静かな場所

音楽を聴きつつ自分のため家族のために「今、できることをする」日々を重ねていきたいと願っています。

三重バッハ合唱団の「メサイア」(第26回演奏会)を聴きました

2015年05月15日 21時32分31秒 | コンサート




第26回三重バッハ合唱団演奏会

ヘンデル/メサイア




ソプラノ:佐波真奈巳
アルト:小林まゆみ
テノール:清水徹太郎
バス:三原 剛

オルガン:北住 淳

管弦楽:大阪チェンバーオーケストラ

合唱:三重バッハ合唱団


指揮:本山 秀毅


20150510 pm2:00 三重県文化会館大ホール



 今年も三重バッハ合唱団の演奏会を聴くことができました。
 1年に一回だけ、バッハの音楽を演奏するために活動しているアマチュア合唱団。
 第16回演奏会(2005年)からは指揮者に本山秀毅さんを迎え、今日に至っています。
 私は第20回(2009年)のヨハネ受難曲で初めて聴きました。
 翌年の第21回「エジプトのイスラエル人」は残念ながら行けませんでしたが、22回以降は毎年聴いています。
 年に一回、この三重バッハ合唱団と伊勢管弦楽団の演奏会を聴くことは私のかけがえのない楽しみであり喜びになっています。

「バッハ」合唱団ですが、今回を含めて今までに3回、ヘンデルを演奏しているとのこと。
 そのひとつは第5回(1993年)の「メサイア」、もう一つは、行けなかった「エジプトのイスラエル人」です。
 バッハ以外で採り上げられている唯一の作曲家なのですね。
 ヘンデルを採り上げる意味みたいなことはプログラムに少し書かれていました。
「メサイア」の実演は、もう10年以上前にバッハ・コレギウム・ジャパンの演奏(大阪・いずみホール)を聴いたのみですが、今回の演奏の方が細部までより深く味わい堪能しました。
 第30曲後半のテノールによるレチタティーボが省略された以外、全曲が演奏されました。

 楽器だけの序曲と合唱の歌い出しは、ちょっとエンジンが十分に回っていなかった感じでした。
 数曲を経て調子が出てきたかと思います。
 独唱者さん達は、ほぼ安心して聴いていられました。

 壁面に投影される邦訳をチラ見しながら聴いていました。
 テキストの内容に連動した描写的な楽句やリズムに思わずニンマリしながら聴いているうちに、喜びと祈りが一貫して感じられる静かな降誕の物語(第1部)が終わりました。
 第1部と第2部の間に休憩があり、第2部から女声ソリストの位置が少し変わりました。
 私としては、休憩なしで続けて演奏してほしかったところですが、まあそれは些細なこと。

 さて、第2部は一転して受難曲を彷彿とさせる「救世主」と民のドラマ。
 合唱の出番も多くなり緊迫した場面が続きます。
 本山さんの指揮も気のせいか、表現の振幅が大きくなったようでした。
 有名なアルトのアリアは、私は(あの、遅い遅い)リヒターの2度目の録音が刷り込みで(いまだに他の演奏がしっくりこないので)申し訳ありませんが、「あっという間に」終わっちゃった感じでした。
 家でCDで聴いている時は、このあたり以降で実は退屈してしまうこともある第2部ですが、実際に会場で聴いていると印象は全然違い、どんどん引き込まれました。
「ハレルヤ」は、素晴らしい演奏でした。
 なんとも初々しく、弱音多用でデリケートでありながらも音符そのものに内在する輝かしさは十分に表出されていて、少しの抑揚でこっちの心は大きく揺さぶられました。
 この曲、昨年の演奏会でアンコールでも演奏され、正直、メインの「クリスマス・オラトリオ」よりもインパクトが大きかったものです。

 第3部は来るべき「最後の審判」によって得られる(はずの)永遠の命への讃歌。
 冒頭のソプラノのアリア「I Know that my Redeemer liveth」は、「メサイア」中、今、最も好きな曲ですが、まさにツボはまり。
 佐波真奈巳さんのひたむきな歌唱、すばらしかった。
 それから「The trumpet shall sound」での、期待を裏切らない三原剛さん。
 そして、ここでは最高にカッコよかったトランペットの中島さん。
 目立ち過ぎず美しく平然と漂うペットの響きとホールを満たす三原さんの歌声の見事な融合。

「アーメン」は今まで聴いたことがない遅さに驚きました。
 近ごろの録音には疎いので、最近はよくあるのかどうか知りませんが、それまで基本速いテンポで進んできて最後のこれは効果あり過ぎました。
 全曲を締めくくるのにふさわしい、喜び、畏敬の念、その他さまざまな感情を内包し、じっくりと聴き手の心情とすり合わせるかのような「アーメン」は違和感なく、大曲が閉じるのを惜しむかのような足取りで進みました。


 合唱団は、正直、今まで聴いた中ではやや「しんどい」感じが強かったです。
 アルトは比較的安定していましたが他の3声部はちょっと・・・。
 曲を(音楽を)聴くことに支障をきたすようなことはありませんでしたが、しかし、本山さんはリハーサルでかなりシゴいたのではないかと推察いたします。
 響き、リズム、音程などで、私にも分かる程度のムニャムニャがありました。
 重ねて言いますが、曲を(演奏を)聴くことになんら不都合ではありませんでした。
 テクニック面に関しては、アマチュア団体を聴くときは普通に「心構え」が出来てしまっているので、そういうことは気にならないということもあります。

 どうか、来年以降も今まで同様に魂のこもったかけがえのない演奏を聴かせて下さい。
 私も命がけで(?)聴きに行き続けたいと思っています。

 今回もMさんの御厚意で聴くことができました。
 ありがとうございました。




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