白河夜舟

水盤に沈む光る音の銀砂

純粋な矛盾

2007-05-29 | こころについて、思うこと
翼を休める鳳凰の姿した笙が息を吹き込まれて 絢爛たる音の翼を天球に拡げようとする瞬刻を 次元空間から摘出したとすれば、 それは湧き出でる数多の薔薇のようであるに違いない。 「けふはぼくのたましいは疾み  烏さへ正視ができない  あいつはちやうどいまごろから  つめたい青銅の病室で  透明薔薇の火に燃やされる  ほんとうに、けれども妹よ  けふはぼくもあんまりひどいから  やなぎの花もとらな . . . 本文を読む

スプリングコート

2007-04-15 | こころについて、思うこと
http://www.youtube.com/watch?v=azBU3wPxPIc 反則だろ。泣いちまいそうになるじゃねえか。 ************************** 金曜夕刻、課長から大阪視察随行の代理を命ぜられ、 土曜、急遽大阪へ出張。 もともと今週末大阪へお忍びでふらりと行こうと 考えていたところ、水を得た魚となる。 折角の大阪ゆえ、ホテルを予約し一泊すること . . . 本文を読む

Mica's Dream

2007-01-26 | こころについて、思うこと
真実は ひとを傷つける 真実は ひとを怨ませる ************************ ひとが朝起きてまず最初にすることは 眠り見た夢を わざと読み違えること まるで影絵の羅針盤でも操るかのようにして 夢を暗示として 行動や言動の選ぶべき方角を向く かれが見つめる先には 「南極星」が燦然と輝いている ひとは夢の中にこそ「北極星」を見なければならない 非現実 . . . 本文を読む

Roots

2006-12-29 | こころについて、思うこと
12月29日午前3時、ホテルグランヴィア大阪 2101号室、ペットボトルの水に眼下の街の灯を 溶かしこむようにして飲み干したあと、 酔い覚ましにバスタブに熱い湯を張ってどっぷり 浸かり、アルコールと拍動と頭痛と眠気の引き起こす 奇妙な酩酊のなかに言葉や記憶を泳がせた。 ************************ 学生時代、おそらく最も共演したベーシストであり 現在はドイツで環 . . . 本文を読む

雨の夜

2006-12-14 | こころについて、思うこと
緋色の大地に寝ころぶと 空から珊瑚が降りかかってきた 深く沈められた楓の葉が 太陽を包んでじりじりと焦げていた 胸に手を組み乗せて 安らかに 思い浮かべて微笑すると こころの奥底の温度のなかに まだなにも始まってもいないのが  はっきりとわかった ********************* ぼくよりも若い 大切なひとの 病の知らせや予兆を聞くと ほんとうにたまらなくなる たしかにぼく自 . . . 本文を読む

paradoxism

2006-12-10 | こころについて、思うこと
気がよくまわるのは空腹のときばかり サービスしてくれるのは敵ばかり ・・・・・・ まことの愛はお世辞の中にしかなく 出会う相手は不幸なやつばかり 本当の関係は嘘付き同士だけ 分別があるのは恋狂いの男だけ。 ・・・・・・ 真実の人間関係は作り話の中にしかなく 卑劣漢は男らしい男の中にしかない       (ヴィヨン「逆説のバラード」から) ****************** . . . 本文を読む

no pain,no rain

2006-11-05 | こころについて、思うこと
11月2日から3日にかけ、牡蠣に当たってしまい 体調を崩し、微熱と嘔吐のせいで一睡も出来ぬまま 這々の体で3日の午後に特急に乗り込み、 当初予定していた京都での若冲見物も泣く泣く断念し ぐにゃぐにゃの身体を無理やり引きずるようにして 大阪・堺筋本町のホテルに直行。 この日の夜、とあるひとと会食の予定であったのだが、 指定された場所に向かうも、そのひとは現れなかった。 人間とは、そういうもの . . . 本文を読む

休符上のフェルマータのように

2006-09-25 | こころについて、思うこと
ゲーテ「ウェルテル」を読みかえして ヘンレ版のパルティータの楽譜を開き 第6番のトッカータを指に映したとき 終わった、と口にしたまま がくり、とうなだれて動けなくなった やがて 自分が自分でなくなり 離脱していくような感覚に 全身がこわばり どうしていいかわからなくなり 虚脱したまま 奇行への衝動に苛まれたまま 嵐が過ぎ去るのを待った 3時間がたっていた ****** . . . 本文を読む