5月は3つのコンサート行ってます。
先週のバッハ合唱団に続き、16日(土)は「薫風コンサート」、そして17日(日)は伊勢管弦楽団第34回定期演奏会でした。
今回は「薫風コンサート」のことを・・・。
午後のひととき
薫風コンサート
リスト(シューマン歌曲トランスクリプション)/「献呈」op.25-1
ピアノ:中瀬あや
シューマン/「詩人の恋」(全曲)
テノール:後久義昭
(休憩)
レイナルド・アーン/クローリスへ
レイナルド・アーン/《ヴェネツィア》~ヴェネツィア方言による6つの歌
(眠る水に、小舟、警告、ゴンドラの美少女、残念だ!、春)
メゾソプラノ:田中千佳子
(休憩)
小林秀雄(詩・野上彰)/落葉松
米山正夫(詩・曲)/津軽のふるさと
テノール:後久義昭
中田喜直(詩・渡辺達生)/歌をください
作曲者不祥/Amazing Grace(アメイジング・グレイス)
メゾソプラノ:田中千佳子
他(アンコール2曲)
以上、ピアノ:中瀬あや
2015年5月16日14時開演
ミキモトホール(伊勢市)
2月初旬に知って以来楽しみにしていたコンサートでした。
プログラム最初は、中瀬あやさんのピアノ独奏で「献呈」(リストによるシューマン歌曲のトランスクリプション)。
詳しくは知りませんが、楽譜をチラっと見た限りでは、かなりの難曲かと思いました。
歌曲で聴く奔放さよりも、この時の演奏では慎重さと律義さが強く出ていました。
けたたましく弾かれるよりも私には好ましく、じっくりと味わいました。
そんなアプローチですから中間部のたゆとうようなしんみりと回顧するような感覚には特に惹かれました。
音が増えたあたりも丁寧さを保って弾かれたのがよかったです。
続いて、後久義昭さん登場。
70歳を超えてもお元気な後久さんの「詩人の恋」は、これはもう独特の世界でした。
たぶん、この曲を愛してやまないであろう後久さんの想いが全ての言葉、旋律、表情、立ち居振る舞いからにじみ出ていました。
最初から数曲は、ちょっと調子が出ないようで、時に苦しい箇所もありましたが、曲間をしっかり取ったり、数回の長いインターバルを取ったりしながらコンディションを保ち、最後までご自分の世界を描ききりました。
1回目のちょっと長いインターバルのあとの「我は恨まじ」の歌い出しは持ち直した声が素晴らしく、そのあまりの切実感に、瞬時に体に電気が走るような感覚に捉われ、ウルっとさせられました。
子どもの頃からずっと合唱人生を歩まれ、「ソロは60歳を超えてから勉強始めました」と言われる後久さんですが、艶やかなリリック・テノールはご健在でありました。
すばらしいステージでした。
ピアノの中瀬さんは、全体的に音符を「白日の下に晒す」感じで、誤魔化し回避、真っ向勝負みたいなアプローチで弱音のコントロールなどさぞや大変ではなかったかと思いました。
田中さんのステージでは、会場が変わったかと思えるほどに華やかで美しい雰囲気になりました。
(前ステージの「詩人の恋」がなんとなく囲炉裏端(いろりばた)でしんみり聴き入る「冬の旅」みたいな雰囲気もありましたので・・・)
「レイナルド・アーンって知らない」
「初聴きの作曲家なので楽しみ」
などと、さんざん言ったり書いたりしてたのですが、この日、帰ってから棚を探したらアーンの曲が入っている女声歌手のオムニバス盤が3枚ありました。
全然記憶になかったようで・・・日頃のいいかげんな聴き方が露呈してしまいましたね。
ただ、当日の演奏曲で持ってたのは「クローリスへ」だけでした。
言い訳じゃないけど、どうも、アメリングは別として、他の2枚はあまり感心しなかったので、もしかしたら途中でほっぽり出したまま(つまり部分未聴)なのかも知れません。
