メジューエワを聴きに、山を越えてはるばる(?)青山高原のほぼ頂上の保養地内にあるタンノイ博物館まで行ってきました。
自宅から行くには(一般的に考えて)国道165号線を通るしかないのですが、ナビの最短ルートを検索したら一般的なルートより7キロほど短い(保養地に)裏から入る道がありましたので、そのコースで行きました。
嬉野から一志を通り、家城小学校の正面を右に曲がり、「わかすぎの里」を横目に山を登って行くルートです。
田舎道で、途中、猿が道を横切ったりしました。
道中は快適でしたが、最後の3キロほどは車幅も狭くなり、傾斜も急な全くの「山道」になりました。
もし対向車が来たら・・・と考えると冷や汗ものでしたが、1台もすれ違うことなく大丈夫でした。
(写真は、目的地近くでかなり道幅が広くなったところです)
イリーナ・メジューエワ
ピアノ・リサイタル
【プログラム】
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第30番ホ長調op.109
シューベルト(リスト編曲)/万霊節の日の連祷D.343
リスト/愛の夢 第3番変イ長調
ワーグナー(リスト編)/楽劇「トリスタンとイゾルデ」より“イゾルデの愛の死”
(休憩)
ムソルグスキー/展覧会の絵
以下、アンコール曲
リスト/コンソレーション(なぐさめ)第3番変ニ長調
ショパン/ノクターン第2番変ホ長調op.9-no.2
同/ノクターン第20番嬰ハ短調(遺作)
2017.05.21(日) 14:00開演
青山高原 Shokoホール(タンノイ博物館)
Shokoホールがどのようなホールであるかは、こちらのページを見ていただければいいと思います。
ナビで検索して行きましたが、知らずに通り過ぎてしまうような
外観は「普通の民家」みたいでしたが・・・
内部は、このようになっていました。
「タンノイ博物館」ということで、オートグラフが。
中に入ると、杉、檜の心地よい香りが漂っておりました。
当日は、館長さんの言葉によりますと「座席は(コの字型の2階席も含めて)93席用意しました」とのこと。
私の席は前から2列目。奏者からは3メートルも離れていなかったと思います。
ピアノはヤマハC-5。
1曲目のベートーヴェンが鳴り出したときは、かなり衝撃的でした。
狭い部屋(ホール)とはいえ、かなりの強音。
今まで聴いてきた30番の演奏で、こんな強い音で始まる演奏ってあったかな?というくらい、隈取りのはっきりした冒頭でした。
ディスクで聴き親しんできたバックハウスやギレリスのとは全然違う30番。
このときは、正直ずっとこんな調子なのかという違和感、戸惑いもありました。
第2楽章も同じ印象で、ピアノが近いこともあって強音では刺激が強すぎる感じでした。
ただ、タッチは整然としていて音の粗さや響きの汚さは全く感じられませんでした。
何と言ったらいいのか分かりませんが、とにかくキレがあって、ガンッと鳴るたび、こっちの体がぐらっとくる、そんな感じでした。
聴いているうちに近距離による音の大きさには慣れていきました。
部屋の広さとピアノによる(通常のコンサートホールとは違う)響きにも慣れていきました。
そして、私は次第に演奏(音楽)に没入していき、終楽章の第6変奏のころには、ほとんど号泣しそうなくらいに圧倒されていました。
もう、ピアノの音がどうとか演奏スタイルがどうとかでなく、ただただベートーヴェンの30番が私にいろんなことを想起させたり慰めたりして、うまく言えませんが、完璧なまでに曲に浸っていました。
続く3曲はいずれもリスト作曲(または編曲)でしたが、もうすっかりメジューエワの術中にはまったかのように、曲と一緒に呼吸しながら聴いている、そんな感じでした。
眼前で聴く「イゾルデの愛の死」はとてつもないインパクトであり、まさにオーケストラを聴いているかのようでした。
休憩後、「展覧会の絵」の最初の音を聴いて驚きました。
