働き方法案、裁量労働制を分離=安倍首相、データ不備で方針転換-政権に打撃
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018030100009&g=eco
時事ドットコム 2018年3月1日 午前1時10分
安倍晋三首相は28日、今国会の焦点である「働き方改革」関連法案について、裁量労働制の対象業務拡大を切り離して提出する方針を決めた。裁量労働制については調査データの不備を踏まえて運用実態の把握からやり直し、今国会提出は見送る方向。
残業時間の上限規制などを柱とする法案を国会に先行提出し、早期成立を目指す。
野党の反発を受け、関連法案を一括提出するとしてきた方針の転換に追い込まれ、政権には打撃だ。
首相は28日深夜、2018年度予算案が衆院本会議で可決された後、自民、公明両党の幹事長、政調会長、菅義偉官房長官、加藤勝信厚生労働相を首相官邸に集め、こうした方針を伝えた。席上、首相は「データをめぐって混乱が生じ、大変迷惑を掛けた」と陳謝した。
会談後、首相は記者団に「裁量労働制は全面削除するよう指示した。厚労省で実態を把握した上で議論し直す」と言明。「時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金、高度プロフェッショナル制度の三つの柱については(一括して法案を)提出し、この国会で成立させたい」と述べた。
3本柱に関する法案の提出時期については「与党のプロセスを経た上で閣議決定して提出したい」と述べるにとどめた。裁量労働制に関する法案の提出時期には触れなかったが、公明党の井上義久幹事長は「この国会では無理だとの認識は共通している」と記者団に説明した。(2018/03/01-01:10)
”速報”
働き方改革法案に裁量労働制適用拡大盛り込まない方針 首相
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180228/k10011346851000.html?utm_int=all_contents_just-in_001
NHKニュース 2月28日 23時47分
政府が今の国会の最重要法案と位置づける働き方改革関連法案をめぐり、安倍総理大臣は、厚生労働省の労働時間の調査に誤りとみられる例が見つかったことなどを踏まえ、裁量労働制の適用業務の拡大を法案には盛り込まない意向を固めました。
働き方法案、提出は4月以降=与党に裁量労働分離論
政府・与党は28日、今国会の焦点である「働き方改革」関連法案の提出を先送りする方針を固めた。安倍晋三首相は同法案に盛り込む裁量労働制に関し、厚生労働省が実施した調査に不備があった問題を受け、実態把握を優先する方針を表明。提出は4月以降にずれ込むとの見方が政府・与党内で強い。与党からは、裁量労働制の対象業務拡大を法案から切り離すべきだとの意見が浮上した。
裁量労働制に関する調査のデータに多くの異常値が見つかったことへの批判が高まり、政府として対応を迫られている。首相は今国会を「働き方改革国会」と位置付けており、法案成立が最優先課題。既に約1週間遅らせた提出時期の再延期を余儀なくされることは、政権にとって打撃となりそうだ。
首相は28日の衆院予算委員会で、データ問題について「国民に疑念を抱かせたことは誠に遺憾だ」と語った上で、「ここをきっちり実態把握しない限り、政府全体として前に進めない」と言明した。実態把握に「相応の時間を要する」との見通しを示す一方、具体策には言及しなかった。
加藤勝信厚労相は同委で「今あるデータで使えるか、とはなり得ない」と述べ、追加調査に含みを持たせた。ただ、実態把握の手法については「厚労省で検討したい」と述べるにとどめた。
与野党幹事長会談で野党が再調査を求めたのに対し、与党は拒否した経緯がある。公明党中堅は実態把握について「今あるデータの丁寧な精査だ」との見方を示した。
自民党内では、裁量労働制拡大を法案から分離し、残業時間の上限規制や同一労働同一賃金などの実現を先行させるよう求める声が出始めた。幹部の一人は「最終的には切り離されると思う」と語った。(2018/02/28-19:40)
働き方法案提出、大幅延期へ
3月後半めどで厚労省検討
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裁量労働制などの労働時間調査に不適切なデータ処理や異常値が多数見つかった問題を受け、厚生労働省は27日、裁量制拡大を含む働き方改革関連法案の国会提出を当初より大幅に延期し、3月後半を目指す方向で検討に入った。1万件を超える全データの精査に時間がかかることに加え、自民党内からも批判が相次ぎ、提出に向けた作業が遅れているため。
厚労省は当初、2月後半に関連法案を国会提出する予定だったが、データ問題で衆院予算委員会が紛糾。野党の追及が強まり、与党での法案の事前審査も中断している。