それ、問題です!

引退した大学教員(広島・森田信義)のつぶやきの記録

崩壊する’神話’

2018-01-16 23:20:49 | 教育

 世の中には、何とはなく信じているものがある。その根拠を問われると返答に窮するのであるが……。
 大阪大学は入試の採点ミスを犯し、多数の受験生に迷惑をかけた。その誤りの原因は、入試問題(物理)の解答に関するミスだというから、大学としては致命的で罪が重い。正解に誤りがあったというのである。その過ちの指摘が外部から複数回あったというのに、自分たちの用意した正解にこだわった結果である。こういう場合の大学の心理状態と対応は、自らも入試問題の作成委員の経験がある私としてはよく分かる。しかしあってはならないことである。人間のすることだから間違いはある。プライドを守って押し通すと、結果として大やけどをすることになる。
 どうして、大学、特に国立大学(法人)のわずかなミスをメディアは大騒ぎするかというと、大学に、ミスなどありうるはずがないという誤った信仰によるものとしか考えられない。今回は、大学も大したものではないという事実を世間に知らしめたという意味でも貢献したミスであった。
 ところが、今度は、センター試験の「地理」に出題されたムーミンに関する問題でもめている。ムーミンの知識が入学資格、資質とどういう関係があるのか、全く理解できないが、どうやらムーミンが住んでいるムーミン谷は、フィンランドとは言い切れないというもののようである。その見解、意見をM新聞で述べているのが大阪大学大学院教員である。これで、先頃の同大学のミスが挽回されたかというと、全く関係ないところが悲しい。
 また、同じ日のM新聞には、センター試験の監督をしてした教授が、いびきをかいて寝て、受験生に迷惑をかけたという記事があった。その会場となった大学は、これまた大阪大学というのでは汚名挽回どころではない.気の毒を絵に描いたような事態であった。大学というところが、信頼すべき存在ではないということを周知徹底したという意味で意味があった。

 大相撲初場所は、大賑わいのようである。予想に反してというべきだろうか。神事と関係があり、国技たる大相撲の権威は完全に失墜し、国民から見放されたのかと心配してしたが、全くの杞憂であった。国民は、とっくに国技などとは思っていなかったのであり、今回の一連の騒動は、効果的な宣伝になり、観客たる国民の興味・関心を高めることになったのである。すでに、何年も前から上位力士をモンゴル勢が独占しているのだから、国技などという神話は、とっくに崩壊していたのである。

  わけもなく信仰の対象になっている事物をこの際見直して、ものごとの本質を追求し、問題を掘り起こし、解決する姿勢と能力を養う機会にしたい。