きつつき工房 ブログ

きつつき工房の職人の独り言

民意を押しつぶす権力

2015-03-30 22:15:17 | 社会・時事

 沖縄の人たちの民意を無視して、辺野古での米軍基地建設作業が進んでいます。政府は何があっても止めようとしません。権力の強さを見せつけて、沖縄の民意を砕いてしまおうとしているかのようです。
 翁長知事が出した海底の調査のための作業の一時中断の指示に対して、防衛省は行政不服審査請求を行い、指示の効力を停止するよう申し立てました。審査した農水省は沖縄県の指示の効力を停止すると判断しました。

 政府がとっている行動には問題がありすぎです。

 多くの証拠写真により、防衛省が沈めたコンクリートブロックがサンゴとサンゴ礁を破壊してることは明らかです。その詳細な調査が必要だとする沖縄県の指示は当然のことです。
 ところが防衛省は、その指示を不服として行政不服審査を行いました。行政不服審査というのは「行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによつて、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図る」(同法第1条)とされているように、権力の不法行為に異議を申し立てる権利を、「国民に」認めた法律です。
 防衛省は国民ですか。不当に権力を行使している張本人ではないですか。しかも審査するのが同じ政府内の農水省です。身内が審査して、政府に都合のいい結論を出すという出来レースです。

 防衛省が申し立てた、沖縄県への反論の中身もとんでもない内容です。
 防衛省は、アンカーの設置は県の許可の対象外であり、それは県と相談して確認したことで、同種の工事でもそのような取り扱いだったと主張しています。今回だけやめろというのは不公平だというのです。
 しかし、ここには防衛省が隠している重大な事実があります。那覇空港の拡張工事などで沈められたアンカーは1~2トンのものです。その程度なら許可は不要と県は判断したのですが、辺野古で沈められているアンカーは45トンで、すでにアンカーとは言えない巨大な構造物なのです。しかも、その大きさのものを使うことを予定していたのに、防衛局はそれを隠して県と協議して、従来の工事で使われた1~2トンのアンカーが使われると県にわざと誤解させたふしがあります。まるで詐欺師の手口ではないですか。

 さらに許しがたいのが、岩礁は破砕していないという、とんでもない厚顔な屁理屈です。
 防衛省によれば、岩礁破砕とは地殻そのものを変化させる行為であり、それはしていないから岩礁破砕には当たらないというのです。辺野古の海底は、地殻の上にサンゴ礁が形成され、さらに生きたサンゴが生息しています。防衛省は、生きたサンゴやサンゴ礁は巨大コンクリートブロックで押しつぶしたけれども、地殻までは壊していないからいいじゃないかと言っているのです。
 言うまでもないことですが、沖縄県が自然を守りたいと言っているのは、サンゴやサンゴ礁を含めた海の生態と地形の総体であり、それを破壊することが許されるはずがありません。

 このような一片の正当性もない理屈で、一時的に作業を中止して海底の調査をさせてほしいという沖縄県の要請を踏み潰してしまうのがこの国の政府です。
 沖縄県は、決してこれで負けたわけではありませんが、政府のしたことはよく覚えておかなければなりません。

 辺野古での作業が進行した昨年9月以降、ジュゴンは姿を見せていません。

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