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平成30年度日高町文化賞にクヌッセン機関長遺徳会 〈2018年11月22日〉

2018年11月22日 08時30分00秒 | 記事

 

今も供養塔に花が供えられ、後に建つ救命艇保管庫とともに
遺徳を語り継ぐ


 平成30年度日高町文化賞にヨハネス・クヌッセン機関長遺徳会が選ばれた。クヌッセン機関長の日本人船員を救おうとした勇敢な行動に敬意を払い、区民全員が会員となり、亡くなった後、61年間、供花などで遺徳をたたえ後世に語り継いできたことが評価された。奨励賞6人とともに、23日午前10時から町保健福祉総合センターで表彰される。

 遺徳会は昭和32年2月10日に日の岬沖で起きた海難事故で日本人船員を救うため、自らの命を顧みず厳寒の海に飛び込んだデンマーク船エレン・マークス号のクヌッセン機関長の勇敢な行いに敬意を払うとともに、その遺徳をたたえ後世に語り継ぐことを目的に設立。会員は田杭区民で組織し、会長は田杭区長、副会長は同副区長が務める。
 事故のあった年の8月には、今も残る「クヌッセン機関長遺骸発見之地」という供養塔が建立され、昭和35年11月に旧救命艇保管庫(平成24年2月に現在の場所に移転)も建設されている。遺徳会はクヌッセン機関長の行いに深い感動を受けた田杭区民が救命艇保管庫の管理や供養塔への供花などに取り組み、事故のあった昭和32年から今年まで61年間絶やすことなく続けている。
 文化賞は全国的な規模で何度も表彰を受けたり、長年続けてきた活動で町内の文化向上発展に顕著な功績のある個人や団体に贈られる。選考委員会では遺徳会について、慰霊の気持ちを捧げ続けていることは、現在、希薄になりつつある「人としてのあり方」や「相手を思いやる気持ち」を改めて考えさせられる事柄で他に類を見ないと評価。同会は県や町、デンマーク文化大臣からの感謝状を受けたこともある。清原久和区長は「当番を決めて花を供えるなど供養を続けており、何より区民がボランティアで続けてきたおかげ。今年も機関長が好きだったキンセンカの苗も供えさせてもらいました」と話している。
 文化奨励賞は公募展や発表会などで知事表彰と同等の表彰を受けた小学生以上の個人や団体が対象。
 阪口結海さん=日高高2年、比井=は県高校総合文化祭邦楽部門発表会で優勝、全国高等学校総合文化祭日本音楽部門で上位入賞。
 坂成海さん=日高中1年、荊木=は第29回MOA美術館中紀児童作品展で最優秀の知事賞受賞。
 冨田好花さん=内原小6年、小中=全国MIEバレエコンペティションジュニアIB部門で第1位(三重県知事賞)を獲得。
 嶋田倫也君=志賀小6年、志賀=は第30回MOA美術館中紀児童作品展で最優秀の県知事賞受賞。
 中津凛香さん=内原小4年、荊木=は灯台絵画コンテスト2018で最優秀の国土交通大臣賞を受賞。
 大藤愛叶さん=内原小4年、高家=は第30回MOA美術館中紀児童作品展で最優秀の県知事賞受賞。
 文化功労賞の該当はなく、今回の文化賞1団体、奨励賞は6人を含めると、これまでの受賞者は文化賞が10人と3団体、文化功労賞が2人、奨励賞が10人となる。


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