静かな場所

音楽を聴きつつ自分のため家族のために「今、できることをする」日々を重ねていきたいと願っています。

「ゆらこめ」読み終えました

2009年05月31日 09時52分58秒 | 
ゆらこめ2冊、昨夜、読み終えました。
「ゆらむぼ」こと由良博英さんが急死して1年半、本書が刊行されてもう半年経ちました。
毎日、寝床に入ってからの十数分間というペースで読み進めてきました。途中で他書も読みましたし、読まず(読めず)に即熟睡という日も多々ありました。
それで、購入以来、読了までこんなに日数を要しました。


ゆらこめ

~ゆらむぼのクラシック音楽CD評論集~

(上・下 二巻)

由良博英・著
由良繁久・編


神戸新聞総合出版センター刊




知人に古いノートパソコンを頂いて、私がネットの世界に足を踏み入れたのが2000年。
由良さんは、私の知らないパソコン通信の時代からネット上でクラシッ音楽CDについて投稿されてきた方のお一人でした。
投稿したりという交流こそありませんでしたが、HP「ゆらむぼの部屋」は、私が常時訪問していたサイトの一つでありました。

由良さんの文章は、それはもう既に何人もの方がネット上で述べられている通り、大変温かく、また誠実さに溢れたものです。
どの文章からも音楽への敬愛、音楽を聴くことの喜び、音盤を買い求める時の、あの何とも言えない期待感などが感じられます。
平明な文章です。しかし、プロの批評家や学者の書いたものからは感じられない、この不思議な魅力は何なんだろう?
書いたもので儲けるわけでもない、ただ思うがまま感じたままに綴る、そして、だれかに読んでもらってその人にも響いてくれればいい・・・たぶん、そんな純な心持ちで書かれた文ばかりだからでしょうか。
同じ盤について複数の記事(文章)があったりしても何の違和感・水増し感もなく読めてしまうのです。
(本書はHP「ゆらむぼの部屋」だけでなく、クラシック音楽フォーラムFCLAやミクシィ等への書き込み等、由良氏がネット上に書いた全てのCD批評を作曲家別にまとめたものです)
この本を読んでいて、私と同じような感想を見つけて喜んだり、未聴盤が聴きたくてたまらなくなったり、ということが何度もありました。

五十音順に並べられた作曲家は、やはり筆者の好みを反映して多少の偏りがあり(それがまた良いと思いますが)、私は特に120ページ余りを費やしたドヴォルザークの項に強く惹かれました。
由良さん自身もドヴォルザークを特に取り出して聴かれることが多かったのではないでしょうか?
ブリリアントの40CDボックスを購入したのは、たぶん、この項を読んだ後ではなかったかな?

ゆらこめ〈上〉―ゆらむぼのクラシック音楽CD評論集
由良 博英
神戸新聞総合出版センター

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ゆらこめ〈下〉―ゆらむぼのクラシック音楽CD評論集
由良 博英
神戸新聞総合出版センター

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2 コメント

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ゆらむぼ氏の想い出 (Yozakura)
2011-06-19 15:37:08
初めまして

 ネットで「ゆらむぼ」を検索したところ、このページに逢着、懐かしさの余り、お邪魔します。亀レスにて失礼します。

 由良氏が根城にしていたNifty ServeのFlcap、夏休みオフ・ライン・ミーティングにて由良氏に一度会い、その指揮スタイルに感激・感動し、爾来、10年以上に亙り、メールを遣り取りしていた者です。
 ゆらむぼ氏の特徴を一言で申し上げれば、物欲が欠如しており、まるで修行僧の如く、精神が澄み切っていた点です。

 兎に角、他者を他人を押しのけ撥ね飛ばし脚を引っ張ってでも、自己の利益を実現確保しよう、出世しようと云う我欲の塊の如き亡者が満ち溢れる現世にあって、
 一体これはどうしたことか、ゆらむぼ氏の周辺だけには、温かくも明澄なる空気が流れているのです。
 それは、彼の指揮を、指揮棒の一振りを見ただけで、直ちに納得し、了解できたのです。我欲が、我執が無いのですね、ゆらむぼ氏には。
 彼のの存在そのものが、奇蹟であり奇跡のような人物でした。

 そのゆらむぼ氏が、突然の事故----と云うか、病気の発作で亡くなってから、もう4年近く経ちます。由良氏が死亡しただけではなく、Nifty Serveも、その名物のFclapも消滅して仕舞いました。

 梅雨の合間の五月晴れ、福島第一原発の核災害も一向に収束せず、身も心もすっきりしない曇り空の午後、貴殿の遺著紹介に触発され、ふと書き込んでみました。
 お元気で。
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Yozakuraさん (親父りゅう)
2011-06-20 20:14:38
こんばんは。初めまして。
ようこそお越し下さいました。

そして、溢れる思いに満ちたコメントを頂き、ありがとうございます。
由良さんとの交流(10年も!)が、本当に貴殿にとってもかけがえのなかったものであることが、ひしひしと伝わって参りました。
当方にはとてもまねの出来ない実直で真摯な筆致を、久しぶりに読み返してみたい思いにさせられました。
ありがとうございました。
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