(今年最後のやまぶどう。まだ一房だけ残っていた。)
法治国家の国民であれば、法に基づく行為を求められる。これは当然である。
このたび、S経済産業大臣が辞任した。その理由は、地元有権者の葬儀に際して、公設秘書が香典を渡さしていたことが判明し、これが公職選挙法で禁止する寄付行為に当たるとされたためである。
わずかな香典さえ寄付行為として禁止するとは、清潔な選挙が実施されていて結構なことだと思う。そういえば、地元の行事似合わせて「うちわ」を配った大臣がくびになったことがあったのを思い出した。わが国の政治家は清廉潔白な御仁ばかりのような印象を受ける。
ところが、大臣本人が香典を持参すれば違法ではないという。これは判らない。テレビの解説者の一人は事情通であったが、「葬儀に出かけるのに、手ぶらでは具合が悪いということだったのではないでしょうか。何しろ議員が造った法律すから。」と自嘲気味に語っていた。大臣本人が「手ぶら」で具合が悪いのなら、代理の秘書だって同じことだろう。いかにも理解しにくい法律である。理解しにくいから違法行為もおこなわれることになるのだろう。
代理人の寄付行為だの、季節の挨拶程度の贈答行為、行事の際の協力(例えば、前記の「うちわ」の配布)など、違法としては微妙なもの、極めて少額なものが摘発されるなら、政治活動は萎縮し、小粒の人間ばかりになりかねない。
「悪法も法なり」で、国民としては、法に背くわけには行かない。であるなら、恩赦などの超法規的な方法でなく、法そのものを点検して合理性のある、従いやすいものにすることも必要ではないか。