の負担をかけるのは事実だが、自然環境に負荷はかけない
・豊かな自然環境の上に成り立つ仕事が林業である
・森林教室を開催している。(丹沢湖)、枝打ち、間伐、木工、沢登りなど年間350~500人を受け入れている。今年で6年目、森の恵みを分かちあう
・年間10億円くらいのお金があれば神奈川の山はきれいに整備できる
横浜スタジアム(面積2HA)の年間維持費が8億円といわれているこの数字と山にかかる経費10億円/年を比べてみてほしい(けして高くないと思う)
・夏場の仕事がない!ため林業労働者が200人(神奈川県)と激減している
(新堀)NPO神奈川県自然保護協会理事長
・丹沢のブナが1980年代頃にだめになった(大気汚染が原因)
・3回目の調査を今行っているがさらに悪化している(今度は鹿害が原因)
・林床下草が鹿により食べられ土砂流失(人工林だけでなく天然林も表土流失)
・蛭が岳の水量は1/3となってしまった
・38億円/年ではまだまだ足りない!
(長谷川)桂川・相模川流域ネットワーク代表
・10年前から水源税導入を訴えてきたがやっとスタートラインに立てた
・川がそこにあることを大切にしたい
・県民にわかりやすい絵を描くことが大切
・持続可能な地域とは何かを考えて取り組んでいきたい
・山梨県民の参加もあるべき
・情報をあつめ、発信していく機能を県民会議に持たせたい
(佐倉)千葉大学理学部教授(元日本地下水学会会長)
・地下水はみることができない
・権利、利用権の問題を考えていきたい
・地下水はどこにでもある。連続してある。
・地下100mの地下水は数100m近辺から集まる
・高さが地下水を動かす原動力である
・地下水を利用している企業に対しても地下水=公水であるということで対策を考える必要あり
(水野)県政モニターOB会会長
・共通認識を持ちたい
・県民と行政が協働して新しい時代をつくっていきたい
・税は出す、しかしその使い道を皆で議論、点検できる県民会議を
・この水源税が成功するカギは県民会議のありよう、組織、運営にかかっている
・メンバーには現場をよく知っている人にも入ってもらうべき
・子供たちの参加も
(新堀)NPO神奈川県自然保護協会理事長
・山の現場を知ることが大切
・この山に生命の泉があり、これが自分たちの生活に直結していることを理解する
・山梨県のことを考えないのはおかしい!
・山梨県は小さな県であり財政的に厳しい、桂川をきれいにしなければ相模川はきれいにならない