この人生、なかなか大変だぁ

日々の人生雑感をつれづれに綴り、時に、人生を哲学していきます。

瞼のチキンバスケット

2010-05-09 13:49:49 | つれづれ記
学生時代のことだから40年近い昔になるが、地下鉄東西線の早稲田駅の神楽坂寄りの出口から出たところ、目の前の早稲田通りを渡った道向かいに「レストランNATSU」という店があった。
マスター夫婦だけでやっているようなそれほど大きくない、洒落たお店だった。
なんといってもその店のチキンバスケットがおいしかった。最初に食べたときに感激した。チキンのから揚げはジューシーで、それにもかかわらず油ぎっておらず、ポテトもいったん茹でたものを潰してからもう一度成型して揚げたような感じでホクホクして、かといってサクッとした歯ごたえがあった。

平らげてしまった後、後片付けをする奥さんが「このパセリも食べられるんですよ」と教えてくれた。パセリはただの付けあわせと思っていたから、そのまま残していたが、次からチキンと一緒に食べてみると、パセリのほろ苦さとチキンの肉汁が絡み合って絶妙な味でさらにおいしかった。それからというものパセリを奪い合うほどであった。
その店に行けば、ビールとチキンバスケットが定番だったが、他にもビーフシチューなどみんなおいしかった。

その店で市原悦子さんをよく見かけた。ひとりで静かに本を読みながら食事をしていた。ひょっとするとまんが日本昔話の台本だったかもしれない。また時には、スタッフを連れてにぎやかにお酒を飲んでいたこともある。
六、七年前、娘の受験の際に上京したので訪ねてみたら、すでにお店はなくなっていた。風のたよりにご主人が病気で倒れたというのを聞いたような気がする。
あまり食べ物には執着しない方だと思うが、あのチキンバスケットを二度と口にできないと思うと残念で仕方ない。

ネットでチキンバスケットの専門店を探してみたが、同じような揚げ方をしているお店はなかった。
小麦粉とか片栗粉とかは使っていなかったと思う。いろいろ試してみたら、塩・コショウだけで下味をつけた鶏肉を、溶いた卵だけに絡めて揚げるのが一番近いようだった。
きっと他に隠しスパイスがあったのかもしれないが、まぁ、なんとか及第点は取れた。
時々偲んでは食べてみるが、もちろん大量のパセリは忘れない。

あのマスターだけのアイデアではないのではないと思っている。どこかで同じようなチキンバスケットを出していると思うのだが、誰かご存知だったら教えて欲しい。まぁ、どうでもいい話であるが。
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