古森病院@福岡市博多区です。
今日は消化器がん検診学会からの勧告のお話です。
胃透視中に、透視台から滑り落ち不幸にも機械に挟まれ圧死された方の事件。
http://www.jsgcs.or.jp/files/uploads/about_xray_safety.pdf
日本消化器がん検診学会 胃X線検査の安全性確保の周知徹底について(高齢者だけでなく、外国人の方も含むと書かれていますね)
http://www.jsgcs.or.jp/importants/archives/6
胃透視(胃のバリウム検査)で綺麗な写真(診断や検診、術前検査に役立つ写真)を撮ろうと思ったら、
患者さんの胃の形や病変の位置や形態によっては透視台の傾斜をかなりきつくかけないといけない方がおられます。
傾斜のかけ方ですが、患者さんの頭が上がる場合と下がる場合があります。
ただでさえ飲みにくいバリウムや発泡剤も飲まされてゲップを我慢する、バリウムを胃壁に乗せるために台の上で何回も
ぐるぐる回ったりさせられて、負荷がかかってくるのが胃透視検査ですが、もともと体力が落ちてきたり、筋力が弱くなったり、
認知に問題が出てきたりしてくる年配の方々は、これらの負荷の上に 透視台の傾斜という負荷まで加わると
傾斜の勾配にもよるでしょうが、頭が下がった状況で手摺からつい手が離れたり等、
危ない事に発展してしまう例が 今までも全国で散見されています。
肩まくらなど使ったり、室内カメラを使うよう、学会は指導していますが、
胃透視は室内環境が真っ暗でないと透視画面が見づらいので、赤外線カメラで広角でないと
役には立たず、検査室内部に職員が付き添うと二次被曝の問題もあり(後、人手の問題も)
検診に於ける胃透視検査数を考えると、全例に付き添いは困難な状態です。
管理人は胃透視検査による一次検診(スクリーニングと言われる、所謂自覚症状のない段階での検診)は高齢の方や受検のやり方の理解が難しい方は全廃として、基本的に胃カメラ検査とし、内視鏡検査結果で
胃透視検査が必要な方だけ 職員やご家族さま立会いのもとに胃透視検査を行えばいいと思います。
技術が進歩し、CTなどで、代用できる時代がそのうちに来るかもしれません。
高齢の方は、一次検診の際は胃透視は自衛のため、御自分で希望されず、内視鏡を希望されることがベターかと
思われます。命懸けでする検査ではありません。。。
以上、古森病院でした。
ホームページ http://komori-hp.cloud-line.com/
追記
今回の事件の放射線技師さんたちが立件されています。
X線撮影台から落ち死亡 技師を業過致死容疑で立件へ
事故・訴訟 2015年9月20日 (日)配信朝日新聞
群馬県沼田市で5月、胃のバリウム検査を受けていたパート女性(当時58)が、傾いたX線撮影台から滑り落ちて死亡した。十分な安全措置を取らなかったとして、県警は担当の放射線技師らを業務上過失致死の疑いで立件する方針を固めた。
女性はブラジル国籍のマスコ・ロザリナ・ケイコさん=沼田市恩田町。5月8日、勤務先の工場に来ていた検診車内の撮影台に乗ってX線撮影中、頭が下向きに傾いた際に滑落。動いた台と内壁の間に頭を挟まれ、動脈損傷による出血性ショックで死亡した。
県警は、車内の別室で撮影台を操作していた技師が監視モニターでマスコさんの体の動きを十分に確認していなかったため、滑落に気づかず撮影台を水平に戻した、と判断。滑落を防ぐための「肩当て」も設置されていなかったという。
肩当ては、撮影台の取り扱い説明書で設置を義務づけており、日本消化器がん検診学会のガイドラインでも、設置されているか点検するよう求めている。この技師も所属していた全日本労働福祉協会の事故調査報告書などによると、2008~12年度、撮影台からの滑落事故は全国でほぼ毎年起きている。(伊藤繭莉)