1曲目の、しっとりとした「クローリスへ」で、「むわぁっ」と心をシュークリームみたいにさせられ、次の「ヴェネツィア」では、終始、ゴンドラに揺られているような心地よさを感じながら聴いていました。
そして、脳裏に浮かぶのは、あのヴェネツィアの青い空(注・・・行ったことはありません)。
中瀬さんのピアノも見事にイメチェンし、曲趣に合わせてリラックスしているかのようでした。
びわ湖ホール声楽アンサンブル・ソロ登録メンバーとしてご活躍中の田中さん、さすがに、その声はミキモトホールいっぱいに満ちて、会場の皆さんもさぞや楽しまれたのではないでしょうか。
アーンの曲の素晴らしさを教えてくれたことは本当にうれしかったです。
第3ステージはお二人が2曲ずつ歌われ、アンコールでは某TVドラマの主題歌を二重唱で演奏されました。
途中、ピアノのちょっと長い中間部もあって、3人の出番のバランスがちゃんと考えられてたりして、さすがだなぁとか、ヘンなところで感心したりしました。
次の「翼をください」は会場の皆さんも一緒に唱和。
隣席のAさん、さすが現役コーラス団員(?)だけあって見事なテノールでした。
私は劣化激しく、高域ヘタレの上に肺活量減少著しく、とても残念な部分唱和に留まりました。
お二人とも歌詞はアンコール以外、全て暗譜でした。
先週のバッハ合唱団に続き、16日(土)は「薫風コンサート」、そして17日(日)は伊勢管弦楽団第34回定期演奏会でした。
今回は「薫風コンサート」のことを・・・。
午後のひととき
薫風コンサート
リスト(シューマン歌曲トランスクリプション)/「献呈」op.25-1
ピアノ:中瀬あや
シューマン/「詩人の恋」(全曲)
テノール:後久義昭
(休憩)
レイナルド・アーン/クローリスへ
レイナルド・アーン/《ヴェネツィア》~ヴェネツィア方言による6つの歌
(眠る水に、小舟、警告、ゴンドラの美少女、残念だ!、春)
メゾソプラノ:田中千佳子
(休憩)
小林秀雄(詩・野上彰)/落葉松
米山正夫(詩・曲)/津軽のふるさと
テノール:後久義昭
中田喜直(詩・渡辺達生)/歌をください
作曲者不祥/Amazing Grace(アメイジング・グレイス)
メゾソプラノ:田中千佳子
他(アンコール2曲)
以上、ピアノ:中瀬あや
2015年5月16日14時開演
ミキモトホール(伊勢市)
2月初旬に知って以来楽しみにしていたコンサートでした。
プログラム最初は、中瀬あやさんのピアノ独奏で「献呈」(リストによるシューマン歌曲のトランスクリプション)。
詳しくは知りませんが、楽譜をチラっと見た限りでは、かなりの難曲かと思いました。
歌曲で聴く奔放さよりも、この時の演奏では慎重さと律義さが強く出ていました。
けたたましく弾かれるよりも私には好ましく、じっくりと味わいました。
そんなアプローチですから中間部のたゆとうようなしんみりと回顧するような感覚には特に惹かれました。
音が増えたあたりも丁寧さを保って弾かれたのがよかったです。
続いて、後久義昭さん登場。
70歳を超えてもお元気な後久さんの「詩人の恋」は、これはもう独特の世界でした。
たぶん、この曲を愛してやまないであろう後久さんの想いが全ての言葉、旋律、表情、立ち居振る舞いからにじみ出ていました。
最初から数曲は、ちょっと調子が出ないようで、時に苦しい箇所もありましたが、曲間をしっかり取ったり、数回の長いインターバルを取ったりしながらコンディションを保ち、最後までご自分の世界を描ききりました。
1回目のちょっと長いインターバルのあとの「我は恨まじ」の歌い出しは持ち直した声が素晴らしく、そのあまりの切実感に、瞬時に体に電気が走るような感覚に捉われ、ウルっとさせられました。
