日日の幻燈

歴史・音楽・過ぎゆく日常のこと

これは、我が三成の”バイブル”的な本なのだ

2015-02-01 | 三成に寄す


私の三成のバイブル的な本といえば、これ。


「石田三成」
今井林太郎著 吉川弘文館 1961年
(目次より)
・はしがき
・おいたち
・三成の奉行抜擢
・南征北伐
・朝鮮出兵と三成
・三成のいわゆる「策謀事件」とその真相
・佐和山城主としての三成
・太閤検地と三成
・三成の佐和山引退
・三成の挙兵
・関ヶ原合戦
・三成の最期
・三成の人柄とその教養
・略年譜
・参考文献
・関ヶ原の戦の図


人物叢書シリーズのうちの1冊で、新書の大きさですが布張りのハードカバーです。紙の表紙カバーはすでに破れてしまいましたが…。新装版が出る前のタイプですね。
生い立ちからその最期まで、三成という人物を知るための基本的なことが網羅されています。一方的に三成を贔屓するようなこともなく、著者としてあくまで公平な立場を貫こうとしています。
その当時の研究成果からすれば、精一杯の著書だと思います。
参考文献も、最近の三成本だったら数十冊が羅列されていますが、この本では13冊。それも、半分以上は「太閤記」や「古今武家盛衰紀」のような史料の復刻版。1961(昭和36)年、限られた状況の中での力作だと思います。
今、あらためて読み返してみると、最近の研究によってすでに古くなってしまった説なんかも出ていますが、それでも私にとってはバイブル的な本なんです。

とくに三成の研究者というわけでもない著者の今井林太郎氏(歴史学者・神戸大学名誉教授・大手前女子大学<現・大手前大学>教授)が、この本を著した動機についてはとくに触れられていません。歴史学者としての研究が三成に行き着いたのでしょうか?
まだ三成についての評伝が少なかった時代。三成を書こうとした理由が気になったりします。
今だったら、この人物が好きだとか、子孫だとか、大河ドラマに便乗したとか・・・けっこう明確に語られていますが(さすがに便乗した…とは言わないけどね)、今井氏は少なくとも本書の中では動機に触れていません。



さて、この本を買ったのは小学校の6年生のとき。
田舎から東京の祖母の家に遊びに来て、そのときに祖母に連れられて大きな書店に行き(田舎の本屋しか知らない私にとって、東京の書店の大きさはビックリでした)、そこで買ったのを覚えています。
「黄金の日日」で三成にどっぷりと嵌まり込んだ少年が、初めて手にした三成の「伝記」でした。
小学校の図書館で探しても、概説書的な本に三成がちょこっと出ているだけだったのに。
あるいは三成が登場するという、それだけのために”敵”徳川家康の伝記を読むという屈辱(?)を味わったり。

まさか三成の伝記があったとは…
見つけた瞬間、ある意味衝撃的で息が詰まるくらいに感激!
あの感動は今も忘れられないんです。

そんなわけで、我が三成の「バイブル」的存在の1冊なのでした。


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「黄金の日日」の三成は、ただひたすらカッコ良かったのだ

2015-01-24 | 三成に寄す


去年の大河ドラマ「軍師官兵衛」の三成、ファンからすれば酷かったようですね。私は、多分そういう描かれ方をするんだろうなぁ…と直感していたので、最初から見ませんでしたが…(だから、あくまで伝聞です)。
むしろ家康を主人公にした物語のほうが、三成は敵役としても堂々と描かれているんじゃないでしょうか。

78年の大河「黄金の日日」で私は三成に出会ったわけですが、近藤正臣演じるあの三成はカッコ良かった!
ファンのひいき目というのかミーハーというのか、私としてはカッコ良く描かれていれば史実を多少逸脱しても良しとしてしまうし、嬉しくもなるわけでして。
細川ガラシャとの淡い恋なんて、それこそ怒られてしまいそうですし、秀吉に千利休の助命嘆願をしたなんてのも、一般論的な利休ストーリーからは外れてしまうし。今だったらネットで炎上してしまったかもしれないですね。

でも赦してしまうのだ。

所詮、大河”ドラマ”なわけだし、世の中には三成が悪役にされているほうがずっと多いわけで、こういうときくらい大いにカッコ良くあって欲しい…というのが虐げられてきたファン心理ってものでしょうか。ゲームやアニメに感化された悪い意味での歴女と大差はない私なのです(歴女の皆さん、誤解しないでください。まじめな歴女の方が大勢いることは、よ~く存じ上げていますです)。

