今月もワンコイン・コンサートを聴きに行くことができました。
ワンコインコンサート Vol.72
天性の強靭なロマンティシズム
伊藤悠貴(チェロ)
梯 剛之(ピアノ)
三重県文化会館大ホール
2016.11.9(水)午前11時30分開演
【ブログラム】
エルガー/愛の挨拶op.12
フォーレ/エレジーop.24
サン=サーンス/白鳥(「動物の謝肉祭」より)
スクリャービン/ロマンス
グラズノフ/吟遊詩人の歌op.71
チャイコフスキー(ゲリナガス編曲)/ユーモレスクop.10-2
シューマン/トロイメライ(「子どもの情景」より)
ラフマニノフ/ヴォカリーズop.34-14
ポッパー/ハンガリー狂詩曲op.68
アンコール曲:鳥の歌(カタロニア民謡)
今回、スクリャービン、グラズノフ、ポッパーの3曲は初めて聴く曲でした。
どの曲も堪能しましたが、やはり抒情的な曲、祈りの要素が感じられる曲になおさらに心打たれました。
中でもフォーレのエレジーは、強く強く胸に迫りました。
あの、文字通り「悲歌」そのものの前半部から長調に転じる部分での、上から光が射すようなピアノの響きの美しかったこと!
梯氏を生で聴くのは初めてでしたが、本当に美しかった。
彼のピアノは、音符のひとつひとつが丸くフワフワとした柔らかい玉のようで、ちょっと霞がかかったような感じもしましたが、それは今回チェロとのアンサンブルということで、氏自身も語ってみえましたが「自己主張を一歩引いて」臨んでいたからなのかも知れません。最後のポッパーでは一転、切れ味鋭い打鍵でチェロと渡り合っていました。
初めて聴いたスクリャービンの「ロマンス」(原曲はホルンとピアノのための曲)は2分足らずの小品でしたが、これも何かしら胸かきむしる佳曲でした。
トロイメライのチェロ版は、小学生のとき、「帰りの放送」で流れていた音楽で、耳にするのはそれ以来かも知れません。なつかしい響きでした。私は放送委員だったので、放課後の放送室で45回転の17センチ盤を回した記憶は鮮明です。「帰りの放送」の曲は、このチェロ版トロイメライと「ハイドンのセレナード」の2曲で、どっちをかけてもよかったのでした。そんなことも思い出させてくれました。
今回のプログラム、一見「初心者向けの名曲コンサート」みたいですが(もちろん、そういう面はありますが)、実はテーマがありました。
それは、宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」です。
(伊藤氏は今年の6月に賢治生誕120周年記念リサイタルを花巻市で行っています)
物語に実名で登場するのはトロイメライ(作品中では「トロメライ」)だけですが、「愉快な馬車屋」は、たぶんチャイコフスキーでしょう。
「印度の虎狩」は・・・分かりません(笑)。
「何とかラプソディ」は、ハンガリー狂詩曲ということになるのでしょうね。
いや、どの曲がどれ、というよりも、このコンサート全体の醸し出す雰囲気が、そのまま賢治の世界に通じていたのではないか、伊藤氏のお話を聞いた後では、(バイアスがかかっていることもあり笑)もう、そんなふうに思えて仕方がなかったです。
抒情的な作品での祈りの表情に酔いしれ、深々と鳴るチェロの音は大ホール全体に響き渡っていました。
伊藤氏、ステージ上では一度もチューニングらしきことをしなかったです。
梯氏の余計な動きのほとんどない厳しいまでの演奏姿とそこから出てくる光る音と、振幅の大きい伊藤氏のチェロとの不思議な融合。いいコンサートでした。
アンコールに「鳥の歌」を弾いてくれたのも、うれしかったです。
会場を出ると、今回も骨董市(ガラクタ市)をやっていました。
前回よりもガラクタ度はアップしていた印象でした。
ホールから駐車場(C-8)に向かう途中・・・・
ワンコインコンサート Vol.72
