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「マクベス」 舞台内容 一幕三場

2009-10-22 11:34:14 | 「マクベス」

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 フォレス近くの荒地、3人の魔女たちが現れ、マクベスとバンクォーを待ち伏せる。
そして、ふたりが登場する。
 'So foul and fair a day I have not seen,'
 (こんなに嫌な、めでたい日は初めてだ)


 魔女たちと同じような言葉を使うことで、マクベスが初めから魔女たちの呪縛に捕らわれていることがわかる。




 魔女たちは次のように予言する。
 'All hail, Macbeth ! hail to thee, thane of Glamis !
   All hail, Macbeth ! hail to thee, thane of Cawdor !
   All hail, Macbeth ! thou shalt be king hereafter,'
 (マクベス様、万歳! グラームズの領主さま、万歳!
  マクベス様、万歳! コーダーの領主さま、万歳!
  マクベス様、万歳! 何れは国王になられるお方)


 この魔女たちの言葉にマクベスは驚く。彼はグラームズの領主ではあるが、コーダーの領主ではない。
ましてや国王であるはずがないのだが、今の時点では。


 'Lesser than Macberh, and greater.
   Mot so happy, yet much happier.
   Thou shalt get kings, though thou be none.'
 (マクベス様より小さいが、それでいてずっと大きい
  それほど幸運ではないが、遥かに幸運だ。
  あなたは国王にはなれないが、子孫が国王になる)


 という謎めいた言葉を残し、魔女たちは消え去った。
そして、魔女たちの予言が実現し始める。


 マクベスはダンカン国王からの使者に、「コーダーの領主」という称号で挨拶を受ける。
 この挨拶の効果はてき面で、マクベスは、それを魔女の予言全体が真実であると確信するのだ。
彼が真っ先に考えたことは、バンクォーも自分と同じように予言を解釈したかどうかということで、それを確かめることである。




 現実的で忠義であるバンクォーは、魔女の予言について、マクベスのようには解釈しなかった。


 彼は、予言が部分的に実現したことについて、詐欺師にありがちなトリック、最初のうちは、勝たせておき、最後に相手を破滅させるものだと考え、マクベスに注意するよう述べる。


 しかし、マクベスは、魔女の予言の呪縛に捕らわれていて、聞く耳を持たない。
すでに自身の未来の夢に夢中となり、周りが見えないでいた。


 彼の心の中では、予言を実現させる手段を求め、自身が国王に登りつめるには、国王殺害が唯一の方法であると考える。


 それと同時に、こんな考えにいたった自分に怖れを抱き、いざ殺人となると尻込みする気持ちもあって、今は国王という地位に登りつめることは不可能かもしれないが、偶然の機会が訪れるかもしれないと思うのだった。
 'If chance will have me king, why, chance may crown me, without my stir.'
 (もしも偶然の機会が俺を国王にしてくれるとしたら、手を出さなくとも、向こうから王冠が舞い込むであろう)


 マクベスはここで、全部を偶然の機会に委ねようと、自分自身に言い聞かせるのだが、同じように魔女の予言を受けたバンクォーの心のうちを知りたいと考える。
 つまり、国王殺害という思いを捨てきれずにいるのだ。そして将来、バンクォーが自分の前に立ちはだかるかもしれないと予感する。




 そして、それぞれの思いを抱き、ふたりは国王の下へ赴いていくのだった。



「マクベス」 舞台内容 一幕一場~一幕二場

2009-10-21 11:20:40 | 「マクベス」

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・一幕一場
 ヒースの荒野、雷鳴が轟き、稲妻が走る中、3人の魔女が現れて、マクベスを待ち伏せると約束し消えていく。
  Witches: Fair is foul, and foul is fair:
           Hover through the fog and filthy air.
 (魔女たち:綺麗は穢い、穢いは綺麗。
      飛んで行こう、霧の中、汚れた空をかいくぐり)


 「綺麗は穢い、穢いは綺麗」には、2つの意味がある。

1.魔女たちの価値観は世間一般とは正反対であるということで、人々にとっての綺麗は、魔女には穢く、魔女にとって綺麗は、人々には穢いのだ。

2.物事には2面性があるということで、一般に「綺麗」といわれていても、見方を変えれば、「穢い」ということもあるし、その逆も然りなのだ。

 上記の意味するところは、魔女たちは、人間にとって価値観が逆の悪意ある存在であり、魔女たちの悪の世界(人々から見た場合)に対し、善の世界であるはずの人々の世界に、その悪が入り込んでいて、2つの世界の境界線は曖昧であるということを示唆している。

 つまり我々の日常の影には、魔女に象徴される悪意が存在し、それが日常に影のように入り込んでおり、日が当たるところに影が出来るように、安易に取り除くことが出来ないのだ。

