花と山を友として

何よりも山の花が好き、山の景色が好き、山で出逢う動物が好き、そして山に登る人が好き。
写真と紀行文で綴る山親父日記

蛇紋岩の尾瀬の笠ヶ岳に遊ぶ・その2

2010年08月08日 | 登山

最初はジョウシュウアズマギクと思っていたが、ミヤマアズマギクかも知れない。
猪狩さんの尾瀬植物手帳を見ると、葉はほとんど無毛と書かれているので
拡大してみたら、葉には毛が有ったから。
正確には、根生葉の幅が5mm以上有れば、ミヤマアズマギクと考えて良いと言う本も有る。
定規が無いとダメなのね。計ってないよ! 第一もうピークも過ぎてるし。
追記
山渓の「日本の野草」を見たら、写真の撮影地が尾瀬の笠ヶ岳であった。
やはり「ジョウシュウアズマギク」で良さそうだ。
それに葉は「毛が少ない」で「無毛」とは書いていなかった。


タカネナデシコ ナデシコ科ナデシコ属
猪狩さんの尾瀬の植物手帳には、この花は、雄性期と雌性期があると書かれている。
つまり雄花になったり雌花になったりする訳なのかな。
タテヤマリンドウとかフデリンドウもそうなんだって、知らなかった。

追記、正しくはおしべが先に熟する先塾性の事らしいので、花そのものが
雄花や雌花に変わるわけではない。誤解をあたえる表現だったので追記します。


片藤沼 笠ヶ岳の先にある静かな沼、ここから燧ヶ岳と至仏山が並んで見えると言うが
生憎の曇り空で、燧ヶ岳しか見えなかった。
沼の奥に、うっすらと見えているのが燧ヶ岳、天気が良ければ左端に至仏山が見える。
ちなみに沼の名前は、片品村と藤原町からそれぞれ一字をとってつけたらしい。


キンロバイ(金露梅) バラ科キジムシロ属の落葉低木
蛇紋岩地や石灰岩地に多い、岩礫地や岩隙に生える。


モウセンゴケの花 モウセンゴケ科モウセンゴケ属 ご存知食中植物
丁度、開花期でたくさんの花を見ることが出来た。


この花の名前を単なる「ツリガネニンジン」とするか「ハクサンシャジン」とするか
実は迷った。
一般的には、ツリガネニンジンの高山型がハクサンシャジンと言われているから
「ツリガネニンジン」と言っておけば、無難かも知れないが。
気になって尾瀬関係の手持ちの花図鑑を調べてみたら、ハクサンシャジンの記載が
ほとんど無い。ツリガネニンジンだけが書かれている。
わずかに「歴史春秋社」から出されている「小林隆」さんの「尾瀬の花」に記載
されている。

それによれば、次のようになる

ツリガネニンジン キキョウ科ツリガネニンジン属 花期 8~9月
高さ 50~100cm 花 1~2cm
山野、高原などに生える多年草。葉は卵状楕円で3~5枚輪生し、数段付ける。
花は円錐花序をつくり、鐘形で先5裂した花を下向きに咲かせる。

ハクサンシャジン キキョウ科ツリガネニンジン属 花期 7~8月
高さ 30~60cm 花 約2cm
高山帯の草地に生える多年草。低地に生えるツリガネニンジンの高山型。
ごとに3~4枚の葉を輪生する。
花は茎上部に鐘形で青紫色の花を輪状につける。

以上「尾瀬の花」から説明文を引用した。
これを見ると写真の花は、やはり円錐花序の「ツリガネニンジン」として良さそうだ。

尚 山渓カラー名鑑「日本の高山植物」では、花冠の基部は円筒状の花盤(腺体)で囲まれる
とか、かなり専門的で難しい。
素人にも判るようにね、書いて欲しい。

追記
古い図鑑を調べていたら、またも迷うような事が書いてある。
鈴木昌友先生が書かれた「東日本の高山植物と山草」には、ハクサンシャジンの特徴として
「花は円錐花序につくが花序の枝はきわめて短く、伸長しないので花が密集して出る」とある。
円錐花序という言葉を除けば、花が密集して出るは、ハクサンシャジンの特徴として
良いかもしれない。

保育社の検索入門「高原と高山の植物2」清水建美著には、次のように出ている。

ツリガネニンジン
ポイント1.花は輪生状に数段にもつく
    2.がく裂片は線形で突起がある。
低山~亜高山の草原に生える。高さ40~100cm。茎葉は長さ4~8cm、3~5個ずつ
輪生する。
花序は小さな集散花序が集まったもので、数段の花輪をつくる。
花冠は長さ1.5~2cm、花柱は花冠から長くつき出る。花盤は細長い。
北海道~九州。 花は8~10月。白花の咲くのはシロバナツリガネニンジンである。

ハクサンシャジン
ポイント1.花は1段に数個、2,3段に輪生する。
    2.花輪の間は互いにくっつく
亜高山~高山の草地に生える。高さ15~50cm。ツリガネニンジンより丈は低く、花序は
単純で花は少ない。
北海道・本州(東北~中部地方)、固有。花は8月。
白花の咲くのは、シロバナハクサンシャジンである。

時間が有れば、原色日本植物図鑑も調べて見たいが、今回はここまでとする。