朝日新聞デジタルselect
今日は消化器がん検診学会からの勧告のお話です。
胃透視中に、透視台から滑り落ち不幸にも機械に挟まれ圧死された方の事件。
http://www.jsgcs.or.jp/files/uploads/about_xray_safety.pdf
日本消化器がん検診学会 胃X線検査の安全性確保の周知徹底について(高齢者だけでなく、外国人の方も含むと書かれていますね)
http://www.jsgcs.or.jp/importants/archives/6
胃透視(胃のバリウム検査)で綺麗な写真(診断や検診、術前検査に役立つ写真)を撮ろうと思ったら、
患者さんの胃の形や病変の位置や形態によっては透視台の傾斜をかなりきつくかけないといけない方がおられます。
傾斜のかけ方ですが、患者さんの頭が上がる場合と下がる場合があります。
ただでさえ飲みにくいバリウムや発泡剤も飲まされてゲップを我慢する、バリウムを胃壁に乗せるために台の上で何回も
ぐるぐる回ったりさせられて、負荷がかかってくるのが胃透視検査ですが、もともと体力が落ちてきたり、筋力が弱くなったり、
認知に問題が出てきたりしてくる年配の方々は、これらの負荷の上に 透視台の傾斜という負荷まで加わると
傾斜の勾配にもよるでしょうが、頭が下がった状況で手摺からつい手が離れたり等、
危ない事に発展してしまう例が 今までも全国で散見されています。
肩まくらなど使ったり、室内カメラを使うよう、学会は指導していますが、
胃透視は室内環境が真っ暗でないと透視画面が見づらいので、赤外線カメラで広角でないと
役には立たず、検査室内部に職員が付き添うと二次被曝の問題もあり(後、人手の問題も)
検診に於ける胃透視検査数を考えると、全例に付き添いは困難な状態です。
管理人は胃透視検査による一次検診(スクリーニングと言われる、所謂自覚症状のない段階での検診)は高齢の方や受検のやり方の理解が難しい方は全廃として、基本的に胃カメラ検査とし、内視鏡検査結果で
胃透視検査が必要な方だけ 職員やご家族さま立会いのもとに胃透視検査を行えばいいと思います。
技術が進歩し、CTなどで、代用できる時代がそのうちに来るかもしれません。
高齢の方は、一次検診の際は胃透視は自衛のため、御自分で希望されず、内視鏡を希望されることがベターかと
思われます。命懸けでする検査ではありません。。。
以上、古森病院でした。
ホームページ http://komori-hp.cloud-line.com/
追記
今回の事件の放射線技師さんたちが立件されています。
X線撮影台から落ち死亡 技師を業過致死容疑で立件へ
事故・訴訟 2015年9月20日 (日)配信朝日新聞
群馬県沼田市で5月、胃のバリウム検査を受けていたパート女性(当時58)が、傾いたX線撮影台から滑り落ちて死亡した。十分な安全措置を取らなかったとして、県警は担当の放射線技師らを業務上過失致死の疑いで立件する方針を固めた。
女性はブラジル国籍のマスコ・ロザリナ・ケイコさん=沼田市恩田町。5月8日、勤務先の工場に来ていた検診車内の撮影台に乗ってX線撮影中、頭が下向きに傾いた際に滑落。動いた台と内壁の間に頭を挟まれ、動脈損傷による出血性ショックで死亡した。
県警は、車内の別室で撮影台を操作していた技師が監視モニターでマスコさんの体の動きを十分に確認していなかったため、滑落に気づかず撮影台を水平に戻した、と判断。滑落を防ぐための「肩当て」も設置されていなかったという。
肩当ては、撮影台の取り扱い説明書で設置を義務づけており、日本消化器がん検診学会のガイドラインでも、設置されているか点検するよう求めている。この技師も所属していた全日本労働福祉協会の事故調査報告書などによると、2008~12年度、撮影台からの滑落事故は全国でほぼ毎年起きている。(伊藤繭莉)
朝日新聞デジタルselect