 魔女たちは、主人公マクベスの野心の原動力になる。
マクベスは、この無法な超自然的な存在に翻弄され、行動することで、劇のプロットが展開するのだ。





・一幕二場
 フォレス付近の王の陣営。


 ここは、マクベスを取巻く環境である、劇中のスコットランドについて語られる。


 スコットランドは、暴力と裏切りに満ちた動乱にあり、国王ダンカンの臣下であったマクドワルドが反乱し、コーダーが密かに裏切って、ノルウェイ人の侵入を許した。


 ダンカンの国王として地位は、争闘の中で揺らぎ、今にも崩れそうであるが、彼は手の出しようがなく、ただ兵からの報告を聞くのみであった。


 戦況は、一進一退を繰り広げたが、マクベスとバンクォーの目覚しい活躍により、ノルウェイ軍を駆逐してスコットランドが勝利を収めた。
 ここでは、時の英雄である勇猛果敢なマクベスと、おとなしいだけのダンカンを対比させているのだ。





「マクベス」 舞台内容 あらすじ

2009-10-19 16:01:18 | 「マクベス」

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 反乱軍を打ち破った帰り道、スコットランドの武将マクベスとバンクォーは、3人の魔女に出会う。


 魔女のたちは、グラームズの領主であるマクベスに「コーダの領主」、「やがては王になる方」と呼びかけ、一方、バンクォーには、「本人は王になれないが子孫が王になる」と予言する。


 その直後、王からの使者が到着し、反乱軍を鎮圧した功績によりマクベスがコーダの領主に任じられたことを伝えた。


 最初の予言が現実のものとなり、マクベスは「王になる」という、もう一つの予言の方も実現するのではないか、と考え始めるのだった。


 ダンカン王がマクベスの居城に滞在することになる。マクベスから魔女の予言のことを聞いたマクベス夫人は、ためらうマクベスを励まし、説得し、王を殺させる。


 マクベスは、王の部屋を警護していたふたりの護衛たちを下手人として直ちに斬り殺した。
一緒に泊まっていたふたりの王子マルカムとドナルベインは、それぞれイングランドとアイルランドへ逃れて行った。そして、王の護衛と王子たちに国王殺しの罪を着せて、マクベスが国王として即位する。


 王となったマクベスは、自分の王位をバンクォーの子孫に取られてはならないと考えて、刺客を送りバンクォーと息子のフリーランスを殺害を目論む。バンクォーは、殺されるが、フリーランスは逃げてしまうのだった。


 マクベス主催の宴会に人々が集まっている。そこにバンクォーの亡霊が現れ、マクベスは酷く取り乱すが、亡霊はマクベスにしか見えないので、逆上したマクベスを見て、出席者たちは驚くのだった。しかし、夫人が何とかその場を取り繕って、宴会はお開きとなった。


 先のことが不安になったマクベスは、再び魔女たちに会いに出かける。魔女たちは、「マクダフに気をつけろ」、「女から生まれた者には傷つけられない」、「バーナムの森がダンシネーンの丘にやって来るまでは打ち負かされることはない」と予言するが、同時に、バンクォーの子孫である未来の8人の王たちの幻影も見せるのだった。


 マクダフがイングランドに逃亡したことを知ったマクベスは、彼の居城に部下を送り、夫人も子供たちも召使たちも皆殺しにする。


 そして、イングランドでマルカム王子と会見中のマクダフのもとに、妻子たちが虐殺されたという知らせが届き、マクダフと王子は、ともに暴君マクベスを倒してスコットランドを解放し、復讐を果たそう、と決意を固めるのだった。


 罪を意識に押しつぶされたマクベス夫人は、夢遊病になり、夜ベットから抜け出し、手に血が付いているという幻覚に襲われて、洗い落とそうとしたり、自分たちの犯した罪の数々について、無意識に語ったりするのだった。


 マクベスの軍勢内では離反者が相次ぐ。一方、マルカムが率いるイングランド軍が迫ってくる。
苛立つマクベスのもとに夫人が死んだという知らせが届くが、彼は、「人生は阿呆の語る物語、騒がしいが、意味するところは無だ」と語るだけだった。マクベスはすでに恐怖を感じる心すら失っていた。


 マルカムの軍は、実際の兵力を隠すために、バーナムの森の木を切り、兵士たちは、その枝を掲げて進軍してきた。バーナムの森が動き出したのだ。


 そして、マクベスに「森が動き出した」と言う報告が届くが、「女から生まれた者」以外には負けないはずだ、と戦い続けるマクベスはマクダフに遭遇する。
マクダフは魔女たちの予言をマクベスから聞くと、嘲笑い、「自分は月足らずで母の胎内から引き出されたのだ」と言うのだった。


 それを聞いたマクベスは、一旦は絶望するが、直ぐに気を取り直して最後まで戦おうとする。そして、ふたりは激しく戦い始めるのだった。


 マルカムの軍勢が戦闘の被害を確かめているところに、「国王万歳」と叫びながら、マクベスの首を持ったマクダフが登場。


 一同が「スコットランド国王万歳」と叫び、マルカムが新国王として秩序の回復を目指すことを宣言する。暴君が倒され、スコットランドに再び平和が戻るのだった。