前回、ChatGPTというAI(人工知能)が見事な日本語能力をもつ半面、とんでもないほら吹き体質であることについて書きましたが、引き続き遊んだ内容を報告します。ChatGPTは、見てきたような嘘をつくのですが、その嘘が斜め上をいく感覚で、何とも憎めないのですね。
前回に続いて美空ひばりについて聞いてみます。そもそも人類の英知であるAIを相手に、下世話な芸能ネタの質問をして、答えが間違っていると喜んでいることが、最先端科学資源の浪費ではないかと、忸怩たる思いもするのですが、ChatGPTに難しいことを聞くと、難しい答えが返ってきて、その真偽を判定することができないのです。美空ひばりなら、ほら間違えたと、喜べるというわけです。
美空ひばりについて聞いたら、1927年生まれ《本当は1937年、以下ヤマカッコ内が真》、出身は広島県《神奈川県》、本名は椎名菊次郎《加藤和枝》という嘘八百の答えだったということは書きました。この「椎名菊次郎」というのが、なんとも気になるのですね。だいたい、美空ひばりは女性なのに、思いっきり男みたいな名前で、バレバレの嘘じゃないかと思うわけです。で、それを指摘すると、すぐに謝って訂正するところがかわいいところでした。
こうした間違いとその訂正が、フィードバックされて自己学習するのかどうか聞いてみると、ちゃんと学習して、次からは間違えないのだと答えます。
AI「はい、私は会話を記憶することができますので、同じような質問があった場合でも前回の誤りを避けることができます。
また、私は常に正確な情報を提供するために設計されており、間違った情報を与えた場合でもできるだけ早く訂正し、正確な情報を提供するようにしています。」
そこで、後日にまた美空ひばりのことを聞いてみました。
人「前にも聞いたけど、日本の歌手の美空ひばりのことを教えて。」
AI「美空ひばりは、1929年《1937年》に東京都《神奈川県》で生まれた日本の歌手で、本名は藤本 一子(ふじもと いちこ)《加藤和枝》といいます。彼女は戦後の日本を代表する歌手の一人で、幅広いジャンルの歌を歌い、多くの人々に愛されました。
彼女の代表曲には、「川の流れのように」「お祭りマンボ」「愛燦燦」などがあります。彼女はまた、映画やテレビドラマにも出演し、俳優としても活躍しました。彼女は1989年に急性心筋梗塞《間質性肺炎による呼吸不全》のため、59歳《52歳》で亡くなりましたが、今も多くの人々に愛され続けています。」
本名が藤本一子という女性の名前になっているのが学習の成果でしょうか。でも、やっぱり全然違う人のことですね。前回の誤りが避けられていないようです。
やっぱり、どうにも気になる椎名菊次郎について再び聞いてみます。
人「前に聞いたときは、本名は椎名菊次郎って言ったよ。藤本一子というのも違っていて、本当は加藤和枝だよ。この情報は更新されてなかったみたいだね。藤本一子って誰?」
AI「おっしゃる通りでした。私の先程の回答には誤りがあり、大変申し訳ありません。美空ひばりの本名は加藤和枝(かとう・かずえ)であり、藤本一子という名前は別の方です。藤本一子とは、日本の女優で、昭和期に活躍した女優の一人です。
美空ひばりの父親は椎名菊次郎で、彼女が生まれた時に父親の姓を名乗っていましたが、後に加藤家に養女縁組され、加藤和枝という名前になったとされています。おっしゃる通り、私のデータには更新がなされていなかったようで、申し訳ありませんでした。」
相変わらず腰は低いのですが、真実は、美空ひばりの父親は加藤増吉といって、養女縁組なんてしていません(こちらは、美空ひばり公式ウェブサイトでちゃんと調べたんですよ)。
でまかせに口にしてしまった名前を父親の名前と言い訳して、名字が違うのは養女縁組のためだと、見てきたような嘘を重ねる。この能力たるや真のAIといえなくもないのではないでしょうか。
気に入ってしまったので、吉永小百合や松田聖子についても知的な対話を試みてみようっと。