老後は京都で !

京都の町中(堺町六角)と東京(青山)を気ままに行き来する二地域居住を実践中。 

「京都・1547年」(今谷明著)

2008年10月02日 | 源平 & 鎌倉、室町時代の京都

われわれは(少なくとも、私は)、

洛中洛外図といったものの現物や写真を観る場合、

漫然と、観ている。

金閣寺や、八坂の塔、のような

それと分かる建物を除いては、

普通、何の建物なのか ?  や

それが焼ける前のものか ? 

再建された後のものなのか ? など

あまり、深刻には考えない。

漫然と観て、当時の風俗の可笑しさを楽しんだり、

昔の京都に思いを馳せたりするだけである。

しかし、プロというものは、違うらしい。

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プロとアマでは歴史資料を見るレベルが違う、、、

というのは考えてみれば当然の話だが、

それにしても、

この「京都・1547年」で

著者で日本中世史の研究者の今谷明さんが

行っている検証作業には、正直、仰天した。

「洛中洛外図屏風」の中で、とびぬけて評価の高い、、、、

といわれる上杉本を対象に、

そこに描かれた京都の街の、

寺社や武家屋敷といった建物の1つ1つを

同時代の歴史史料を駆使し、

何の建物か ?  いつ頃のものか ?

をしらみつぶしに特定しているのだ。

そして、現代人が、

ニューヨークを舞台にしたハリウッド映画を観ていて、

世界貿易センタービルが映っていれば、

9・11以前に撮影されたもの

映っていなければ、9・11以降に撮影されたもの

と考えるのと同じやり方で、

上杉本洛中洛外図に描かれた京の街は、

天文16年(1547年)に、

わずか16日間だけ実際に存在した

京都の景観である、、、、と結論付けている。

まさに、脱帽、というしかない。

読書の醍醐味、というのは

こういう本に出会うということなのだ、、、、

とつくづく思う。

(追記)

この「京都・一五四七年」のメインのテーマは、

こうした考証の上に立ち、

上杉本洛中洛外図の作者が

本当に一般に考えられているように

狩野永徳なのか ?

という点にあるのだが、そして、

それに疑問を投げかけた今谷説は、

大変な議論を呼ぶことになるのだが、

それらの論争については、

その後に出版された

下に掲げた、黒田日出男さんの

「謎解き洛中洛外図」

に、詳しく書かれている。

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この本については、後日、改めて、ご紹介したい。

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