カミツキ星人

2018年05月31日 | 日記
新1年生の毒舌王子、改めヤンチャ王子は、うちの施設の他もう一つ別の施設も利用しているので、週に2、3日だけうちの施設を利用する。

そしてヤンチャ王子が利用する日は、必ず私が勤務日になっている。

一番手がかかるヤンチャ王子が来る日に私を充てるシフト。

頼りにしてくれてるんだなという社長の気持ちは嬉しいが、

しかし、

やはり正直言って不公平感は否めない。

それに、モモカちゃんが施設に来ない日は、私の勤務も休みになっている。

同じパート職員でも、セキトリが来る日はすごく楽な日ばかり。

相変わらず正職員のヒロキはサボってばかりだし、ユウさんはユウさんで、一番手がかからない子とゲームばかりしてるし、

ちょっとあんまりじゃないですか?と不満のひとことでも聞いてもらいたいところだが、

社長もたまにしか来ないし、副社長はれいによって事務所でテレビ見ながらゴロゴロ。

下の階には正職員のマミさんとパートのアイさんが居るが、マミさんは学生時代からヒロキと友達だし、アイさんはヤンチャ王子の母親。

私は上の階をヒロキとユウさんとセキトリと担当していて、アイさんの子供であるヤンチャ王子は上の階で過ごしている。

ヒロキへの不満もヤンチャ王子のことも、下の階の人達に言えるわけがない。

それに下の階を担当するこの二人は、よく陰口に花が咲いている様子を耳にしたことがある。

そんな人達を信用するわけにはいかない。

特にアイさん。

私のこととかも、いろいろ話し巧みに聞いてくる。

障害を持ったお子さんを育ててるのは立派だと思うが、他人を巻き込むアナタ流のストレス解消はやめていただきたいと言いたくなる。


そんなアイさんの子供、ヤンチャ王子が昨日も来た。

「ねぇ、たかぽんさん、神経衰弱やろう」

「あ、いいね、やろう」

で、あとは誰と?と辺りを見たら、まだ送迎の時間は早いのにヒロキが、「あ、送迎行ってきまーす」と他の子の迎えに行ってしまった。

ああやってヒロキは早く出て、コンビニとかでのんきに過ごしてサボっている。

じゃあユウさん…と思って見たら、相変わらず目を合わせないで他の子とスマホゲーム。

「あ、私もやる」

と、3年生の女の子が来たので三人で神経衰弱を始めた。

神経衰弱というのは、実は小学生は得意である。

大人は真剣にやらないと敵わない。

案の定、今日もおばちゃんは二人の小学生に負けた。笑

しかし、3年生の女の子に負けて1番になれなかったヤンチャ王子は黙っては引き下がらなかった。

「このくそバカヤロー!」

と、なぜか私に毒舌。おばちゃんはビリなのだが、いつもストレスは私にぶつけてくる。

「しょうがないよ、でもよく頑張ったよ」

となだめたら、ヤンチャ王子はトランプを口にどんどん入れて噛んだ。

「ちょっ!だめだめー!」

と、私と3年生の女の子で口からトランプを引っ張り出した。

その瞬間、ガブッ!

イタッ!

今度は私の腕に噛みついてきた。

強く腕を引き放すと、今度は私の洋服にかじりついてヨダレだらけにしてきた。


てゆうかさ、ユウさん、知らんふりしてないで助けてよ。

なんとか私はヤンチャ王子を放し落ち着かせたら、今度はものすごく不機嫌な6年生のケンタくんが帰ってきた。

学校で気にくわないことがあったらしい。

宿題を見てあげて、「そこは違うよ、こーであーで」と説明しても、

「うるせー、ちがわねーだろ」

と珍しく乱暴な口調。

「じゃあ自分でやって」

と言うと、

「やだ、教えてよ!」

と腕を引っぱってきた。

「あのねー、こーであーで」

「めんどくさい!めんどくさい!めんどくさい!」

パニックになったケンタくん。

そうしてる間も、

「ねぇ、たかぽんさん、風船バレーしようよ」

と、横から私を引っ張るヤンチャ王子。

どんな事態でも関わりたくないようで、のんきにゲームをしている正職員ユウさん。


仕事だから責任を持って頑張るけど、これじゃ若い人達が育たないよ、社長!