三成の凛々しい立ち居振る舞い。
主人公・助左衛門のピンチを何度も救う「おいしいところいただき」キャラ。
少年りすにゃは、この近藤三成に身も心も捧げてしまったのでした。これも一種の萌えなのか…(ちょっと違う気もするが…)。

ちなみに、関ヶ原の戦いのあと三成と共に処刑された小西行長には小野寺昭、安国寺恵瓊には神山繁。行長も恵瓊も、私の中では「黄金の日日」のイメージがベースとなっています。
敬虔なキリシタンとして、心の中に熱いものを抱きながらもそれを押しころすような物静かな行長。
かたや、外交僧というより荒くれ坊主的に豪放な恵瓊。

その他にも個性的で魅力的なキャラが続々登場します。
信長狙撃犯・杉谷善住坊(川谷拓三)の鋸引き。
天下の大泥棒・石川五右衛門(根津甚八)の伏見城討ち入りと釜茹でによる処刑。
善住坊も五右衛門も助左衛門とは今井の奉公人仲間という設定。
「軍師官兵衛」での憎まれ役・三成に相当するのが、堺の豪商・今井宗薫(林隆三)。
千利休(鶴田浩二)は、あまり三成と絡んでいなかったです。最期を迎える際、秀吉に助命嘆願をして聞き入れられず、仕方なしに利休の館を警護(…まあ、包囲ですな)したくらい。その時も、三成は利休と親交のあった助左衛門が、堀に小舟を浮かべて送別のリュートを演奏するという我儘を見て見ぬふりしてやります。いい人なんです。

幼い頃に刷り込まれたイメージは、なかなか抜けない。その後の人生にも大いに影響を与えたとか、与えなかったとか…。

以上、徒然なるままに、三成への想いを語ってしまいました。乱文、ご容赦のほどを…。


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その昔、少年は石田三成と出会ってしまったのだ

2015-01-18 | 三成に寄す

私が歴史上でいちばん好きな人物・石田三成。
三成の生涯とか事績については、専門家や他の三成フリークがそれこそ語りつくしているのでそちらに譲るとして、じゃあ、三成へのごく個人的な想いを語っていこうかなと。
まったく個人的な想いなので、歴史的に見たらちょっと違うぞ的なことも多々あるかと思いますが、ご容赦のほどを。


今は歴史が好きになるきっかけはゲームとかアニメが多いようですが、私の頃は小説か大河ドラマといったところだったかと。
私も大河ドラマが三成との出会いでした。

「黄金の日日」

1978年に放送されたこの大河は、城山三郎の「黄金の日日」がベース。堺の商人・呂宋助左衛門を主人公に、商人の観点から信長、秀吉、家康の時代を描いています。三成は助左衛門の盟友といった役どころなので、善玉として登場します。
小学校低学年だった私は両親と一緒に見ていたのですが、そのうち自分のほうが両親以上に夢中になってしまったのでした。

で、三成を演じたのは近藤正臣。超カッコよかった!
私の中の三成は、この「近藤三成」のイメージで出来上がっています。最初に出会った三成が最高にして最強だったことが良かったのか悪かったのか。その後、大河や映画でいろんな三成を見るにつけ、どうしても「近藤三成」と比べてしまいます。

三成にどっぷりと嵌まり込んだ私は、小学校の図書館で石田三成関連の本を読み漁りました。もちろん、三成の伝記など置いてあるはずもなく、関ヶ原の戦いに触れている歴史の概説書とか事典とか、そういった本ばかりでしたが。
そして関ヶ原の戦いで三成が敗れ処刑されることを知った少年りすにゃは、三成が死ぬ最終回を怖くて(悲しくてだったかな?)見るに耐えられず、わざと裏番組を見るという暴挙に出たのでした。
純情な少年だったのです。
そしてそのとばっちりを受けたのが両親。息子の我儘に付き合わされ、1年間見続けてきた大河の最終回を見逃すという不幸に落とされたのでした(多分、土曜日の再放送で見たんじゃないか?と思いますが…)。

ここから三成と私の長~いお付き合いが始まったわけですが、知識的なものはほぼゼロに近いのです。

でも、なんかこのブログを書いていたら「聖地巡礼」に出かけたくなってきた。でも三成の聖地は関西が多そうだから、すぐにはねぇ…。
あ、そうだ…ご先祖様・神丹波守も、もしかしたら三成に会っていたかも知れない…なんて思うと(妄想すると)、自分の中の歴史ロマンが暴走を始めるのでした。


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