告げられぬ言葉とともに
かきまぜてとかしておりぬ
コーヒーシュガー
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Boz Scaggs - We're All Alone (Unplugged Version)
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「さん」づけて呼ばれているのは
我の名と気づく
あなたとの再会の街
いつのまにか
昔の調子になってゆく
横たわる時間(とき)はそのまま
にして
我の名と気づく
あなたとの再会の街
いつのまにか
昔の調子になってゆく
横たわる時間(とき)はそのまま
にして
あれから、十二年という歳月が
流れた。
あの日、あの夜、闇の底を生き
物のように流れる河のほかには
何もない、
閉散とした駅のプラットホーム
に、おそらく永遠に取り戻すこ
とのできない何かを置き忘れた
まま、わたしはもうすぐ、三十
五歳になろうとしている。
こうして、スピードを上げながら
西へ西へ向かう新幹線の中でひと
り、遠ざかってゆく景色を眺めて
ると、記憶の虚空(こくう)から、
はらはらとこぼれ落ちてくるのは
あの年の記憶だけだ。あの年その
ものが、わたしにとって八番目の
曜日であり、十三番目の月だった
のかもしれない。
今はもう、痛みは感じない。そこ
にはひと粒の涙も、ひとかけらの
悲しみ宿っていない。あのひとの
記憶は愛よりも優しく、水よりも
透明な結晶となって、わたしの心
の海に沈んでいる。
この十二年のあいだに、わたしは
いくつかの恋をした。
出会いがあって、相手を求め、求
められ、愛しいと感じ、結ばれた。
二十七の時には、結婚もした。
不幸にも、夫に好きな人ができ
てしまったため、その結婚はた
った二年で壊れてしまったけれ
ど、それでも二年間、わたしは
とても幸せだった。
ただ、どんなに深い幸せを感じ、
それに酔い痴れている時でも、
わたしの躰の中に一ヶ所だけ、
ぴたりと扉の閉じられた、小
部屋のような領域があった。
扉を無理矢理こじあけると、
そこには光も酸素もなく、
植物も動物も死に絶えた、
凍てついた土地がだけが
広がっている。
だからうっかりドアをあけた
人たちは、酸素と息苦しさに
身を縮め、わたしから去って
いく。離婚の本当の原因は、
もしかしたらわたしの方に
あったのかもしれない。
こんな言い方が許されるな
らば、わたしは誰かに躰を
赦(ゆる)しても、心を救
したことはなかった。
流れた。
あの日、あの夜、闇の底を生き
物のように流れる河のほかには
何もない、
閉散とした駅のプラットホーム
に、おそらく永遠に取り戻すこ
とのできない何かを置き忘れた
まま、わたしはもうすぐ、三十
五歳になろうとしている。
こうして、スピードを上げながら
西へ西へ向かう新幹線の中でひと
り、遠ざかってゆく景色を眺めて
ると、記憶の虚空(こくう)から、
はらはらとこぼれ落ちてくるのは
あの年の記憶だけだ。あの年その
ものが、わたしにとって八番目の
曜日であり、十三番目の月だった
のかもしれない。
今はもう、痛みは感じない。そこ
にはひと粒の涙も、ひとかけらの
悲しみ宿っていない。あのひとの
記憶は愛よりも優しく、水よりも
透明な結晶となって、わたしの心
の海に沈んでいる。
この十二年のあいだに、わたしは
いくつかの恋をした。
出会いがあって、相手を求め、求
められ、愛しいと感じ、結ばれた。
二十七の時には、結婚もした。
不幸にも、夫に好きな人ができ
てしまったため、その結婚はた
った二年で壊れてしまったけれ
ど、それでも二年間、わたしは
とても幸せだった。
ただ、どんなに深い幸せを感じ、
それに酔い痴れている時でも、
わたしの躰の中に一ヶ所だけ、
ぴたりと扉の閉じられた、小
部屋のような領域があった。
扉を無理矢理こじあけると、
そこには光も酸素もなく、
植物も動物も死に絶えた、
凍てついた土地がだけが
広がっている。
だからうっかりドアをあけた
人たちは、酸素と息苦しさに
身を縮め、わたしから去って
いく。離婚の本当の原因は、