こっちの耳がすっかり慣れたからかも知れませんが、前半のベートーヴェンの時とは全く別物の柔らかい響きが聴こえてきたからです。
「展覧会の絵」は当日の白眉でした。
彼女は「展覧会の絵」を得意にしているのか、CDは4種もあるそうです。
私はその中で一番古い2004年録音のもの(魚津市ライヴ)を持っています(実は、本コンサートのチケットを買った後に入手したもの)が、印象はかなり違いました。
目の前での実演ということで、各曲の描きっぷりは比較にならないほど振幅が大きく感じられました。
悲劇性の強い曲、陰鬱な曲での表現はかなり激しく、特に「ビドロ」は激烈でした。
團伊玖磨氏の番組以来、この曲の元絵は、「牛車」ではなく「(圧政に)虐げられた人々」であるという解釈が主流のようですが、この演奏はまさに、それを思わせるものでした。
重々しい歩みは、時に大きく揺らいだり引きずったりして、聴いているこっちの体も思わずのけ反ってしまうほどでした。
コンソレーション(アンコール1曲目)もうっとりするような美しさでしたが、ノクターン2番は、私にはやや大味な演奏に思えました。
タッチも(私の好みより)強すぎるかな?と思えました。この日の曲目で唯一「ちょっと残念」と思える演奏でした。
メジューエワは、今までほとんど聴いていなかったピアニストですが、また機会があればぜひ聴いてみたいと思わされました。
普通のコンサート・ホールでは、どんな音がするのか?あの、鋭く心に挿し込んでくるような音楽が、広い会場でもやはり聴けるのだろうか?ぜひ聴いてみたいものです。
自宅から行くには(一般的に考えて)国道165号線を通るしかないのですが、ナビの最短ルートを検索したら一般的なルートより7キロほど短い(保養地に)裏から入る道がありましたので、そのコースで行きました。
嬉野から一志を通り、家城小学校の正面を右に曲がり、「わかすぎの里」を横目に山を登って行くルートです。
田舎道で、途中、猿が道を横切ったりしました。
道中は快適でしたが、最後の3キロほどは車幅も狭くなり、傾斜も急な全くの「山道」になりました。
もし対向車が来たら・・・と考えると冷や汗ものでしたが、1台もすれ違うことなく大丈夫でした。
(写真は、目的地近くでかなり道幅が広くなったところです)
イリーナ・メジューエワ
ピアノ・リサイタル
【プログラム】
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第30番ホ長調op.109
シューベルト(リスト編曲)/万霊節の日の連祷D.343
リスト/愛の夢 第3番変イ長調
ワーグナー(リスト編)/楽劇「トリスタンとイゾルデ」より“イゾルデの愛の死”
(休憩)
ムソルグスキー/展覧会の絵
以下、アンコール曲
リスト/コンソレーション(なぐさめ)第3番変ニ長調
ショパン/ノクターン第2番変ホ長調op.9-no.2
同/ノクターン第20番嬰ハ短調(遺作)
2017.05.21(日) 14:00開演
青山高原 Shokoホール(タンノイ博物館)
Shokoホールがどのようなホールであるかは、こちらのページを見ていただければいいと思います。
ナビで検索して行きましたが、知らずに通り過ぎてしまうような
外観は「普通の民家」みたいでしたが・・・
内部は、このようになっていました。
「タンノイ博物館」ということで、オートグラフが。
中に入ると、杉、檜の心地よい香りが漂っておりました。
当日は、館長さんの言葉によりますと「座席は(コの字型の2階席も含めて)93席用意しました」とのこと。
私の席は前から2列目。奏者からは3メートルも離れていなかったと思います。
ピアノはヤマハC-5。
1曲目のベートーヴェンが鳴り出したときは、かなり衝撃的でした。
狭い部屋(ホール)とはいえ、かなりの強音。