カンレキ

2018年05月29日 | 日記
本日ダンナは60歳になった。

だからといってダンナのお祝いは何もなく、相変わらず病院に居るわけだが。

というかダンナはたぶん今日が自分の誕生日ということも、自分が何歳だということもわかってないと思う。

60か…

私たちは少し結婚が遅かったので、この年だが結婚してそろそろやっと25年目になる。

銀婚式というのは満で言うのかな?だとしたら来年が銀婚式。

結婚して、最初の10年は頑張って働いてくれたけど、40代後半からは鬱病との闘いで、ついに現在のようになってしまった。

何度も私は離婚のことを考えたけど、なかなか心の葛藤があって踏み出すことができなかったし、あんなダンナだけど息子にとってはたった一人のお父さんなんだなという思いが一番強かった。

60か…

ああ、そうだ。

掛けてきた生命保険は、59までの死亡保険は3000万円だったが、今日からはたったの200万円になる。笑

いやまあそんなことを思い付くのは不謹慎だが、絶対世の中の奥さんは考えることだろうし。


それにしてもダンナは、恐れ多くもあの歌の女王様、美空ひばり様と同じ誕生日。

誕生日占いなんて嘘だな。


60…

もちろん姑も、今日が自分の息子が60歳を迎えたことなんて覚えていない。

それ以前に今日が何月何日かもわからない。


ダンナが今日で還暦を迎えたのを知っているのは、世界中で私と息子だけ。


今日は会いに行けないけど、息子と私の休みが合う時に、ダンナを連れ出し姑と、4人でお祝いにゴハンでも食べに行こう。








アイドル話に花が咲く

2018年05月27日 | 日記
たくさんの名曲と、夢や感動を遺し、西城秀樹がブルースカイへと旅立ってしまった。

告別式など昨日からテレビで報道が出る度に、また知らず知らず涙が出る。

今日も野口五郎の弔辞をテレビで見て涙していたら、ピンポーンと鳴った。

出たら新聞代の集金だった。

この集金の仕事をしてる人は、同じ地域内に住む私よりちょっと年上のおばさん。

うちの息子の一つ上の息子さんがいるので、子供会の関係やら何やらと、昔から繋がりがあったのだがちょっと苦手。

新聞の集金の他にダ○キンの仕事もしていて、付き合いの関係上断りにくく、この人から三つも契約をさせられていた。

でも息子が中学校を卒業したのを機に、なんとか全部契約を断った。

なるべく会いたくないのだが、毎月集金に来るので、月に1度は会わなければならない。

会うと何かとウチのことや近所のことを聞き出そうとしてくるので、口車に乗らないようにサッサと追い払いたい。

しかし今日に限って集金ババア、私が涙を流したあとに来やがった。

私を見て、あれ?っていう表情をしていたので、

「いや今ヒデキのことをテレビで見てて…」

と言っておいた。

すると集金ババア、

「ああ、だよねぇ、昔からずっと見てきたから悲しいよねぇ。まあそう言いながら私はひろみファンだったけど」

と言う。なんだって?ひろみファン?初めて知った。

「え!私もひろみファンだった!」

「あー、でも私はひろみから途中マッチに移ったけど。たかぽんさんはずっとひろみファン?」

「あ、一時期、平行してベイシティローラーズも好きだった」

「あら?私も!」

げっ、好みが集金ババアと気が合ってるな。

「たかぽんさん、誰の?」

「あ、私はレスリー」

「ああ、レスリーは人気あったね。でも私はエリックだった。ファンレターも書いたり、タータンチェックの服を作ったり…」

何、この盛り上がり。

10年以上、子供関係でいやいや付き合ってきたが、初めて話してて楽しい。

しかし集金ババア、急に照れたような表情になってこう言った。

「でも今は新しいアイドルが好きになったの」

おや?乙女な表情が気持ち悪い。

「だれ?」

「えー」

恥ずかしそうにもったいぶっている。まあ別に興味はないが。

「ジャニーズの…」

嵐かな?私たちの年代でも嵐ファンはけっこういるようだし。

「うん、うん、」


「キンプリ」


え?

寒ブリ?


