峰の茶屋から牛ヶ首に向かうコースは、茶臼岳西面の1740m前後の
中腹を、多少のアップダウンを繰り返して進む、ほぼ平坦な
道と言って良い。
この時期、この道を彩るのは、ウラジロタデやシラネニンジンの
白い花達である。
すぐに岩石の崩れた窪地の板橋を渡る
橋の脇には、硫黄で黄色になった噴出口から今でも
ガスが流れている。
上流側は結構深い谷になっていて、いくつか巨岩が
転がっている。
さらにその上部でもガスが勢いよく吹き出している。
立ちこめる硫黄の匂いが風に乗ってきた。
さらにその先の谷にも、小さい橋が架かっていて
渡りきった先で、山頂を見上げると
ウラジロタデとおぼしき花が、今にも崩れそうな斜面に
必死に花を咲かせていた。
いかにもパイオニア植物と言われる面目躍如たる活躍だ。
そうして彼らは後に続く植物の下地を作っている。
ウラジロタデ(裏白蓼)・タデ科タデ属基準標本はサハリン
別名ウラジロイタドリ、葉の裏面に綿毛を密生するため
葉の裏が白く見えるのが名前の由来。雌雄異株の植物
この変種で葉裏の毛が少ないため、葉裏が緑に見えるのを
「オンタデ」と呼ぶ。
オンタデの基準標本は富士山である。
タデと言えば「蓼食う虫も好きずき」と言うことわざも有るので
さぞかし苦い味がするので有ろう。
とは言っても試しに食ってみる気にはならないが。
ことわざの意味は「苦い蓼の様な草でも、好んで食べる虫がいる
まして人間の好みは、人さまざまである。」という意味で
人の好みの多様性を言っている。
(但し、この場合の蓼は「ヤナギタデ」の事だそうである)
ホツツジ(穂躑躅)・ツツジ科ホツツジ属 別名マツノキハダ
花が穂状に咲くのが名前の由来、ツツジの仲間とは思えない
花の形をしている。3裂した花冠は反り返り、雌しべはまっすぐ
外に突き出している。葉は互生で枝先に集まってつく。
葉の葉脈上に細かい毛が生える。
樹皮に縦の割れ目が出来るので「マツノキハダ」の別名がある
花の終わったマルバシモツケ