セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

さいたま市での高齢者の熱中症での死亡

2010-08-22 19:09:45 | 文化
8月15日に、さいたま市で48歳の長男と同居している76歳の男性が熱中症でなくなった。76歳の男性は虐待を受けていたわけではない。なのに、この夏の暑さのため熱中症でなくなった高齢者は全国で数多くいると思われるが、なぜこの男性のことがニュースになりえるのか。それはこの世帯自体が困窮世帯だったからである。報道の主旨では、長男が同居していて独居老人ではないため行政の目の盲点になっていたということである。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100822k0000e040008000c.html

どんな家庭の高齢者でも熱中症でなくなることがありうるが、しいてこの世帯について言えば、電気が来てなくてクーラーが使えないということと、けいれんを起こしたとき明らかに熱中症の危険な状態なので救急車を呼ぶべきなのだが、電話がない(そして病院代もない)ためか救急車を呼ばなかった(あるいは呼ぶのが遅れた)ためである。長男は氷や飲料水や解熱剤を父親に与えたが、こうしたものは予防には役立つかもしれないが熱中症を発症した後の治療には十分ではない。熱中症の知識不足ともいえるがやはり電話がないのが1番の原因だろう。

長男は十数年前までは運送会社で働いていたが腰痛のため失業したが、ハローワークへいっても腰痛のため職が見つからない。そのため76歳男性の2カ月で十数万の年金だけがこの世帯の収入である。家賃が月5万5千円だから少ないのこりで食費や水道代・国民健康保険料を支払っている。僕が感じ入ったのは、電気やガスが来ていないのは料金滞納で止められたのではなくて、十数年前にお金を工面して滞納料金をすべて支払った後、みずから停止手続きをしたことと、国民保険料と水道代は滞納していないことである。長男は10年ほど前に生活保護の相談をしたが認められなかった。長男は帰宅して「だめだった。もういい」と言ったそうである。市では相談記録が5年間しか保存していないので当時の対応内容はわかないとのことだ。生活保護の申請の認定の度合いは、自治体ごと時代ごと担当者ごとに違うようだ。予算上で件数を絞るにしてもヤクザなど声の大きい人には手をつけず、本当に必要だが遠慮がちな人から切って行くようなことがあってはならない。

市幹部は「水道料金などの滞納があれば、困窮などに気がついたかもしれない」という。可能性としてはその通りだが、役人の言い訳を簡単には信じられない僕としては、さいたま市で、本当に水道とか国民保険料とか税金と連携をとって高齢者や生活保護の事務をやっていてそう言っているのかなあと思う。

僕が1番に思うのは、水道料金の滞納など負の要素ではじめてわかるのではなくて、あるいは本当は困窮してないのに声の大きい人だけが行政の恩恵を受けるのではなくて、真面目に他の迷惑にならないように頑張っている人を、積極的に行政の方から探し出して救出できないかということだ。