子どもの頃からずっと合唱人生を歩まれ、「ソロは60歳を超えてから勉強始めました」と言われる後久さんですが、艶やかなリリック・テノールはご健在でありました。
すばらしいステージでした。
ピアノの中瀬さんは、全体的に音符を「白日の下に晒す」感じで、誤魔化し回避、真っ向勝負みたいなアプローチで弱音のコントロールなどさぞや大変ではなかったかと思いました。
田中さんのステージでは、会場が変わったかと思えるほどに華やかで美しい雰囲気になりました。
(前ステージの「詩人の恋」がなんとなく囲炉裏端(いろりばた)でしんみり聴き入る「冬の旅」みたいな雰囲気もありましたので・・・)
「レイナルド・アーンって知らない」
「初聴きの作曲家なので楽しみ」
などと、さんざん言ったり書いたりしてたのですが、この日、帰ってから棚を探したらアーンの曲が入っている女声歌手のオムニバス盤が3枚ありました。
全然記憶になかったようで・・・日頃のいいかげんな聴き方が露呈してしまいましたね。
ただ、当日の演奏曲で持ってたのは「クローリスへ」だけでした。
言い訳じゃないけど、どうも、アメリングは別として、他の2枚はあまり感心しなかったので、もしかしたら途中でほっぽり出したまま(つまり部分未聴)なのかも知れません。
1曲目の、しっとりとした「クローリスへ」で、「むわぁっ」と心をシュークリームみたいにさせられ、次の「ヴェネツィア」では、終始、ゴンドラに揺られているような心地よさを感じながら聴いていました。
そして、脳裏に浮かぶのは、あのヴェネツィアの青い空(注・・・行ったことはありません)。
中瀬さんのピアノも見事にイメチェンし、曲趣に合わせてリラックスしているかのようでした。
びわ湖ホール声楽アンサンブル・ソロ登録メンバーとしてご活躍中の田中さん、さすがに、その声はミキモトホールいっぱいに満ちて、会場の皆さんもさぞや楽しまれたのではないでしょうか。
アーンの曲の素晴らしさを教えてくれたことは本当にうれしかったです。
第3ステージはお二人が2曲ずつ歌われ、アンコールでは某TVドラマの主題歌を二重唱で演奏されました。
途中、ピアノのちょっと長い中間部もあって、3人の出番のバランスがちゃんと考えられてたりして、さすがだなぁとか、ヘンなところで感心したりしました。
次の「翼をください」は会場の皆さんも一緒に唱和。
隣席のAさん、さすが現役コーラス団員(?)だけあって見事なテノールでした。
私は劣化激しく、高域ヘタレの上に肺活量減少著しく、とても残念な部分唱和に留まりました。
お二人とも歌詞はアンコール以外、全て暗譜でした。
とても的を射た、しかも慈愛に満ちた温かな論評に感激しました。とともにあなたさまと是非ともお話しさせていただきたい衝動に駆られました。
実は私も認知症と身体障害を持つ妻とともに暮らしています。自分に許される時間の中で自己表現ができたら良いなと考えています。
当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。
私は、演奏される皆様の御苦労をたいして知らずに勝手なことばかり書いておりますが、こうして実際のステージに触れることができるのはなによりの喜びです。
歌曲の分野は好きなのですが、数多く聴いているわけではありません。でも「詩人の恋」などは別で、ずいぶん前から聴き親しんできました。
今回は二度目の生「詩人の恋」でしたが、後久さまの味わい深い演奏で聴かせていただいたこと、本当に良かったと思います。
さぞ、お忙しいことと拝察しますが、また三重の地でコンサートを開いて下さいましたら、ぜひ聴かせていただきたいと思います。
ありがとうございました。