私の学生時代(今から30年以上前)、京都の大学にはいって、京都の街のことを知るために、学生たちが、真っ先に読んだ本、と云えば、岩波新書(青版)ででていた、林屋辰三郎さんの、「京都」ではなかったろうか。
京都 (岩波新書 青版 451) 価格:¥ 819(税込) 発売日:1962-05 |
当時の、岩波ブランドの権威というのは、現在の比ではなかったし、
なかでも、岩波新書は、各分野を極めた、大御所が、その生涯にわたる研究生活のエッセンスを、晩年になってまとめたもの、といったイメージがあり、
ある分野を勉強しようとするときに学生が、まず手始めに読み始めるのは、岩波新書から、という時代だったのだ。
学生時代を過ごした、京都という街に、6年ほど前から、あらためて興味を持つようになり、京都について書かれた本を書店で探し求めた際、この林屋さんの、青版の岩波新書「京都」がまだ出版され続けているのを知って、正直、驚きもし、嬉しくもあった。
ところで、学生時代に読んだ同じ本を、何十年振りで読む、というのは奇妙な体験で、書かれていることを読む、というより、同じ文章を昔はどう読んでいたのか、の方にどうしても想いがめぐる。
しかも、本書の場合には同じ版形で読める(→ふんだんに収録されている白黒写真も当時のまま)のだから、これはこれで、歳を重ねてこそできる、最高の贅沢の1つ、なのかもしれない。
私、これから時間ができたときのことを考えますと、今まで読みたいと思って読めなかった本を読むのを楽しみにしていますが、昔読んだ本を読み返すことも、楽しみです。京都が好き様も、お若いうちに、せいぜい読書に励んでください。きっと、老後の楽しみが増えますよ !