さて、今年も始まりました「祇園祭」。
「チョーサヤ」の掛け声を聞くと、思わずニンマリする三男です。
今夜も「いまさら」演奏エントリです。
ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
録音:1944年12月
この演奏については、フルトヴェングラー研究家諸氏による記述がネット上に数多ありますので、私なんぞが今さら何を書いてもしょうもないことなのですが、でも、一応、「聴いた」記録ということで書いてみたのです。
所謂「ウラニアのエロイカ」を初めて聴いたのは1973年、フルトヴェングラー初の千円盤によってでした。
この時発売された千円盤は全部で5枚。私は、5枚すべて予約しました。しかし、この5枚には、いろいろと失望させられました。
まず、予約したのが発売日ギリギリであっため、ブラームスだけは「品切れ」という返事でした。
(それで、どうにも気持ちが収まらず、ワルターの千円盤でブラ4≪NYP盤≫を代わりに買い求めました。)
そして、以前にコロムビア盤で聴いていたベト7は、記憶に残っていたコロムビア盤の音質より悪く、同じく記憶に鮮烈に残っていて楽しみにしていたベト4は、私が聴いたコロムビア盤とは違う「聴衆無し」の方であり、別録音の存在を知ったことはよかったものの、私は、あの聴衆ノイズが盛大に入った演奏が聴きたかったので、これもがっかりでした。
また、初登場の触れ込みで期待度マックスだったベト8は、極め付きのとんでもない劣悪音質で、おまけにすぐに別演奏(クリュイタンス指揮)との情報が・・・・。
というわけで、唯一、「まともに」聴く気になっていたのが、この「英雄」だったのです。
しかし、私は、7番、4番、それから「コリオラン」の3曲いずれもが既聴のコロムビア盤よりも音質が劣っていた(と、当時は思った)こともあり、「どうせ、この≪英雄≫も、コロムビア盤よりは音悪いんだろな」などと邪推していました。
初聴きだったので、比較のしようはありませんが、音質は、まあそこそこと思いました。
演奏は・・・52年録音のEMI盤とは全然違う熱気を孕んだもので圧倒されました。
以降、LP時代に仏パテ盤に買い直し、CDではターラ盤にて、長らくの間(たまに取り出して)聴いてきました。
最近は取り出すこともなく、ちょっと忘れていたほどですが、先日、オーパス蔵盤が安売りセールとなっていたのを買い求め、久しぶりに聴いてみました。
やはり冒頭の二つの和音は、この演奏がベストと思われ、続く部分も「ああ、そうそう、ここはこうだった」という懐かしい感覚にとらわれます。
しかし、当時、あんなにも惹かれ「これしかない」「ほとんど魔力のような吸引力」と感じたテンポの変化や、それによって起こる景色や色合いの変化には、かつてのように興奮することもなく、冷静に聴き続けていました。
興奮どころか、以前は感じなかった「不自然さ」と言うか「そこで、そうするかい?」と言いたくなる「ついていけん感」(?)さえありました。
この「英雄」を初めて聴いた1973年以降、百種以上の「英雄」を聴いてきて、たぶん、今の自分の嗜好が、こんなにも速度の変化をつけない、淡々とインテンポで音符をなぞっていくゆっくり目の「英雄」の演奏に寄っているのだと思います。
だから今回は、第1楽章ほどの劇性はないけども、じっくりと進める第2楽章以降の演奏が耳新しく集中して聴けました。
以前は気が付かなかったフルトヴェングラーの「煽らない」「インテンポ」の中で見せるデリカシーな面と、録音のハンディを越えて伝わってくる艶やかさに耳を奪われることが多い近ごろです。
過去の「英雄」記事↓
フルトヴェングラー、VPO 1952年ライヴ
フルトヴェングラー、BPO 1952年ライヴ
金聖響、OEK
金聖響、OEK(奈良公演)
ジュリーニ、ロス・フィル
金聖響、大阪センチュリー(TV視聴)
朝比奈、大フィル 1977年
バルビローリ、BBC響
セル、クリーヴランド 70年、万博ライヴ(注!4.1ネタ)
モントゥー、コンセルトヘボウ
クーペリック、VPO 1971年ライヴ
ジュリーニ、スカラ・フィル
アバド、VPO
若杉弘、SKD
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