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生命の泉 六話

2012年01月10日 00時01分55秒 | 僕が書いた小説
年末から短編小説なるものにトライしている。
これはその続きである。


みんなが湖の前に集まった。ケイタがまず口を開いた。
「箱の中身を教えろよ。」
僕はどうしてよいかわからないまま黙っていると、リョウが再び語り始めた。

「どうやら全てを語る時がきたようだ。

実は…、世界は2つあるんだ。今いる世界とお前たちの知らない世界がもう1つある。
そして向こうの世界でもお前たちは存在している。
無論、お前たちが向こうで何をしているかはお前たちは知るよしもない。

コウトクは別だがね。」

ヤスが笑う。「リョウ、お前、何言ってるんだ。わけわかめなやつだ。」

ダイキは何かを感じたらしく語り始める。
「俺、よく夢を見て、いつも塾で勉強してるんだ。何か変な夢で、コウトクが俺たちに英語教えてて、何故か神様のCHIKARAも生徒なんだ。でもリョウはいないよな。」

ケイタが笑い出す。
「ハーハ、ハーハ、ダイキも意味分からん。ハーハ、CHIKARAが生徒って。ハーハ。」

リョウが再び口を開いた。
「いいか、騙されたと思って黙って聞け。
実は俺はこっちの世界ではただのリョウだが、向こうの世界では龍神だ。
こっちの世界の神様は、皆が知っているようにCHIKARAだが、向こうの世界ではお前たちの友達だ。そしてコウトクには申し訳…」

リョウが語っているとき、ヤスが叫んだ。
「ウオー、神様、神様。」

CHIKARが空から降りてきた。
CHIKARAはリョウのほうを見て、小さくうなづいて、口を開いた。
「やあ、みんな、神様じゃ。みんなとは向こうじゃ楽しくやっとるぞ。そしてケイタ、お前がオークからもらった伝説の釣り針は盗ませてもらったぞ。お前の部屋にある釣り針は偽物じゃ。本物はたった今、この湖に沈んでいったよ。」

ケイタが怒りを露にした。
「神様でも、盗みはダメでしょう。
あれ、だご大切にしてたのに。意味分からんし。
おい返せよ。は、沈んで行った。は、意味分からんし。」

リョウが言った。
「ケイタ、神様は、お前が悪魔になるのを救ってくれたんだぞ。」

僕はまだ疑問が解けない。頭がぐるぐると回転し始める。
「ケイタはオークから釣り針を手に入れた。多分、僕のように落ち込んでいた心の隙を狙って、オークがケイタに渡したのだろう。
その釣り針はCHIKARAの手に渡った。
そして何らかの形でまたオークの手に戻った。
釣り針は向こうの世界でオークから僕の手に移る。
僕は生命の泉を通して、こっちの世界とつながった。釣り針もその時、こっちの世界に戻ったきた。
そして龍神様がこの湖にそれを投げ入れた。
そもそも、生命の泉とは?オークの真意は?」

考えていると、突然、湖が光始めた。

CHIKARAはリョウのほうを見て言った。
「そろそろ、始まりそうだ。」

続く…。