もしかしたらわたしの方に
あったのかもしれない。
こんな言い方が許されるな
らば、わたしは誰かに躰を
赦(ゆる)しても、心を救
したことはなかった。
人がめぐり逢って結ばれる
のは、とても不思議。
今、私が見ている星の数以上
の人間がこの世界で生きている。
その中のたったひとりに出逢って、
愛し合って結ばれる。
なんという奇跡。
それを考えただけで、私は
また衝撃を覚えた。
のは、とても不思議。
今、私が見ている星の数以上
の人間がこの世界で生きている。
その中のたったひとりに出逢って、
愛し合って結ばれる。
なんという奇跡。
それを考えただけで、私は
また衝撃を覚えた。
ひび割れた胸の中で、
さっきから、叫び続けて
いる女がいた。
この夜が終わらぬように
抱きしめて
細き私のうなじ支えて
さっきから、叫び続けて
いる女がいた。
この夜が終わらぬように
抱きしめて
細き私のうなじ支えて
小さな嘘をひとつ、つく。
嘘が乾かないうちに、もう一度、
湿った唇を押し当てる。
失いたくない、大切な人を
守るために、必要な嘘というもの
があるのだ。
だから、嘘をついた自分を、責め
たりしない。
わたしは、昔みたいにまっすぐ
じゃない。枝をたまわせておけば、
折れないでいられることを学んだ。
嘘が乾かないうちに、もう一度、
湿った唇を押し当てる。
失いたくない、大切な人を
守るために、必要な嘘というもの
があるのだ。
だから、嘘をついた自分を、責め
たりしない。
わたしは、昔みたいにまっすぐ
じゃない。枝をたまわせておけば、
折れないでいられることを学んだ。
せつなさというのは不思議
な気持ちだと思う。
淋しさや悲しさのよにわか
りやすくはないし、言葉で
説明を求められてもはっき
り答えられないから困って
しまう。
それに人によって受けとめ
方もさまざまで、ある人は
淋しさによく似た気持ちか
もしれないし、
ある人にとっては悲しみの
ひとつの形になっているか
もしれない。
私は・・・・と言うと、こ
れが曖昧。
たとえば触れられそうで触
れられない、その指先と何
ものかの距離をせつなさと
呼ぶのかもしれない。
抱きしめているのに、どう
しても手に入らないもの。
ひとつになりたいのに、決
して体も心もひとつになれ
ないこと。
取り戻せない時間。なのに
昨日のことのように輝いて
いる出来事。そんなどうに
もならない何ものかとの隙
間が、とても愛しくて、とて
も素敵で、とてもとてもせつ
ない。
時の流れという縦糸といろん
な出来事や気持ちの横糸が描く
つづれ織り。
せつさなは言葉では表せない。
ただただ、心にしんと感じる
もの。
な気持ちだと思う。
淋しさや悲しさのよにわか
りやすくはないし、言葉で
説明を求められてもはっき
り答えられないから困って
しまう。
それに人によって受けとめ
方もさまざまで、ある人は
淋しさによく似た気持ちか
もしれないし、
ある人にとっては悲しみの
ひとつの形になっているか
もしれない。
私は・・・・と言うと、こ
れが曖昧。
たとえば触れられそうで触
れられない、その指先と何
ものかの距離をせつなさと
呼ぶのかもしれない。
抱きしめているのに、どう
しても手に入らないもの。
ひとつになりたいのに、決
して体も心もひとつになれ
ないこと。
取り戻せない時間。なのに
昨日のことのように輝いて
いる出来事。そんなどうに
もならない何ものかとの隙
間が、とても愛しくて、とて
も素敵で、とてもとてもせつ
ない。
時の流れという縦糸といろん
な出来事や気持ちの横糸が描く
つづれ織り。
せつさなは言葉では表せない。
ただただ、心にしんと感じる
もの。
愛し合うということを、とき
どき不思議に思う。
おたがいに求め合っていても、
その強さは微妙に違う。
きっとその差が淋しさだった
り、せつなさだったりするの
だろう。
いつのまにか
吾を呼びすてる男いて
フルーツパフェを食べさせた
がる
どき不思議に思う。
おたがいに求め合っていても、
その強さは微妙に違う。
きっとその差が淋しさだった
り、せつなさだったりするの
だろう。
いつのまにか
吾を呼びすてる男いて
フルーツパフェを食べさせた
がる