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御坊市が認知症の条例案提示、3月議会制定へ 〈2018年11月14日〉

2018年11月14日 08時30分00秒 | 記事

ワーキング会議に条例骨子案を提示


 認知症本人の視点に立った条例制定をめざす御坊市の第3回ワーキングチーム会議が13日、市役所で開かれ、市当局が条例骨子案を提示した。市は「認知症と共に生きる希望宣言」と位置づけ、骨子案は「認知症の人が自分らしく生きることができ、誰もが暮らしやすいまちを実現する」ことを目的に基本理念や市の責務、当事者、市民の役割などを明記。当事者ら委員の意見を参考に修正を加え、来年3月議会に提案し、4月施行をめざす。

 全国では予防などに視点を置いた条例が制定されているが、本人視点に立った条例は珍しい。御坊発「本人視点」条例をつくるため、若年性認知症当事者で日本認知症本人ワーキンググループ共同代表を務める藤田和子さん=鳥取市=、認知症研究の第一人者で認知症介護研究・研修東京センター研究部長の永田久美子さん、市内認知症サポート医の中島彰一氏=中島医院=をはじめ、市内や大阪の認知症当事者と家族ら14人が委員を務め、さまざまな意見を聞いてきた。
 これまでの意見を参考に市当局で骨子案をつくり、この日の会議に提示。基本理念は(1)認知症になっても尊厳が保持され、希望を持って自分らしい暮らしができる(2)認知症の人ができることを制限せず、その人の意思が尊重され、いつまでも新たなことに挑戦できる(3)認知症の人やその家族及び市民のそれぞれが活躍し、誰もがより良い暮らしができる-と明記した。
 市の責務は、認知症を重要課題として位置づけ、関係機関と連携し、認知症の人が安心して暮らし続けられるまちづくりのための施策を講じる。施策の実施に当たっては認知症の人の意見を聴き、認知症とその家族の視点に立った施策を実施する▽市民の役割は、認知症に関する理解を深め、自分らしくより良い暮らしができるための備えをしておくよう努める。認知症の人が社会参加できるよう配慮する。
 認知症の人の役割は、まちが暮らしやすいか確認し、より良い暮らしを実現するため、市や関係機関に提案する▽関係機関の役割は、認知症の早期診断のための連携を図り、診断直後から認知症の人とその家族が安心して暮らしができるよう必要な支援を行う▽事業者の役割は、認知症の人が安心して従業できるよう個々の特性に応じた必要な配慮に努める。認知症に関する知識を深めるため、従業員に対して必要な教育を実施するよう努める。
 この日出された意見を参考に文言等を修正し、年明けにも最終案をとりまとめる。田中孝典・介護福祉課長は「認知症の人、家族の方みんなの思いを凝縮した至極の条例にしたい。認知症と共に生きる希望宣言として条例を制定し、市民の皆さんに広め、市全体で共有したい。条例は必要に応じて見直しを行いながら進化させたい」と話した。


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