あー、はいはい、

ていうか集金ババア、そこまで対象年齢を下げたか。

いいんじゃないの、若いアイドル達に、楽しませてもらいましょう。

最近は高齢アイドルが多すぎる。

やっぱりアイドルっていうのは10代から20代前半のピチピチ世代でなきゃね。


とはいっても、

もう西城秀樹のような声の通る、力強い歌唱力のアイドルは出ないだろうなあ。


本当に素晴らしいアイドル歌手だった。




夢の中の家族

2018年05月25日 | 日記
以前ほどではないが、姑の所にもたまに行っている。

姑がふだん過ごしている部屋のふすまを開ける瞬間、いつも私は緊張する。

いろいろなことを、人を、忘れてきてる姑。

もし私を見て、「どなた様ですか?」なんて言ったらどうしよう、という緊張感。

でも今のところ大丈夫なようだ。

そんな認知症の姑を、ひとり暮らしにさせている。

いくら毎日ヘルパーさんが出入りしたりデイサービスを使ったりしていても、このままじゃよくないなというのはわかってる。

他人からもよく言われる。

「姑さん、ひとりにしてて大丈夫?」

「そろそろ施設に入れたら?」

なんかそうやって言われる度に、責められてる気がしている。


この前は夢を見た。

夢の中で、姑と一緒に暮らしていた。

しかもなぜか私が働いている施設に来る3年生の女の子も居た。

そして私の息子は今より小さく、中学生か小学校高学年だった。

この4人家族。

夢の中でもダンナは入院してるらしく居なかった笑


夢の中で私の娘になっている施設の女の子が半袖を着ているのを見て、姑はこう言った。

「半袖なんか着せて、寒いでしょう」

「寒くないですよおかあさん」

「だってたかぽんさんだけ長袖を着て」

「いやこれは薄い長袖ですから」

「まったく自分だけ」


夢の中の姑は、やけに私に厳しかった。

夢の中では姑にまで責められてる私。


そろそろ真剣に姑の今後のことを考えなきゃ…










息子、ロシア人女性とラインをする

2018年05月23日 | 日記
晩ごはんの準備をして、息子に「ごはんだよ」と呼び掛けたが、息子は返事もせずスマホをいじっていた。

もう一度、「ごはんできたけど!」と言うと、「あー、ちょ、ちょっと待って!」と言って真剣な表情でスマホ。

しょうがないので先に食べていたら、やっとスマホを終えた息子が来た。

「今ちょっとラインでしゃべってたもんだから…」

「あーそうなの」ムシャムシャ…

「ロシアの人と」

え?

私は箸を止めた。

「ほら、ロシアからの交換留学生」

ちょ!

はいはいはいはい、前に息子から聞いたことがある。

ロシアからの交換留学生が居るということ、しかも女の子だ!

息子が、あの地味なウチの息子が、

ロシア人の女の子とラインを交換しているなんて!

そうね、うん、ありかも!

ロシア人女性とのお付き合い、そして、国際結婚!ありかも!

結婚にまで飛躍して、頭の中でポンポンと次々にマトリョーシカが開いていく母。

もしも結婚したら、

「オカアサン、ニホンノオリョウリ、オシエテクダサイ」

とか言われるかもしれない。

外人さんに教えるほどの料理はできないけど、むしろこちらこそロシア料理を教えてもらったりしようじゃあないか。

台所にロシアからのお嫁さんと自分が一緒に立つ姿を思い浮かべる母。

ハッ、そして子供!

ハーフの孫ができるということか!

相手のロシア人女性はどんなお顔かしら。

ポワポワポワァ~と頭に勝手にザギトワを浮かべる母。

とにかくハーフ、きっと可愛いに違いない。


それにしても、ウチの地味な息子が、いったいどうやってロシアの女の子とラインを交換したんだろう。


「何て言ってラインを教えてもらったの?」

「え?あっちから話しかけられた」

えええ!?

ちょ、ロシアのお嬢さん、ウチの地味な息子に惚れてくださったんですか!

「へー、なんでまた○○(息子の名前)にねぇ」


「ああ、なんかねぇ、ロシア語を選択する人少ないから、ロシア語選択の人達みんなに話しかけてライン教えてたよ。ロシア語でわからないことがあったら何でも聞いてくださいって、さっきラインが来てた。みんなに送ったみたい」


息子の話を聞きながら、頭の中で、さっき最後まで開いたマトリョーシカが、ポンポンとゆっくり元に戻って行った。