今日は姑のショートステイに行って来て、帰りはそのまま眼科に寄って来た。
1月に私は初期の網膜剥離が見つかり、レーザー治療をした。
それからは月に1度、検査に通院している。
眼科に行くと、毎回ドキドキする。
また網膜剥離が見つかるんじゃないか、やはり手術になりますと言われるんじゃないか、と、
不安になる。
今日も心配な気持ちで待合室に居た。
私の隣に座っている個性的なおばさんが気になりながら。。
多分、年のころは70前といった感じのそのおばさん。
ジーパンを膝まで無造作にたくし上げ、小熊のイラストがついたポシェットを肩から斜めにかけ、何かひとりごとを言いながら週刊誌を見ていた。
そして週刊誌を読み終えたらしく週刊誌を戻してまた席に着き、何かソワソワと動き出した。
「ちょっとコレ見て」
え?
突然そのおばさんが私に話しかけて来た。
しかも首からぶら下げたストラップにつけた写真を見せて来た。
それは、何故かセーラー服姿になったこのおばさんがマイクを持って歌っている写真だった。
「これね、この前カラオケ教室の余興で歌った写真なのよ」
「そ、そうなんですか。楽しそうですね」
と、一応感想を述べる私。
今私はそれどころじゃない心境なのだ。
しかしおばさんはベラベラと話を続けた。
「楽しいわよぉ。秋にはね、カラオケ教室の発表会があるの。今日はカラオケ教室の日だったんだけど、月曜日は活動センターでヨガに行ってるし、火曜日はほら、あれよ、デイサービスに行ってるの。デイサービスはお昼ご飯が美味しくてねぇ、あとね、デイサービスでもカラオケ歌うのよ」
ちょ…
一人で喋り続けている。
「いろいろお楽しみがあって良いですねぇ」
と、微笑みながらなんとか言葉を入れる私。
何しろ一人でベラベラと止めどなく喋るから、こちらが言葉を発するタイミングも無い。
それにしても自分の写真をストラップにつけてぶら下げてる人を初めて見た 笑
それにしてもこのおばさんはまだ喋り続けた。
「私は舟木一夫の歌を歌うのよ。あら、あなた舟木一夫を知ってる?」
「わかりますわかります」
「あー嬉しい」
と、私をパンパン叩いて喜ぶおばさん。
「今日のこのTシャツも舟木一夫のTシャツなんだけどね、」
どうやら舟木一夫のコンサートで買ったらしき黒いTシャツを両手で広げて見せた。笑
「お好きなんですね」
「そうなの。橋幸夫より舟木一夫なのよ私は」
ちょっと待ってくれ。何なの、この面白おばさん。
しかしその後もどんどん自分の話をした。
42歳の娘が居るんだけど遠くに嫁いで今はダンナと二人で自由に暮らしているとか、ダンナはおとなしくてあまりどこにも出かける人じゃないけど車は好きだから二人でドライブをしてる、車はなになにで結構高かったのよ、とか、とか、とか笑
いやもう久々にこんな変わった人に会って、笑いたいんだけどそれ以上に圧倒された。
おばさん、会計を済ませ、私に「じゃあね」と言って帰って行った。
でも、おかげで眼科での不安な気持がほぐれて待てた。
いいね、面白おばさん。
充実してるじゃないか。
私もいつかあのおばさんみたいになりたいな。
写真ぶら下げないけど 笑
あ、なるほどそうか。
セーラー服着てたのは、舟木一夫の「高校三年生」を歌うためだったんだな。