天性の強靭なロマンティシズム
伊藤悠貴(チェロ)
梯 剛之(ピアノ)
三重県文化会館大ホール
2016.11.9(水)午前11時30分開演
【ブログラム】
エルガー/愛の挨拶op.12
フォーレ/エレジーop.24
サン=サーンス/白鳥(「動物の謝肉祭」より)
スクリャービン/ロマンス
グラズノフ/吟遊詩人の歌op.71
チャイコフスキー(ゲリナガス編曲)/ユーモレスクop.10-2
シューマン/トロイメライ(「子どもの情景」より)
ラフマニノフ/ヴォカリーズop.34-14
ポッパー/ハンガリー狂詩曲op.68
アンコール曲:鳥の歌(カタロニア民謡)
今回、スクリャービン、グラズノフ、ポッパーの3曲は初めて聴く曲でした。
どの曲も堪能しましたが、やはり抒情的な曲、祈りの要素が感じられる曲になおさらに心打たれました。
中でもフォーレのエレジーは、強く強く胸に迫りました。
あの、文字通り「悲歌」そのものの前半部から長調に転じる部分での、上から光が射すようなピアノの響きの美しかったこと!
梯氏を生で聴くのは初めてでしたが、本当に美しかった。
彼のピアノは、音符のひとつひとつが丸くフワフワとした柔らかい玉のようで、ちょっと霞がかかったような感じもしましたが、それは今回チェロとのアンサンブルということで、氏自身も語ってみえましたが「自己主張を一歩引いて」臨んでいたからなのかも知れません。最後のポッパーでは一転、切れ味鋭い打鍵でチェロと渡り合っていました。
初めて聴いたスクリャービンの「ロマンス」(原曲はホルンとピアノのための曲)は2分足らずの小品でしたが、これも何かしら胸かきむしる佳曲でした。
トロイメライのチェロ版は、小学生のとき、「帰りの放送」で流れていた音楽で、耳にするのはそれ以来かも知れません。なつかしい響きでした。私は放送委員だったので、放課後の放送室で45回転の17センチ盤を回した記憶は鮮明です。「帰りの放送」の曲は、このチェロ版トロイメライと「ハイドンのセレナード」の2曲で、どっちをかけてもよかったのでした。そんなことも思い出させてくれました。
今回のプログラム、一見「初心者向けの名曲コンサート」みたいですが(もちろん、そういう面はありますが)、実はテーマがありました。
それは、宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」です。
(伊藤氏は今年の6月に賢治生誕120周年記念リサイタルを花巻市で行っています)
物語に実名で登場するのはトロイメライ(作品中では「トロメライ」)だけですが、「愉快な馬車屋」は、たぶんチャイコフスキーでしょう。
「印度の虎狩」は・・・分かりません(笑)。
「何とかラプソディ」は、ハンガリー狂詩曲ということになるのでしょうね。
いや、どの曲がどれ、というよりも、このコンサート全体の醸し出す雰囲気が、そのまま賢治の世界に通じていたのではないか、伊藤氏のお話を聞いた後では、(バイアスがかかっていることもあり笑)もう、そんなふうに思えて仕方がなかったです。
抒情的な作品での祈りの表情に酔いしれ、深々と鳴るチェロの音は大ホール全体に響き渡っていました。
伊藤氏、ステージ上では一度もチューニングらしきことをしなかったです。
梯氏の余計な動きのほとんどない厳しいまでの演奏姿とそこから出てくる光る音と、振幅の大きい伊藤氏のチェロとの不思議な融合。いいコンサートでした。
アンコールに「鳥の歌」を弾いてくれたのも、うれしかったです。
会場を出ると、今回も骨董市(ガラクタ市)をやっていました。
前回よりもガラクタ度はアップしていた印象でした。
ホールから駐車場(C-8)に向かう途中・・・・
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