今まで聴いてきた30番の演奏で、こんな強い音で始まる演奏ってあったかな?というくらい、隈取りのはっきりした冒頭でした。
ディスクで聴き親しんできたバックハウスやギレリスのとは全然違う30番。
このときは、正直ずっとこんな調子なのかという違和感、戸惑いもありました。
第2楽章も同じ印象で、ピアノが近いこともあって強音では刺激が強すぎる感じでした。
ただ、タッチは整然としていて音の粗さや響きの汚さは全く感じられませんでした。
何と言ったらいいのか分かりませんが、とにかくキレがあって、ガンッと鳴るたび、こっちの体がぐらっとくる、そんな感じでした。
聴いているうちに近距離による音の大きさには慣れていきました。
部屋の広さとピアノによる(通常のコンサートホールとは違う)響きにも慣れていきました。
そして、私は次第に演奏(音楽)に没入していき、終楽章の第6変奏のころには、ほとんど号泣しそうなくらいに圧倒されていました。
もう、ピアノの音がどうとか演奏スタイルがどうとかでなく、ただただベートーヴェンの30番が私にいろんなことを想起させたり慰めたりして、うまく言えませんが、完璧なまでに曲に浸っていました。
続く3曲はいずれもリスト作曲(または編曲)でしたが、もうすっかりメジューエワの術中にはまったかのように、曲と一緒に呼吸しながら聴いている、そんな感じでした。
眼前で聴く「イゾルデの愛の死」はとてつもないインパクトであり、まさにオーケストラを聴いているかのようでした。
休憩後、「展覧会の絵」の最初の音を聴いて驚きました。
こっちの耳がすっかり慣れたからかも知れませんが、前半のベートーヴェンの時とは全く別物の柔らかい響きが聴こえてきたからです。
「展覧会の絵」は当日の白眉でした。
彼女は「展覧会の絵」を得意にしているのか、CDは4種もあるそうです。
私はその中で一番古い2004年録音のもの(魚津市ライヴ)を持っています(実は、本コンサートのチケットを買った後に入手したもの)が、印象はかなり違いました。
目の前での実演ということで、各曲の描きっぷりは比較にならないほど振幅が大きく感じられました。
悲劇性の強い曲、陰鬱な曲での表現はかなり激しく、特に「ビドロ」は激烈でした。
團伊玖磨氏の番組以来、この曲の元絵は、「牛車」ではなく「(圧政に)虐げられた人々」であるという解釈が主流のようですが、この演奏はまさに、それを思わせるものでした。
重々しい歩みは、時に大きく揺らいだり引きずったりして、聴いているこっちの体も思わずのけ反ってしまうほどでした。
コンソレーション(アンコール1曲目)もうっとりするような美しさでしたが、ノクターン2番は、私にはやや大味な演奏に思えました。
タッチも(私の好みより)強すぎるかな?と思えました。この日の曲目で唯一「ちょっと残念」と思える演奏でした。
メジューエワは、今までほとんど聴いていなかったピアニストですが、また機会があればぜひ聴いてみたいと思わされました。
普通のコンサート・ホールでは、どんな音がするのか?あの、鋭く心に挿し込んでくるような音楽が、広い会場でもやはり聴けるのだろうか?ぜひ聴いてみたいものです。
コメント、ありがとうございました。
毎度のことながら返事が遅くなり申し訳ありません。
メジューエワの実演を2回、聴かれているのですね。やはり力強いタッチだったようですね。
私も、機会があればコンチェルトもぜひ聴いてみたいと思いました。
メトネル作品集(DENON盤)は、私も第1集、第2集と(中古で購入して)持ってはいるのですが、入手時にさらりと聴いたっきり、その後は手に取っておりません
また、じっくりと聴き返してみましょう。
彼女のベートーヴェン/ソナタのCDは全曲出ていますね。
いかがなものでしょうか、聴いてみたい気持ちはありますが、値段が高くて手が出ておりません
聴き応えはありそうですが・・・。
メジューエワさんのベートーヴェン30番ですか。それは興味深いですね~。一度聴いてみたいものです。